【感想・ネタバレ】沖縄の不都合な真実のレビュー

あらすじ

こじれにこじれる沖縄の基地問題の本質はどこにあるのか。見据えるべきは「カネと利権」の構造である。巨額の振興予算を巡り、繰り返される日本政府と県の茶番劇。この構図が変わらない限り、問題は解決できない。公務員が君臨する階級社会、全国ワーストの暮しに喘ぐ人々、異論を封じ込める言論空間等々、隠された現実を炙り出す。党派を問わず、沖縄問題の「解」を考えていく上で必読の書。

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Posted by ブクログ

日経新聞支局長と元大学教員により、沖縄について書かれた本。一般の人が知らない沖縄の事情を詳しく調べ上げ、丁寧にまとめていると思う。人物名もはっきり書かれており、データも詳細で参考になった。
「基地の見返りとして沖縄に配分されている巨額の振興資金を含めて「公」や「権威」に依存して自立への道を自ら封じている保守的な沖縄の体制と、その体制を事実上支えている日本政府の姿勢が問題なのです」p16
「基地の見返りに投入されている振興資金は、保革を問わず沖縄では大歓迎されます。振興資金は、基盤の脆弱な沖縄経済を支える屋台骨だと考えられているからです。辺野古のある本島北部にも莫大な振興資金が投入されました。が、振興資金も特効薬ではありません。一過性の、麻薬のようなもので、それがなければたちまち痛みが出てきます。病巣は放置されたままです。振興資金は、一部の人たちを利するだけで県民全体には浸透しないという問題も抱えています。復帰以来、11兆円という巨額の振興資金が投じられてきましたが、全国最高の失業率と全国最低の県民所得、そして全国でいちばん深刻な所得格差は一向に改善しません。沖縄にとって最大の問題である「貧困」は、辺野古移設問題の陰に隠れて、表に出てくることさえ稀です」p16
「沖縄には、自分たちの現状を変えたくないという、真の意味での保守的な社会集団が存在するということです。「基地には反対だが、基地の見返りである振興資金に依存する公主導・官主導の経済はこのまま続けたい」という集団です」p17
「沖縄の基地を減らせば減らすほど、特別な振興予算もガソリンや泡盛の特別な減税措置も大幅に減らせます。沖縄振興だけのために1000人の職員がいる内閣府沖縄総合事務局も、沖縄振興のためだけの銀行である沖縄振興開発金融公庫もなくせます。その分、国民の税負担は減ります」p27
「(辺野古移設)沖縄側のキーマンは建設会社、東開発会長の仲泊弘次氏でした」p31
「(アメリカ統治「琉球列島に関する民事ハンドブック」)「琉球人は粗野な振る舞いから、日本人に「田舎から出てきた貧乏な親戚」と差別されている。潜在的な不和の種は政治的に利用できる」米軍は、「琉球」「琉球人」という言葉を多用して、本土と沖縄は違うという意識を植え付けます」p68
「琉球大学は米国主導でつくられ、創立記念日はリンカーンの誕生日です」p68
「米兵が「胡屋」「古謝」を誤読して定着した「コザ」が好まれるのも、米軍の上手な沖縄支配の名残でしょう」p69
「一見「反戦」に見える沖縄の声の本質は「反日」です。その結果、本土と沖縄が分断され、基地問題が内政問題化してきました。そのことは、在日米軍の安定運用を図る米国の狙いとピタリと重なっています」p70
「米軍基地の割合は本土77%(789平方km)沖縄23%(232平方km)です。本土には沖縄の3.4倍の米軍基地があります」p71
「沖縄以上の住宅密集地に米軍飛行場がある本土の普段の生活を是非、見てほしいと思います。そうすれば、なぜ日本一危険な米軍基地が、実は普天間ではなく厚木だと言われているのかがわかるはずです」p72
「普天間基地は終戦時の1945年に完成しました。一方、ニュースなどでよく取り上げられる普天間第二小学校は、その24年後の1969年に宜野湾市が危険を承知であの場所に建てたものです。軍事飛行場に隣接して小学校を建てた例は、世界でも沖縄だけだと思います。最も驚いたのは普天間飛行場所属のパイロットでしょう」p75
「県内市町村所得ランキングの上位を占めるのはすべて基地のある市町村です(1 嘉手納町、2 北谷町)。所得伸び率を見ると、トップは東村、2位は嘉手納町でした。つまり、基地さえなくなれば経済成長できるという話はこれらの数値を見るだけで眉唾だということがわかります」p87
