【感想・ネタバレ】公共貨幣入門(インターナショナル新書)のレビュー

あらすじ

日本の「失われた30年」は主流派経済学の処方箋を素直に実施した結果である。新古典派経済学による構造改革は低賃金の非正規労働者を増やし、ケインズ経済学による財政・金融およびリフレ政策は1000兆円を超える借金地獄をつくった。原因は貨幣システムの欠陥にある。主流派経済学やMMTの誤りを指摘し、現在の「債務貨幣」にかわる新たな貨幣システム「公共貨幣」を提唱。「公共貨幣」を取り戻せば「ゼロ成長」から脱却でき、新しい未来が開けることを論証する。

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Posted by ブクログ

現代の経済社会の抱える問題を貨幣から分析したもので、貴重な考えである。しかし、よく理解できない点も多く、いろいろと考えていきたい。

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2021年10月17日

Posted by ブクログ

現状の経済の状況について同様の主張している書はあるし、独自の加えられた主張の部分も言うほど論拠が強いとも思われない。作者の「真実」を言い当てているのは私だけ、故に認められないと言うのには共感できない。
私の理解した山口氏の主張の覚書
「世界は負債で回っている」との比較で(「錬金術の終わり 貨幣、銀行、世界経済の未来」もおそらく同様の部分がありそう)。この本/(vs)後者
日本(特に失われた30年)を分析のベースに日本への提言(海外も?)/世界経済をベースに日本も分析。世界への提言。日本は特殊事例として扱われている。
世界の借金=負債は増えている。それには銀行の信用創造が大きく関わっている。銀行の信用創造は錬金術の如し(この根幹部分は同様)
負債により経済成長はしない/経済(GDP)の成長には新たな負債が不可欠(但し、効率は悪化する。日本は効率が悪化した例。日本は世界の未来。そういう意味では日本では負債が成長につながっていないと言う認識は同様)
負債は増えても個人資産は増えない(ゼロサムゲーム)、政府負債が増えれば個人資産は増える(但し、株と不動産の価値が上がることで富裕層の資産が増える)
政府負債が特に問題(銀行は無限に負債を抱え込めるが日本はバブル後あまり増えていない)。政府負債が増えていけば必ず破局が訪れる。2030年代に)/政府負債より民間負債が問題。政府については破局する前に止める手段はたくさんある(破局には至らない。ハイパーインフレも最悪な条件が揃っているのでなければ止められる。あるいは徐々にインフレが進む)
信用創造をさせないよう債務貨幣をなくし、全てを公共貨幣にすると言う提言/民間負債を監視し危険水域で止める(債務帳消し等)。政府負債については公共貨幣化も進める(ここは同じ?)と言う提言
なお、この本の主張として、欧米では、「労働は苦痛であり、余暇(レジャー)は快楽であるが、労働者は自らの労働を売らなければ余暇が得られないので、働くことは必要悪であると捉える」。日本では、「労働は苦痛ではなく、生産労働そのものに集中することが救済への道であり、幸福に至る道であるとみなされていた」。その日本の良さが近代経済理論で壊されたと主張するが、ちょっと??である。日本の職人魂という点ではそう言う部分が出ていると思うが、それを言うならプロテスタンティズムの倫理も同様の価値観ではないだろうか。

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2026年05月14日

Posted by ブクログ

 世界恐慌後の貨幣秩序の回復のため、預金の100%を裏付ける流動資産の保有を民間銀行に義務付ける「シカゴプラン」を提唱したアーヴィング・フィッシャー。そのフィッシャーを高く評価し、主流経済学派に反旗を翻す著者らの主張「公共貨幣理論」を一般読者向けにまとめたもの。

 著者らの主張は「貸金と預金をセットで同時に「無から」創り出すという民間銀行の錬金術を止めさせ、公共セクターである政府にマネーストック管理を任せ、バブルやインフレといった金融の発生を防ごう」というものだが、この主張事態は特段目新しいものではなく、たとえば前イングランド銀行総裁マーヴィング・キング「錬金術の終わり──貨幣、銀行、世界経済の未来(日本経済出版社)」でも提唱されている。ただそこでの議論は、本書のようにシカゴプランの100%マネー(法定準備率100%)をストレートに制度化しよう、という過激なものではない。

 ケインズ経済学に基づくIS−LM分析の現実との非整合性を批判する件はややアンフェアなような気がする。政府支出でIS曲線が右シフトするとマネーストックMが内生的に増加しLM曲線も右方シフトするので利子率rが低下する、従って政府支出でクラウンディング・アウトが起こるという主流派理論は誤り、というが、それはケインズ経済学が想定しないアノマリーなポリシー(QQEという事実上の財政ファイナンス)が遂行されたからであり、IS−LM分析自体は妥当なのではと思える。

 また、当然同一視されやすい現代貨幣理論MMTとの違いも問題になるところだが、僕にはそこまで違いがあるとは思えなかった。両者ともに「インフレやデフレになれば国会/行政が通貨発行吸収/増減税で通貨を直接コントロール可能」と主張するのだが、現行の短期的利益に迎合しがちな選挙制度のもとでは、財政拡大によるポピュリズム政策遂行を可能にするインフレ的金融政策がどうしても選択されやすくなるだろう。インフレが加熱した時、手遅れになる前にそれを制御できると本当に言えるのだろうか。

 他にも所々に懸念すべき部分はある。例えば「国際銀行家」なる勢力の画策により、自らの主張する理論の普及が妨げられている、とするやや陰謀論めいた物言いは若干気にはなるし、また非主流派の恨みからか文体がやや感情的で冷静さに欠けると思える部分も。そもそも、最大出資者が財務大臣である日銀を一私企業扱いし、「国際銀行家」の支配下にあると主張するのは相当無茶な話だ。しかし本書のように、そもそもマクロ経済学の基礎中の基礎である「信用創造」の理論的裏付けをあらためて問い直すことは、貨幣の定義が揺らぎつつある現代においては極めて意義深い行為だと思う。

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2022年01月14日

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