永幡嘉之のレビュー一覧

  • 巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災

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    主に昆虫と植物への影響を調査したもの。東北太平洋沿岸のトンボの生息地、復活を願っていますが、なかなか難しいのが現実のようです。

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    2018年10月09日
  • 巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災

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    読み進めるにつれて、著者が被災地に配慮してあえてオブラートに包んでいる“本当の意図”がいろいろな行間から滲み出てくるような気がしてならなかった。

    東北地方の海岸線には、防風や防砂、そして景観維持目的でクロマツが多く植えられていた。緑が濃いその景観は、一見、豊かな自然が残されているように見える。しかし、本当の自然界-東北地方に本来生息すべき動植物の眼から見た場合、クロマツだけが勢力を広げ繁殖するのは「人間の作為」によるしかありえず、ある意味自然に反した姿だ。

    「多くの動植物の絶滅が心配される状況は、津波だけによって引き起こされたものではなかった。『この程度なら大丈夫』という小さな開発が重ねら

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    2015年11月13日
  • 巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災

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    津波による被害の報告という内容以前に,ナチュラリストがどんな視点でフィールドとそこにする生物を見ているのかがよく分かって興味深かった.
    読むまでは気付かなかったが,津波による物理的な力だけでなく,水圏の塩分濃度が高くなることによって,生息できない・卵が孵化しないといった影響が出ることが分かった.考えれば当たり前なのだが.
    また,著者が本書の中で,「人間の開発(農業関係も含む)によって生息地がちりぢりになったことで,(そうでなければ移入によって回復したであろう)生態系の回復する見込みが低くなった」という点を何度も強調していた.津波自体は自然災害であるものの,人間活動が生態系の頑強性・脆弱性に大き

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    2013年04月19日
  • 巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災

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    ネタバレ

    山形県を中心に活動されている写真家の永幡嘉之さんによる、東日本大震災の津波被災地の生き物たちの報告。

    昨年の大津波では、砂浜や松林が消滅し、内陸にまで海水が到達した地点が数多く見られたが、報道は人間の生活が中心で(当然といえば当然だが)、津波被災地の人間以外の生き物たちの様子についてはほとんど触れられてこなかった。ときに福島第一原発事故の影響で立ち入り禁止区域に指定された地域における、ペットや家畜の惨状を伝え聞くことはあっても、それ以外の被災地における生き物の様子については、あまりに情報が乏しかった。

    あれだけの大津波が各地を襲い、産業が壊滅的なダメージを受けたのはもちろんだけれども、では

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    2012年07月08日
  • 巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災

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    東日本大震災が生態系に与えた影響をいち早く、かつ分かりやすく。(写真が多いのが特に分かりやすい)記した本。著者が意見を表明する時は非常に慎重な表現を選んでおり、自然関係の本にありがちなヒステリックな決め付けがないのも好感をもてる。

    自然保護と住民の暮らしのどちらを優先すべきかは非常に難しい問題なのだけど、著者も触れている通り、東日本大震災の後の復旧事業に関しては「復旧」ばかりが優先されて自然保護は後回しにされがちだ。この本を読み、自然保護と住民の暮らしのバランスについて考えを巡らせることも必要だろうと思う。

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    2012年12月15日
  • 巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災

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    私のような人間からすると,ものすごく生物に詳しく,色々な現場を知っている著者だという印象を強く受けた.やはり,実際の自然をよく見ている人の話は,すごいと思う.

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    2012年06月25日
  • 巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災

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    2011年3月11日に東北を襲った巨大津波は、動植物の生態系も激変させた。著者は復興がままならぬ中でこんなことをやっていていいのだろうかという苦悩を抱えながら写真を撮っていたという。皆が人の被害に気をとられていて物言わぬ生きものたちに目を向ける余裕がなかったときに、記録をきちんと残しておくことは必要なことだと思う。改めて違う観点から今回の災害のことを考えることができたいい本でした。

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    2012年06月12日
  • 巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災

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    冷静で、客観的で、そして視点の面白い「環境書」。扱われている事象が事象であるだけに、手放しで「面白い」とは言いにくい。

    しかし3.11はつまり、「自然環境」と「生態系」を巡ってビッグバン的大事件が起こったということは言えるわけだ。その中で生命がどう生き抜き、どう死に絶え、そしてそこに人間がどう関与していくのかという内容が、ある意味で残酷に描かれている。そしてその残酷さが興味をひきつける。

    生態系が破壊されたと、単に嘆く本ではない。動植物が戻ってきつつあると、明るくはしゃぐような本でもない。そして「復興」によって希望の持てる未来がやってくるなどという楽観論もない。かといって環境愛護一辺倒でな

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    2012年05月08日
  • フォト・レポート 里山危機 東北からの報告

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    栗林に群生するカタクリ、斎藤茂吉の好んだオキナグサのある風景…。失われようとしているのは生物多様性だけか? 土地の生産力を最大限に引き出して利用されてきた自然環境――数十年来、東北の地を調査してきた著者が里山を再定義。数々の風景写真と静かで熱い言葉で、民族知としての文化の重要性を語る。オールカラー

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    民俗知という言葉に深く感銘を受けた。人は何を受け継ぐべきなのか、文字や交渉伝承だけでない、さまざまな教えが失われていく、戦後数十年の、そして東日本大震災という未曾有の災害の憂いが詰まっている。

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    2021年10月05日
  • 巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災

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    ネタバレ

    ほんとうの「豊かな自然」とはどういうものか?
    震災後の秋、三陸の河川を多数遡上したギンザケはメディアなどに「生命のたくましさ」などとして好意的に取り上げられた。しかしギンザケは外来種であり本来そこにいるはずのない生物だということを、本書を読んで初めて知った。他にも様々な例が提示され、自分が知っているつもりだった「豊かな自然」はただのイメージでしかなかったのだと気付かされた。
    筆者が吐露する「こんなときにこんなことをしていていいのだろうか」という煩悶は、その時その場で「命を救うこと」に関わらない学問や職業に就いている人間なら誰しもが感じることだろう。でも、胸をはってほしい。その土地の表情を守るた

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    2016年04月18日
  • 巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災

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    津波の影響というとどうしても人間社会に対するものに目が行き、それは仕方が無いというよりは当然である。
    しかし「ボランティアの方たちに後ろめたさを感じ」ながらも、自然環境への影響をきちんと調べた本書は傾聴に値する。立派な仕事だ。
    自然が戻ってるように見えても、生態系はすでに変わっている。局地的な絶滅が起こったのだ。

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    2013年12月07日
  • 巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災

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    2011年3月11日の東日本大震災で発生した大津波により被害を受けた、東北太平洋沿岸部の生態系の変化を報告している。断片化した砂浜が喪失し、後背湿地が海水をかぶって塩水となり、失われた生き物が多数いることがわかった。また、復興を重要視するあまり、環境アセスメントが省略されていることもわかった。非常時だからこそ、冷静な視点と合理的な判断が必要だと感じた。

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    2013年07月03日