「(沖縄は)高失業率・低所得が定着し、経営者が圧倒的に強い前近代的な弱肉強食の資本主義社会になっています。琉球大学OBのエリートを中心とした閉鎖的な支配階級が県内権力と一体化しているため、沖縄には県内権力を批判するマスコミや労組、学識者などの左翼勢力が育ちませんでした。女性や子供、障害者ら社会的弱者が放置され、中小、零細企業の労働者は搾取されています。これが沖縄における最も深刻な基地被害です」p90
「多額の税金をつぎ込んで実施されてきた振興策は、目だった産業をつくれませんでした。公民館やホール、公園や野球場、運動施設、大規模な観光施設などに使われ、中小企業や個人には回らず労使関係をゆがめました」p92
「(日本銀行那覇支店レビュー)県内ではオーナー企業や中小企業の割合が高いこともあって労働組合の組織率が全国比で低いことが挙げられる。この結果、雇用・賃金に関する経営サイドからの不利益案件が、大きな抵抗もなく実行されており、こうした労使関係の枠組みが、県内の労働分配率の低さなどといった取得環境の悪化に繋がっている」p93
「沖縄のジニ指数は0.339と全国一です」p94
「所得が1000万円を超える納税者の割合が、沖縄は10.2%で全国9位。ベスト10で大都市圏でないのは沖縄だけです」p94
「支援なし民間学童保育は7割が沖縄。子育てへの支援が日本一貧弱です。盲、聴覚障害者養護老人ホームの未設置、自治体のバリアフリー構想ゼロなのも沖縄だけ。NHK受信料を支払っている世帯は42%。五割を切るのは沖縄だけ。年金加入率も最下位。給食費の未納も日本一です。離婚率は9年連続ワースト。生涯未婚率は男性22.3%(1位)、女性9.7%(2位)。「日本で最も結婚が難しく離婚しやすい県」のイメージがすっかり定着しています」p94
「沖縄だけは県版がないので、沖縄の記者は全国紙に地元ニュースを出し抜かれる心配がありません。だから、全国紙の影響を受けずに県当局と一体化した紙面がつくれるのです」p109
「(利権問題)本来なら沖縄のメディアは、率先してこれらの問題に本格的な調査を行い、沖縄に流れ込む基地関連の金をめぐり政財間の癒着構造ができていることをあばくべきではないのか」p110
「(沖縄の)企業所得はほぼ全国並み。ところが、資産所得比率は大阪(2位)、東京(3位)を引き離してダントツ1位です。資産所得の4割が基地使用料で、地主約4万人のうち年間100万円以上の使用料を受け取る地主が46.2%(約1万8000人)存在します。これも、沖縄経済を歪める大きな要素です」p124
「年収300万円未満の家計は50.14%で全国一」p125
「①所得が公務員に偏在している ②所得上著しい公民格差が存在する ③政治的影響力のある公務員が経済的イニシアティブを握っている ④結果として「民」優位ではなく琉球王朝以来の「公」優位の経済社会が温存されている」p138
「沖縄は県土に占める埋め立て面積が全国で最も多い県ですが、観光資源である美しい海を自らつぶすのは、建設、土木、砂利、コンクリート、建設資材、運送業など裾野の広い建設業界で生計を立てる県民が多いためです」p147
「(辺野古移設反対運動)自治労沖縄、沖教組、沖縄国家公務員労働組合など公務員系の組合が主力です。大規模な民間労組がない沖縄では、労組といえば公務サービス関係の労組を指しています」p153
「守られているのは、オール沖縄の「県民益」ではなく、「公務員益」であり、「組合益」であり、一部の「企業益」であり、「政治家益」ではないでしょうか」p173
「自分の本を地元の出版社に依頼して自費出版しようという思いも叶えられないほど、沖縄における「表現の自由」や「言論の自由」に対する意識は麻痺しているのでしょうか」p191
「日本による沖縄差別を問うのであれば、沖縄本島による奄美・宮古・八重山地方に対する差別と収奪の歴史にも「落とし前」をつけなければなりません」p205
「大事なのは被害者沖縄に寄り添うことではありません。沖縄の基地を減らし、見返りの振興策と減税措置をなくすことです。沖縄に基地があることは、膨大な税金を消費するのですから本土にとっては経済的にはマイナスなのです。このことが理解されれば、「沖縄の基地を減らせ」という声は沖縄よりもむしろ本土で強まると思います」p213

