大久保潤のレビュー一覧
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日経新聞支局長と元大学教員により、沖縄について書かれた本。一般の人が知らない沖縄の事情を詳しく調べ上げ、丁寧にまとめていると思う。人物名もはっきり書かれており、データも詳細で参考になった。
「基地の見返りとして沖縄に配分されている巨額の振興資金を含めて「公」や「権威」に依存して自立への道を自ら封じている保守的な沖縄の体制と、その体制を事実上支えている日本政府の姿勢が問題なのです」p16
「基地の見返りに投入されている振興資金は、保革を問わず沖縄では大歓迎されます。振興資金は、基盤の脆弱な沖縄経済を支える屋台骨だと考えられているからです。辺野古のある本島北部にも莫大な振興資金が投入されました。 -
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沖縄の基地反対運動について、実際は、運動に参加している層は公務員の労働組合の人間が多数を占めていること、沖縄の官民の給与格差が大きいのにも関わらず、国からの振興金が公共事業に使われ、本当に必要とされていることに届いていないこと、などを主張し、沖縄の構造的差別とそれをもたらしている層を批判する本。
安全保障云々の問題から沖縄の基地問題を考えることが多かったが、本書のように沖縄経済や社会構造に焦点を当てている本に出会うことはなかった。その意味では貴重な本だと思う。沖縄の基地をめぐる問題は沖縄の社会構造や歴史、伝統に関わる難しい問題であることを痛感した。 -
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翁長知事の言動が、どうにも腑に落ちない。「オール沖縄」って、沖縄県民って、そんなにひとくくりにされる県民性なの? 辺野古の移設取り消しの理由にある、法的に瑕疵があったと思われるって、言う「思われる」って何? なぜ国連人権委員会で演説なんてしたの?
てなことで、読んでみた本。ただこの本は1月に出版された本なので、これらの疑問に対応した答えを用意しているわけないので、一応お断りを。でもなんとなく構造が見えてきた。
ざっくり言っちゃうと、沖縄には基地と振興予算をめぐる巨大な利権があって、一部の人たちにしか金が渡らない。だから格差社会化している。全国ワーストの生活水準の原因は、政府と一部の沖縄の -
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かなり衝撃的。
沖縄には明治以前から士族が農民を収奪した歴史があり、今日でも公務員、政治家、知識人、財界人優位の社会で一般庶民は貧困に苦しんでいる。
公務員優位の階級社会である県の経済は完全に基地依存。基地反対運動は本土から多額の金銭援助を獲得するためのもので、その主体は公務員(含むOB)。
地元が主張する辺野古の沖合い移転案は、埋め立てる土砂の量を増やして費用を水増しするため。地元体制側は既得権益を維持するためには、手段を選ばない。
支配層が庶民を収奪してきた歴史を棚に上げ、自分を絶対善、相手(本土)を絶対悪としてあることないことを言い募り、本土の左翼と結託し、基地反対(=反日)以外の -
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沖縄戦が終結して79年目を迎えた。沖縄戦は太平洋戦争に於いてアメリカ軍が本土決戦に挑む前の前哨戦的な位置付けにあり、日本側から見れば本土決戦迄の時間稼ぎ的な要素があったと言われる。それまでの太平洋を囲む様々な闘いで、軍艦も兵力も削られ続けた日本。本土は生産力も兵力も準備が追いつかず、やがては攻め入ってくるアメリカ軍に対抗する準備が儘ならぬ中で、1日でも多く沖縄に釘付けする事が日本側の使命とされた戦い。アメリカ側の作戦名『アイスバーグ作戦』はその名の由来は解らないが、それまでの太平洋一帯で繰り広げられた様々な闘いでから得られた教訓をこの沖縄が天王山とばかりに集大成的な意味合いを込めたのか、それと
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沖縄批判ではない。
既得権益を貪る「公」の体制の問題提起な一冊。
癒しの島、自然の楽園。そうした側面があるのも事実だが、この一冊を読むとそれらは瓦解するかもしれない。いや、それこそ沖縄幻想。本編でも書かれているが。
もはや、地場産業は公共事業と呼べる。
自主財源25%の沖縄と財政赤字千兆円の日本と、ズブズブの関係にアメリカが宜しくどうぞ。
基地返還が叫ばれるが実際、まったく使われていない基地に数千億円の税金が注入されている。振興資金でジャブジャブ。基地を置いてもらわないと、地主含め、特権階級の懐が温まらない。
沖縄における公務員がヒエラルヒーの頂点に立つ歴史的背景は琉球王国時代に遡ると -
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日本のマスコミが絶対に放送しない内容で、とても興味深かった。
普天間基地にしても、辺野古にしても、反対してるのは沖縄の人ではないということは知っていたけど、全てお金の問題だということには驚いた。
反対すればするほど、補助金を釣り上げることが出来、釣り上げることが出来たらそれが成果につながる…なんて、なんて陳腐な争いをずっと続けるのだろうか。
しかも、辺野古移設はサンゴ礁の破壊につながるからダメだと現知事は言っているが、それと同時に那覇空港増設という自らサンゴの海を破壊することは平気でする。
沖縄の現状がおかしいことを、早くみんなに知ってほしい。
また、今回息子の中学の文化祭で、3年生が -
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日本政府VS沖縄県・・・
沖縄の普天間基地移設問題というと、最早このイメージですね・・・
悪い政府は強引に辺野古に移設を進めようとし・・・
自然や平和を愛する善良な沖縄県はそれに反対・・・
「平和を愛する沖縄人の心を踏みにじる好戦的な日本政府」・・・
これがテレビなどマスコミから受けるイメージでしょうか・・・
しかし!
内情はそんなに単純じゃない!簡単じゃない!という本・・・
まずそもそも沖縄県内には、県外移設を望む民意だけでなく望まない民意もある・・・
なぜなら・・・
巨額の公共工事になるので、県外だとデッカイ利権を失っちゃうんですね・・・
なもんで容認派も多い・・・
反対派ばっかりなイメ -
Posted by ブクログ
沖縄に集中する米軍基地の現状を知れば、沖縄はかわいそうだ、沖縄のために本土は汗をかくべきだ、という意見を持つ人は多いだろう。が、それは真実なのか。
そもそも沖縄から米軍基地を排除すれば、本当に沖縄は豊かになるのか。基地を受け入れているのだから、カネをよこせと公務員は言い、基地建設工事を請け負わせろと建設会社は言う。基地がなくなったとき、彼らに新しい食い扶持はあるのか。基地返還の経済効果ばかりを計算し、基地喪失によるマイナス効果に触れようとしない。沖縄の基地反対運動とは、本土から補助金をむしり取る活動なのだ。
そのことを理解しておけば、現在の県知事が普天間基地の一部を辺野古へ移設することを反 -