武井弘一のレビュー一覧

  • 江戸日本の転換点 水田の激増は何をもたらしたか

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    ○目次
    序章:江戸日本の持続可能性
    第1章:コメを中心とした社会のしくみ
    第2章:ヒトは水田から何を得ていたか
    第3章:ヒトと生態系との調和を問う
    第4章:資源としての藁・糠・籾
    第5章:持続困難だった農業生産
    第6章:水田リスク社会の幕開け
    終章:水田リスクのその後と本書の総括

    よく、江戸日本社会は資源循環型の持続可能な社会であったという言説が聞かれる。しかし、江戸市中の不法投棄やたたら製鉄による禿山化など反論には枚挙にいとまがない。
    筆者・武井氏も果たして江戸日本社会は持続可能な社会だったのか、再検討を試みたのが本書である。
    内容をかいつまむと、17世紀後半までの日本社会は農業発展期と位

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    2019年10月09日
  • 江戸日本の転換点 水田の激増は何をもたらしたか

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    本書のテーマは明快である。江戸時代ははたして循環型社会であったのか? 著者は加賀藩の例など豊富な一次資料をもとに新田開発は社会を豊かにする一方で米作中心の農業に深刻な矛盾をもたらしたと結論づけ、それを「水田リスク社会」と呼ぶ。江戸時代の米中心社会の実像をリアルに描き出した力作である。

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    2016年06月18日
  • 江戸日本の転換点 水田の激増は何をもたらしたか

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    朝日の柄谷行人さん書評から読んでみました。

    エコ社会とかTPPとか今の農業や社会を考えるのに役立つ作品だと思う。

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    2015年06月20日
  • 江戸日本の転換点 水田の激増は何をもたらしたか

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     江戸時代はエコ時代などと持て囃す風潮が一部で見られるが、果たしてそれは真実なのであろうか。
     結論から言えば、単純に飽和状態を迎えるまでに時間がかかったというだけで、持続可能とは言えない。

     新田開発によって生産高も人口も増え、コメを中心にした社会が成立し、水田を中心とした生物相も形作られ、コメの副産物である藁、糠、籾も余すところなく利用され、いわゆる持続可能な社会であったかのようにも見える。水田に暮らすタニシやドジョウなどから始まり、人間とともにタカやキツネなどを頂点とする食物連鎖も構成されていた。
     しかし一方で生産を支えるための肥料を生産するために山は切り開かれ肥料になる草を生やす(

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    2017年01月05日
  • 江戸日本の転換点 水田の激増は何をもたらしたか

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    江戸時代の篤農家の残した資料から読み解ける百姓の実態、そして、幕府の新田開発が、農村・農家に与えた影響が描かれていた。

    百姓は、幕府に年貢を納め続けることを継続するため、色んな工夫をしていた。

    その中で、水田経営に不可欠な道具としての牛・馬を飼う。そのために餌を得るための草原も確保しなければならない。

    武家社会における鷹狩りに必要な餌としての小鳥たちの供給。

    しかしながら、将軍綱吉の生類憐みのお触れによる制度変更での現場の混乱。

    また、新田開発、白米づくりにシフトしたことにより、肥の枯渇、高騰。

    そのことにより、海の資源であるイワシを金肥とするような変化も起きてしまっていた。

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    2015年07月18日
  • 江戸日本の転換点 水田の激増は何をもたらしたか

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    恵贈に与る。耕地面積がグングン伸びた「開発の17世紀」と、耕地も人口も頭打ちとなった18世紀とを切り分けて、それぞれに生じた問題を多面的に論じた好著。大開発の時代から停滞の時代へ、という流れは様々な教科書で指摘されているが、武井さんは停滞の要因を土地拡張の限界だけに求めない。むしろ、土地が開発され尽くしたことによって生じた問題(草山の枯渇、肥料多投型農業へのシフト、水害・土砂災害など)を直視する。江戸時代の本、農業史の本という枠を超えて、文明史を考える本として有益。