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2018年10月30日

Posted by ブクログ

基地をめぐる沖縄のリアクションにどこか病んだ雰囲気を感じてはいましたが、本書を読んで完全に病んでいるとわかりました。

基地をめぐる沖縄の反応の裏には吐き気がするような利権構造が横たわっている、それはわかりました。しかし一番驚かされるのは(対米課題や基地問題といった外政ではなく)沖縄の内政状況です。これまで数兆円規模の振興予算が注ぎ込まれたにもかかわらず沖縄内政は圧倒的な格差を生んでおり、(ジニ係数をはじめとした)さまざまな指数にそれがあらわています。基地問題によってある意味それがマスクされている。

色々と参考になった1冊でした。

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2017年06月15日

Posted by ブクログ

沖縄の基地反対運動について、実際は、運動に参加している層は公務員の労働組合の人間が多数を占めていること、沖縄の官民の給与格差が大きいのにも関わらず、国からの振興金が公共事業に使われ、本当に必要とされていることに届いていないこと、などを主張し、沖縄の構造的差別とそれをもたらしている層を批判する本。
全保障云々の問題から沖縄の基地問題を考えることが多かったが、本書のように沖縄経済や社会構造に焦点を当てている本に出会うことはなかった。その意味では貴重な本だと思う。沖縄の基地をめぐる問題は沖縄の社会構造や歴史、伝統に関わる難しい問題であることを痛感した。

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2016年09月23日

Posted by ブクログ

翁長知事の言動が、どうにも腑に落ちない。「オール沖縄」って、沖縄県民って、そんなにひとくくりにされる県民性なの? 辺野古の移設取り消しの理由にある、法的に瑕疵があったと思われるって、言う「思われる」って何? なぜ国連人権委員会で演説なんてしたの?

てなことで、読んでみた本。ただこの本は1月に出版された本なので、これらの疑問に対応した答えを用意しているわけないので、一応お断りを。でもなんとなく構造が見えてきた。


ざっくり言っちゃうと、沖縄には基地と振興予算をめぐる巨大な利権があって、一部の人たちにしか金が渡らない。だから格差社会化している。全国ワーストの生活水準の原因は、政府と一部の沖縄の既得権益者の強固な地盤を崩すことができないから、というような主張。


それでもって、オール沖縄とかいうスローガンのもと、すべての責任を政府や本土へ押し付けるのは、沖縄内部にある腐敗構造から県民の目をそらせるためで、なんの解決にもつながらない、ということが言いたいのだと思う。


翁長知事もその既得権益者からの支持を取り付けたから当選したのであって、県民の目を欺くことに一役買ってる、とまでは言ってないけど、ニュアンスとしてはそんな感じ。


詳しくは本書を読めばわかるので、深入りしない。
基地を無くしたら沖縄は豊かになると県民は思っているのかもしれないが、基地を無くさずこのまま振興予算を獲得し続けたいという既得権益者たちの影響力が強いので、まずそこを倒すことに目を向けなくてはいけない。


でも、こんなこと言おうものなら、こっぴどく叩かれるらしい。沖縄内部に原因を求める良識ある沖縄言論人の言葉も新聞や出版界では封殺されるようだ。許される発言ではないけど、百田尚樹が沖縄の新聞社を潰せと言った背景がわかった。


間違いなく、この本は沖縄では売れない!
もしかしたら本の流通経路から弾き飛ばされて店頭に並んでさえいないかもしれない。
でも、この本は本土の人間がいくら納得したところでほとんど無益。沖縄県民が読まないと意味がない。沖縄県民が変えるしかない問題だから。

