新井政美のレビュー一覧
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【オスマン帝国においてイスラムは、現場に応じて対応する現実的性格を示してきたが、それはさらなる自己変革を遂げる前に「西洋の衝撃」を受け、しだいに防衛のための(あるいは抵抗のための)拠り所と化してゆくのである】(文中より引用)
オスマン帝国とヨーロッパの関わりを地域交流史として描き出す一冊。ヨーロッパにおいてトルコが今日においても特別な位置を占めている理由の一端が読み取れる作品でした。「トルコ行進曲」にまつわるトリビアについても興味深かったです。意味する著者は、トルコ歴史協会名誉会員を務める新井政美。
「イスタンブール」の名前の由来って意外なところにあるんだなと☆5つ -
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【間を通るか,橋をかけるか】題名が示すとおり,イスラムと近代化という重要な課題を,トルコ共和国の例を通して眺める作品。近代という位相を通り抜けるにおいて,トルコの人々がいかに格闘してきたかを簡潔にまとめています。著者は,東京外国語大学でトルコ近代史を専攻する新井政美ほか2名。
オスマン帝国の崩壊から現在にかけてのトルコの歴史が,まさに「怒涛」とも言えるものですので,その歴史を概観するだけでも興味深いのですが,そこに更にイスラムとの関係性という縦軸を引くことにより深みを与えることに成功した作品。イスラムと近代化という課題が,(トルコだけでなく複数のイスラム諸国で)現在進行形であることもよくわ -
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p.244,L.27~ムスリムが圧倒的多数を占める国でありながら、そこを統治するものがイスラムを排除しようとするという稀有の経験をしたのが、トルコ共和国なのである。
著者がおっしゃっていた通り、西洋の科学って真にかぶれやすいという厄介なものなのですね。
イスラムの考え方には共感する。
神は「存在するもの」としてではなく、信じようとすること、生活様式としてしか表せない。
科学、技術は素晴らしい。世の中を分類し何とか人間が制御しやすいようにしようと努めてきた積み重ねだもの。
自然を敬い、おそれ何とかそれと付き合おうとするとき「神」というものが生まれる。
そこまではいいんだけど、その「神」を -
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トルコ系遊牧民の興亡を前史として、10世紀半ば以降のカラハン朝、ガズナ朝に代表されるトルコ族のイスラム化、そしてセルジュク朝によるアナトリアのイスラム化という歴史が語られる。
14世紀からオスマン朝の発展が始まる。ビザンツ領への進出、さらにバルカンへの進出。このような軍事的発展を支えたものが、有名なイェニチェリであった。ティムールに一敗地にまみれるが、何とか復興し、これまた有名な1453年のコンスタンティノープル征服となる。
壮麗王スレイマン大帝の治世、同時代ヨーロッパにはカール5世やフランソワ1世がいて、敵対、協調関係が繰り広げられ、ウィーン包囲に至る。帝国最盛期とも言われる時代であ