武井弘一のレビュー一覧
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○目次
序章:江戸日本の持続可能性
第1章:コメを中心とした社会のしくみ
第2章:ヒトは水田から何を得ていたか
第3章:ヒトと生態系との調和を問う
第4章:資源としての藁・糠・籾
第5章:持続困難だった農業生産
第6章:水田リスク社会の幕開け
終章:水田リスクのその後と本書の総括
よく、江戸日本社会は資源循環型の持続可能な社会であったという言説が聞かれる。しかし、江戸市中の不法投棄やたたら製鉄による禿山化など反論には枚挙にいとまがない。
筆者・武井氏も果たして江戸日本社会は持続可能な社会だったのか、再検討を試みたのが本書である。
内容をかいつまむと、17世紀後半までの日本社会は農業発展期と位 -
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江戸時代はエコ時代などと持て囃す風潮が一部で見られるが、果たしてそれは真実なのであろうか。
結論から言えば、単純に飽和状態を迎えるまでに時間がかかったというだけで、持続可能とは言えない。
新田開発によって生産高も人口も増え、コメを中心にした社会が成立し、水田を中心とした生物相も形作られ、コメの副産物である藁、糠、籾も余すところなく利用され、いわゆる持続可能な社会であったかのようにも見える。水田に暮らすタニシやドジョウなどから始まり、人間とともにタカやキツネなどを頂点とする食物連鎖も構成されていた。
しかし一方で生産を支えるための肥料を生産するために山は切り開かれ肥料になる草を生やす( -
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江戸時代の篤農家の残した資料から読み解ける百姓の実態、そして、幕府の新田開発が、農村・農家に与えた影響が描かれていた。
百姓は、幕府に年貢を納め続けることを継続するため、色んな工夫をしていた。
その中で、水田経営に不可欠な道具としての牛・馬を飼う。そのために餌を得るための草原も確保しなければならない。
武家社会における鷹狩りに必要な餌としての小鳥たちの供給。
しかしながら、将軍綱吉の生類憐みのお触れによる制度変更での現場の混乱。
また、新田開発、白米づくりにシフトしたことにより、肥の枯渇、高騰。
そのことにより、海の資源であるイワシを金肥とするような変化も起きてしまっていた。
篤 -
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持続可能な社会を目指すために
江戸時代のエコな社会を見直そう!
みたいなことがよく言われている。
著者は本当に江戸時代の生活はエコだったのか
稲作・農民の社会に焦点を当てて問うていた。
今の農家さんと多少違うんだろうとは
思っていたけれど、江戸時代の農夫たちは
思っているよりいろんな収穫物があったらしい。
水田にいるタニシを拾って食べたり
川から引き込んだ水にいたドジョウやフナ
を水田の川の水を抜くときにさらって
たんぱく源にもした。
農夫たちには鉄砲を与えられている人たちもいて
水田にやってくる小動物や農作物をねらってくる
鹿や猪を鉄砲でうってごちそうにした。
田んぼのわきの畦に大豆や稗 -
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<目次>
序章 江戸日本の持続可能性
第1章 コメを中心とした社会のしくみ
第2章 ヒトは水田から何を得ていたか
第3章 ヒトと生態系との調和を問う
第4章 資源としての藁・糠・籾
第5章 持続困難だった農業生産
第6章 水田リスク社会の幕開け
終章 水田リスクとその後の本書の総括
<内容>
大変丁寧な論証のされている本。あとがきを読むと、高校・大学生を読者にイメージされているようだが、ちょっと丁寧すぎるか。農書や『耕稼春秋』という絵による農書をベースに、江戸期は前半の開発期はまだよかったが、18世紀に入るともはや農業では経済が立ち行かなくなり、享保の改革による新田開発も