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2017年08月15日

Posted by ブクログ

かなり衝撃的。

沖縄には明治以前から士族が農民を収奪した歴史があり、今日でも公務員、政治家、知識人、財界人優位の社会で一般庶民は貧困に苦しんでいる。

公務員優位の階級社会である県の経済は完全に基地依存。基地反対運動は本土から多額の金銭援助を獲得するためのもので、その主体は公務員(含むOB)。
元が主張する辺野古の沖合い移転案は、埋め立てる土砂の量を増やして費用を水増しするため。地元体制側は既得権益を維持するためには、手段を選ばない。

支配層が庶民を収奪してきた歴史を棚に上げ、自分を絶対善、相手(本土)を絶対悪としてあることないことを言い募り、本土の左翼と結託し、基地反対(=反日)以外の言論を封殺する構図は、最近よく聞く構図とダブって見える。

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2015年06月05日

Posted by ブクログ

沖縄戦が終結して79年目を迎えた。沖縄戦は太平洋戦争に於いてアメリカ軍が本土決戦に挑む前の前哨戦的な位置付けにあり、日本側から見れば本土決戦迄の時間稼ぎ的な要素があったと言われる。それまでの太平洋を囲む様々な闘いで、軍艦も兵力も削られ続けた日本。本土は生産力も兵力も準備が追いつかず、やがては攻め入ってくるアメリカ軍に対抗する準備が儘ならぬ中で、1日でも多く沖縄に釘付けする事が日本側の使命とされた戦い。アメリカ側の作戦名『アイスバーグ作戦』はその名の由来は解らないが、それまでの太平洋一帯で繰り広げられた様々な闘いでから得られた教訓をこの沖縄が天王山とばかりに集大成的な意味合いを込めたのか、それとも氷の様に打ち砕いた先に、日本本土を打ち砕こうとしたのか。対する日本も陸軍と海軍陸戦隊合わせ9万以上の兵力を終結させて迎え撃った。少しでも長く足止めするには、それまでの島嶼戦で常套手段となっていた水際で迎え撃つ作戦を止め、沖縄の地下にに古くからめぐらされた地下洞窟を巧みに利用しつつ有意な地形で持久作戦を採用した日本軍。結果的には南部撤退により逃げ惑う民間人をも大量に巻き添えにしつつ、悪戯に戦闘を長引かせて損害を拡大させたなど後世評価は二分される。また沖縄県民は子供から老人まで、特に中学生以上は弾薬運びや負傷兵の手当てに狩り出され、洞窟での集団自決など地獄の様相を見せる。ひめゆり部隊、鉄血勤皇隊など多数書籍でその悲劇は語り継がれている。
本書はその様な悲惨な歴史を経て、今も残り続ける米軍基地の問題を取り挙げ、今後将来の沖縄のあるべき姿について言及している。辺野古への移設を決定した当時の民主党鳩山政権。今も埋め立てが進む海岸線の工事、それに絡む地元土建企業や全国最下位の平均収入に対して収入格差が広がる沖縄県公務員の問題。基地から得られる土地の借地料や投入される国庫からの援助資金。様々な利権や力関係が泥沼の様に底なしの混乱を招いている。果たして沖縄から基地を無くすべきか、それとも基地と共に歩む方が県民にとって良いのか。本書は立場的には前者の基地を無くす事を主張するが、沖縄の公的な立場から出される様な、偏った基地の不公平感を無くすべきとか、ジュゴンの生息地が失われるといった自然破壊の問題、アメリカ軍が居ることによる治安悪化などの問題とは関係ない主張となっている。何故なら基地の数や危険性、騒音問題などは余程厚木の方が酷い状況ではあるし、雇用問題において本心から全沖縄県民が出ていって欲しいとは考えていないのではないか、という他の書籍とは一線を画す内容となっている。その最大のポイントは国民の税金が沖縄に投下され続けることは、国民全体の不利益であることばかりか、沖縄県側が基地がない方が得られるはずと主張する9000億以上の利益が本当に上がるなら、それに任せれば良いという立場をとる。現在も毎年3,000億近くの補助金などが沖縄に流れ、一部建設事業者や土地所有者、そして公務員に流れていく歪な構造を明らかにする。その上で、本来はあり得ないと言いながらも、沖縄側が主張する9,000億の利益(中間取引金額が累積されている問題は指摘しつつも)が沖縄を潤すなら、任せればよいとの立場になると考えられる。
民間人軍人合わせて18万以上の死傷者を出した沖縄戦。現在もなおアメリカ軍が大量に駐屯し、海を挟んだ向こう、アジアの龍中国に睨みを効かせる。軍事的には沖縄でなくとも牽制効果は発揮できる様だが、そうした地域的な牽制の意味での軍事力を確保しつつ、沖縄の自然や文化を最大限に活かした観光事業などで、沖縄自身が自律的な経済発展を成し遂げられるなら撤退も一つの選択肢であると考える。沖縄県民自身がオール沖縄の一括りにされる事をどの様に考えているか、戦争世代が居なくなりつつも、祖父母や親から語り継がれてきた沖縄の惨事をどう捉え、どの様な道を若者たちが選択するか。沖縄県民自身しか答えは出せない。
基地問題を語りながらも、沖縄の奥深くに潜む様々な構造的問題を明らかにし、県民自身に答えを問う一冊である。