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    2015年05月07日
  • 江戸日本の転換点 水田の激増は何をもたらしたか

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    持続可能な社会を目指すために
    江戸時代のエコな社会を見直そう!
    みたいなことがよく言われている。
    著者は本当に江戸時代の生活はエコだったのか
    稲作・農民の社会に焦点を当てて問うていた。

    今の農家さんと多少違うんだろうとは
    思っていたけれど、江戸時代の農夫たちは
    思っているよりいろんな収穫物があったらしい。

    水田にいるタニシを拾って食べたり
    川から引き込んだ水にいたドジョウやフナ
    を水田の川の水を抜くときにさらって
    たんぱく源にもした。
    農夫たちには鉄砲を与えられている人たちもいて
    水田にやってくる小動物や農作物をねらってくる
    鹿や猪を鉄砲でうってごちそうにした。
    田んぼのわきの畦に大豆や稗

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    2024年06月21日
  • 江戸日本の転換点 水田の激増は何をもたらしたか

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    水本邦彦の試算によると、耕地を維持するためには、その面積の10倍以上の草山が必要だった。

    銚子の漁民は、17世紀後半から18世紀前半に紀伊国から移住してきたとの言い伝えのある家が多い。新田開発がピークに達しようとしていた頃に、畿内とその近国で肥料不足と干鰯ラッシュが巻き起こされていた(井奥成彦)。

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    2020年04月15日
  • 江戸日本の転換点 水田の激増は何をもたらしたか

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    ●江戸時代はエコ社会のように言われるが、新田開発という列島大改造によって増やされた水田にささえられる社会は、根底において持続可能ではなかった。

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    2016年01月20日
  • 江戸日本の転換点 水田の激増は何をもたらしたか

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    <目次>
    序章   江戸日本の持続可能性
    第1章  コメを中心とした社会のしくみ
    第2章  ヒトは水田から何を得ていたか
    第3章  ヒトと生態系との調和を問う
    第4章  資源としての藁・糠・籾
    第5章  持続困難だった農業生産
    第6章  水田リスク社会の幕開け
    終章   水田リスクとその後の本書の総括

    <内容>
    大変丁寧な論証のされている本。あとがきを読むと、高校・大学生を読者にイメージされているようだが、ちょっと丁寧すぎるか。農書や『耕稼春秋』という絵による農書をベースに、江戸期は前半の開発期はまだよかったが、18世紀に入るともはや農業では経済が立ち行かなくなり、享保の改革による新田開発も

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    2015年09月05日
  • 江戸日本の転換点 水田の激増は何をもたらしたか

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    ネタバレ

    新田開発によって循環型社会の維持には、江戸時代の技術力では限界があったと述べられています。ものを作ることにおいて、人々の苦労は絶えなかったでしょう。だから知恵を出して、物の使い方から人の所作に至るまでそれぞれ深い意味があったのだと思います。今は便利な世の中で、お金を支払えば何でも手に入るので物をあまり大事にしないように思います。飲食店での食べ残しの量には驚きますし、空き家が放置されどんどん増えるいっぽう、新築住宅の建設が後を絶ちません。無駄なことが溢れている、今を感じます。

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    2015年07月17日
  • 江戸日本の転換点 水田の激増は何をもたらしたか

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    「水田にささえられた江戸時代の社会は、その根底において持続可能ではなかった」というのが本書の結論。新田開発のため、本来であれば牧草地として残さないといけない土地まで水田になってしまい、結果的に農耕を助ける牛馬を維持できないようになったこと。実りを多くするために肥料が必要だが、人や家畜の排泄物ではとうてい足りず、油かすや大量の鰯が投入されていたことなどが明らかになる。百姓が、年貢としておさめる白米のほか、自分たちで食べるようには赤米(インディカ種)をつくっていなんてことも初めて知った。

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    2015年07月12日