蛇蔵のレビュー一覧
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購入済み
設定の発想がすごい!
神様(クライアント)の依頼を受けて動物たちをデザインする、という設定だけで大勝利。いくらデザインが良くても、いざ《試作》してみると決定的な欠点があったり、色々とリアルでまた可笑しい。なるほど、ペガサスとユニコーンは実在しないわけだ!
私も何かデザインして、「天啓です!」を聞いてみたい。意外となんでもありだから、生き物ってすごい。 -
Posted by ブクログ
「もし生物が誰かによってデザインされたとしたら?」という視点で生物の造形や生態に改めて感心させられたり、デザイナー達の発想力に驚かされたりする漫画。
進化論に喧嘩売る内容ではない。
登場する生物は、全く知らない生物はほぼおらず、動物園や水族館等で見た事がある生物とその仲間もそこそこいる。いわゆる動物雑学的な部分についても、その手の図鑑や番組で見た事あるものも多い。
しかし普段なら、へー凄い生物もいるもんだなー、で終わる内容もデザイナーがいるという視点で考えると全く違って見える。
奇抜な造形、機能的な内部設計、固定観念を打ち破りすぎる生態等々、生物に対して言うと変な感じだが、生物って本当によくできている。
それらのデザイナー達も個性的な方ばかりで、まあこれだけぶっ飛んだデザイナー達なら作れるな!という謎の説得力がある。
神のアバウトなオーダーに対してデザイナーが試行錯誤する工程が楽しく、同じコンセプトでも全く違う生物ができたり、「こういう造形の生物は実現できるか?」といった思考実験的な事もあったりする。これはその手の図鑑や番組ではなかなか無い視点なので新鮮。
結構な種類の生物が登場するが、嫌なリアルさが無く、可愛い生物は可愛く、カッコイイ生物はカッコよく描き分けられている。素人目だが、しっかり特徴も出てると思う。
一応、話の後に作中に登場した生物の写真(モノクロ)も載ってる。
贅沢をいうなら、生物は体色にも特徴あるしカラーで見たいなあ -
Posted by ブクログ
<「ガリレオの拓いた古典力学とマクスウェルの電磁気学を両立させるためにアインシュタインが特殊相対性理論に辿り着いたように・・・」。わかり合える日はきっと来る・・・!>
理系クンの恋を応援しながら、アブない実験を行い、かつ偉人たちの業績(+悪行)を紹介する怒濤の学習コミック3巻目。
この巻の中心はロボットコンテスト(通称ロボコン)。
物理学部の掛田クンは、意中の人、生協食堂の飯島さんとロボコンを見に行きたいのですが、「デート」と構えすぎてうまく誘えません。頑張りつつも方向が間違っている掛田クン。
コンテストに登場するのは、トランプを手裏剣のように投げてニンジンに突き刺すロボット、紙から紙飛行機を折って連射する装置、ルービックキューブ完成機、テンキーで数値を入力すると、そろばんで計算してくれるロボット、と役に立つやら何やらよくわからない世界。
このあたりは実際に作製された装置がモデルになっていて、笑いつつもその情熱と着眼点に感心させられます。
偉人ネタでは、フェルマーの定理に関わる話や、意外に肉食系だったキュリー夫人の話もなかなかおもしろかったですが、電話発明者のグラハム・ベルが意外な2人を繋いだ話が興味深かったです。
ベルの父は発音学者、母は難聴のピアニスト、妻は耳が不自由という家族構成で、ベルは音声学と聾唖教育の第一人者でもありました。そこに舞い込んだのが「目と耳が不自由な娘に教育を受けさせたい」という依頼。依頼者はヘレン・ケラーの母。ベルが家庭教師として紹介したのが、他ならぬアン・サリバンだったのだそうです。
ベルという人は人柄も温厚で新しいものへの情熱も深かったそうで、機会があれば少し詳しい評伝を読んでみようかなと思います。
主要登場人物である工学部の有栖君と留学生のテレス君。2人併せると「アリストテレス(有栖とテレス)」だというのにようやくこの巻で気が付きましたw