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2024年06月27日

Posted by ブクログ



沖縄批判ではない。
既得権益を貪る「公」の体制の問題提起な一冊。

癒しの島、自然の楽園。そうした側面があるのも事実だが、この一冊を読むとそれらは瓦解するかもしれない。いや、それこそ沖縄幻想。本編でも書かれているが。

もはや、地場産業は公共事業と呼べる。
自主財源25%の沖縄と財政赤字千兆円の日本と、ズブズブの関係にアメリカが宜しくどうぞ。
基地返還が叫ばれるが実際、まったく使われていない基地に数千億円の税金が注入されている。振興資金でジャブジャブ。基地を置いてもらわないと、地主含め、特権階級の懐が温まらない。
沖縄における公務員がヒエラルヒーの頂点に立つ歴史的背景は琉球王国時代に遡るという。二人の農民で一人の士族を養うという恐ろしい隷属文化がいまだに脈々と続いていると。

本書は決して、沖縄を批判しているわけではない。対岸の火事ではなく、目を向ける良いきっかけになるように思う。

日本であり日本に非ず。
ウチナンチュがナイチャーと使うのも、少しばかり分かる気がする。

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2017年12月03日

Posted by ブクログ

日本のマスコミが絶対に放送しない内容で、とても興味深かった。

普天間基地にしても、辺野古にしても、反対してるのは沖縄の人ではないということは知っていたけど、全てお金の問題だということには驚いた。
反対すればするほど、補助金を釣り上げることが出来、釣り上げることが出来たらそれが成果につながる…なんて、なんて陳腐な争いをずっと続けるのだろうか。

しかも、辺野古移設はサンゴ礁の破壊につながるからダメだと現知事は言っているが、それと同時に那覇空港増設という自らサンゴの海を破壊することは平気でする。

沖縄の現状がおかしいことを、早くみんなに知ってほしい。

また、今回息子の中学の文化祭で、3年生がやっていた沖縄の寸劇にとても違和感を感じた。
それは、アメリカが沖縄に上陸してきて、日本兵にどれだけ怖い思いをさせられたかという寸劇だった。そこには、日本兵の悪さと沖縄の人たちの辛さだけが描かれていて、アメリカ兵のことは何一つ演じられていなかった。
3年生は修学旅行で沖縄に行ったのだが、正しい歴史を教えようとせず、ただ日本兵が悪い、日本が悪いという教えはいいかげんやめてほしい。

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2015年11月21日

Posted by ブクログ

この本の中身が絶対正しいかどうかはわかりませんが、説得力はあるように思います。
少なくとも、この本のような見方は可能だと思います。

普天間基地や辺野古の件は、自分自身、あまりにも知らないことが多かったので、とても勉強になりました。

沖縄に対する見方が、この1冊で、ずいぶん変わりました。

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2015年05月31日

Posted by ブクログ

日本政府VS沖縄県・・・
沖縄の普天間基地移設問題というと、最早このイメージですね・・・
悪い政府は強引に辺野古に移設を進めようとし・・・
自然や平和を愛する善良な沖縄県はそれに反対・・・
「平和を愛する沖縄人の心を踏みにじる好戦的な日本政府」・・・
これがテレビなどマスコミから受けるイメージでしょうか・・・
しかし!
内情はそんなに単純じゃない!簡単じゃない!という本・・・

