荒木和博のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
拉致問題が安全保障上の問題であることを政府も国民も強く意識できていない現状がある。
本書を読むことで、拉致問題をあらためて安全保障上の問題として捉え、ひいては憲法改正、自衛隊の運用、政府の役割などを再考する切り口を得ることができる。
本書は安倍内閣の安保法制の整備の時期に出版されたものだが、当時の安保法制の審議などの不十分さについても指摘している。
また、国家理念の欠如や憲法と実際の矛盾など、自衛隊が実力組織であるのか、いざというときに政府が行使できるのか、自衛隊員が意義を持って命をかけることができるのか、様々な問題を考えることができる。
拉致問題を切り口として考えることで、戦後戦わない自衛隊を国家として是としてきたことの矛盾や不健全さに気づくことができる。
法的な解釈はさておき、現状の自衛隊部隊や外務省職員で構成する救出作戦シミュレーションをしていることも面白い。
--
先日荒木氏の講演を聞く機会があったので追記。
参加のいわゆる保守系のような方々の質問なども含め、講演のところどころで、政府、官公庁、自衛隊などへの不満感や高度な要望が感じられた。
保守系の方の中にも自衛隊に対して厳しい目を向けていることを知った。
個々の政治家、職員、隊員レベルでは与えられた役割の範囲で問題意識を持っているとは思うが、
こと拉致問題については安全保障の問題として真剣に考えているか分からないというのが実態だろう。
切り口としては拉致問題だが、憲法はじめ国家理念の欠如や、真に国家のためになる政府や軍隊となれていないことへの問題提起が裏論点だと感じた。