まずそもそも沖縄県内には、県外移設を望む民意だけでなく望まない民意もある・・・
なぜなら・・・
巨額の公共工事になるので、県外だとデッカイ利権を失っちゃうんですね・・・
なもんで容認派も多い・・・
反対派ばっかりなイメージだけど・・・
実はそうでもないんだそう・・・
さらにとっても肝心な地元の辺野古地区の住民ですが、暮らしのために、と移設容認派が多数派だという・・・
そうなんだ?意外です・・・
地元がイイと言うなら移設しても良いように思うんだけども・・・
なんでダメなんだろう?
うーむ・・・
で、その県内移設の辺野古に移設する案ですが・・・
環境保護を重視した内陸案があったのに、名護市は埋め立て面積が増える浅瀬案を押し・・・
当初L字の滑走路だったのが、やっぱり埋め立て面積が増えるV字に・・・
さらに県内の業者で受注できるようにV字を浅瀬の埋め立ての多い沖合いに移せと要求・・・
うーむ・・・
サンゴがどうとか言うなら、内陸案でやればイイのに・・・
容認派、反対派ともどもに複雑ですね・・・

反対派はあくまでも心と平和に拘り・・・
容認派は振興策と振興資金(我々の税金)が欲しい・・・
「心と平和」対「お金」では著者も言うように、ほとんどの人が「心と平和」を支持するでしょう・・・
反対派は純粋・・・
容認派は不純・・・
ですもんね・・・
でもでも、現実の沖縄経済は、基地と基地負担の見返りの振興資金にスゲー支えられてます・・・
基地がなくなって、振興資金がなくなったら、現状間違いなく経済が立ち行かなくなっちゃいます・・・
基地を返さないで欲しいという声があるのはこのため・・・
純粋な心ばかりが前面に出すぎてイイものか・・・
うーむ・・・

ちなみに全基地が返還されたら経済効果ヤバイよ!9155億円だよ!という試算があるそうだけど、著者はこれは眉唾モノ、と一刀両断・・・
これ、生産誘発額といって通常、経済成長を表すGDPではない・・・
GDPなら5154億円で、経済効果が累計なのか、それとも毎年この経済効果が続くのか試算には載っていない・・・
5154億円毎年経済効果があるとすると年率14%の経済成長になるけど・・・
過去の日本の経済成長率と比べて異常・・・
それに基地がなくなることでマイナスになる分は考慮されておらず片手落ち・・・
だそうな・・・

基地反対を叫ぶ正義の声・・・
それに対して振興資金を出して矛を収めてもらおうとする悪モノの日本政府・・・
基地反対とは言うけれども振興資金に依存せざるをえない沖縄経済・・・
うーむ・・・
そして、基地問題に隠れているけど、貧困問題こそ沖縄の大問題と著者は言う・・・
全国最低レベルの平均所得、失業率、労働分配率・・・
子育てへの支援が日本一貧弱で、障害者への支援も最低・・・
年金加入率も最下位・・・
離婚率も9年連続でワースト1・・・
DVの発生率もワースト1・・・
生涯未婚率も男女共にトップクラス・・・
等々(まだある)、読んでいくと厳しい経済状況が垣間見える・・・
振興策などに依存し続けている自立できない沖縄経済・・・
その振興策もまんべんなく潤うのではなく、恩恵を受けるのは一部の企業、自治体、住民だけ・・・
そしてゆとりのある沖縄の公務員・・・
この歪み、この格差・・・
厳しいです・・・
これこそ沖縄の不都合な真実・・・
平和だ!心だ!と正義の声を声高に叫んでも、もちろんそれも大事だけど、沖縄の人々のこの厳しい暮らしという現実を無視するわけにはいかない・・・
「平和を愛する沖縄人の心を踏みにじる好戦的な日本政府」・・・
こんな単純な構図だったら多分もっと早く決着がついているはず・・・
安保・歴史・基地負担・財政・経済の要素が絡みまくっている・・・
そんな沖縄の複雑な事情を垣間見れる本・・・
難しい・・・
でも、こういう事情もあるということを知らないといけませんね・・・

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2015年05月12日

Posted by ブクログ

大変勉強になりました。大衆向けに問題を単純化してしまっている報道は非常にリスクがあることがわかります。

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2015年05月08日

Posted by ブクログ

沖縄に集中する米軍基地の現状を知れば、沖縄はかわいそうだ、沖縄のために本土は汗をかくべきだ、という意見を持つ人は多いだろう。が、それは真実なのか。

そもそも沖縄から米軍基地を排除すれば、本当に沖縄は豊かになるのか。基地を受け入れているのだから、カネをよこせと公務員は言い、基地建設工事を請け負わせろと建設会社は言う。基地がなくなったとき、彼らに新しい食い扶持はあるのか。基地返還の経済効果ばかりを計算し、基地喪失によるマイナス効果に触れようとしない。沖縄の基地反対運動とは、本土から補助金をむしり取る活動なのだ。

そのことを理解しておけば、現在の県知事が普天間基地の一部を辺野古へ移設することを反対している理由も単純だ。要するに、カネがもっと要るということだ。

産業も雇用もない沖縄にとって、基地がなくなることは一番不幸なことなのだ。

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2015年04月25日

Posted by ブクログ

沖縄の基地を巡るさまざまな問題、我々ヤマトの人間にはわからない沖縄の人々の思い。この本は日米安保や普天間だけでなく、在沖の基地について日本人ならば知っていなければならない諸問題を教えてくれる。

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2015年04月23日

Posted by ブクログ

本著を読むと沖縄という地域がいかに悪しき意味で「中国的」かがわかる。すなわち、政官財の癒着、権力べったりのマスコミ、歴史的に見た士族(つまり役人)の割合の多さと庶民との格差、琉球大サークルによる支配、等々。県内の格差状況に関してのシビアな分析もタイトルにふさわしい。

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2019年04月07日

Posted by ブクログ

沖縄の米軍普天間基地の辺野古移転に対し、多くの沖縄県民が反対しているかのような報道のされ方が多いが、実は賛成派も多くいる。県外に移設されると困る人も多いようだ。オスプレイの危険性についても、他のヘリと比べて危険というわけでもなく、報道にバイアスがかかっているのだろう。厚木基地のほうが普天間よりもよほど危険らしい。新聞報道、テレビ報道は鵜呑みにしないほうがよいだろう。特に朝日新聞か。

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2019年03月26日

Posted by ブクログ

文字通り沖縄の経済や米軍基地問題などについて解説した一冊。

従来の本土側からの見方だけではなく、沖縄側からの見方を知ることができて良かった。

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2018年03月18日

Posted by ブクログ

米軍基地があることで沖縄経済がなりたってる
ところもあるのかな。

沖縄振興予算
土建利権
軍用地借地料

中国の工作、影響をもっと知りたかったですが。

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2017年01月15日

Posted by ブクログ

なかなか入り組んでいて難しいけれど、基地問題の見えてない側面を知ることができた。悲劇と癒しの島というレッテルを貼られたその奥には、深刻な貧困の問題がある。辺野古移転を反対しているのは、辺野古以外の人たちというのもまったく知らなかった。上層部の人たちは、基地問題をつらつかせながら、資金を回させようとする。構造的差別の問題。沖縄ジャーナリズムは、2つの新聞に牛耳られ、内地のものはなかなか入り込めない。片鱗しか理解できなかったが、もっと知りたいと思った。

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2015年07月02日

Posted by ブクログ

新書1冊分の内容があるのかというと,1/2冊程度の内容だとおもう.利権の構造であるということはわかった.左翼がしっかりしていない あるいは左翼の対立軸の立て方がなっていないのが日本の政治の問題点.沖縄問題も同じ.反戦平和というのは,理念としては崇高だが,非現実的で,そういうことを言って金をむしり取っている.聖域というかアンタッチャルブというかいろいろ言い方はあるが,その類の問題.

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2015年05月16日

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