・・・いや、それより「ニュートリノ」の語源が、「neutro-」(中性)+「ino」(小さい)だというのに「おお!」と感動しました。何となくニュー・トリノなのかと思っていたので(新しいトリノって何だ(^^;))。や、勉強になりました。
さて冒頭のひとことは、掛田クンが飯島さんに精一杯の告白をした際のセリフ。それに対する飯島さんの答えは!? ここまでの実験と学習が十分に生きたものでしたよ。
決して泣くところではないと思いますが、私、うるっとしてしまいました。
そう、違いはあっても互いへの関心があれば、乗り越えられる。
エンタメに仕上げつつも、「知らない世界」へのキラキラした瞳で、科学の世界へと読者を誘ってくれる本シリーズ。「愛」は興味と関心を持つところから始まるのです。読後感のよさはそんなところから来ているように思います。
*笑いながらいろいろと勉強になった本シリーズ、何とこの巻で完結なのだとか。
確かに掛田クンには春が来そうな気配ですが・・・。
えー、もったいないなぁ・・・。発行部数や知名度は「日本人の知らない日本語」シリーズには及ばないとは思いますが、負けず劣らずおもしろいのに・・・。
と思ったら、アンケートはがきが入っていて、「続編が発売されたら購入しますか?」の質問が。もちろん、もちろん。花丸付けて返送します♪
*作中に掛田クンが飯島さんへの恋心を分析した論文が登場しますが、そういえば、リアルでも論文でプロポーズというのが昨年ニュースになりました。「謝辞」に、協力を感謝したうえで、"Will you marry me ?"( Brown, C.M., and Henderson, D.M. 2015. Current Biology, 25: 1641–1648)。お相手の答えはYesだったそうです。よかったですねw -
Posted by ブクログ
『決してマネしないでください。』の2巻。相変わらず好調。
キムワイプ(*実験用の拭き取り紙。毛羽立たないので実験器具にはよいが、鼻をかむとすり切れると思う(^^;))とティッシュを入れ替えると脅すとか、工学部で飼われているネコの名前がシュレーディンガーとか、小ネタのキレがすごいw
そうかと思えば、少量残ったケチャップを出すにはどうするか、とか、飛行機が飛ぶのはなぜか、とか、実際に(?)役立ちそうなネタも。
偉人ネタでは、偉大な科学者ニュートンの意外なほどの心の狭さがなかなかすごい。ライプニッツもロバート・フックも、業績の争いから、激しく攻撃されたという。峻厳なニュートンは貨幣偽造者も追い詰めたが、これは別の本(『ニュートンと贋金づくり―天才科学者が追った世紀の大犯罪』)に詳しい。まぁ要するに善人だろうが悪人だろうが、やっつけるときはこてんぱんにやる、ということですかね。デキのいい頭をフル回転して斬るわ斬るわ。絶対に敵に回したくない男、ニュートンw
意外なネタとしては、万有引力の発見と感染症の関連が「コボれ話」にある。ニュートンがりんごが落ちるのを見て万有引力を発見したという説には確証がなく、伝説のようなものと考えられるが、実際に生家にはりんごの木があり、ニュートンが生家に滞在していた際に万有引力のアイディアを得たことは間違いがないようだ。ケンブリッジ大学にいたはずのニュートンがなぜこの時期(1665年)生家にいたかといえば、当時、ペストが大流行し、大学が閉鎖されて帰郷を余儀なくされたためだ。1666年に流行が一段落するまでの間、後の業績につながる多くの着想を得たという。雑務から開放されたのが功を奏したとも言える。ペストの流行がなかったら、万有引力の発見は生まれなかったか、少なくとももう少し遅れていたかもしれない。感染症の影響はこんなところにもあったのか!(cf.『人類と感染症の歴史』)。
ベンジャミン・フランクリンは経営者であり政治家であり科学者であり発明家でもある。数々の名言でも知られ、自分を律することにも熱心だった。フランクリンの十三徳というものが知られており、「節制」「沈黙」「規律」「決断」「節約」といった13のお題のうち1つを週の目標として自己鍛錬に務めていたという。
嵐の日に凧を揚げ、雷が電気だと証明した実験がよく知られるが、同じことをして死んだ例は実は数多いそうな。「やる気と我慢はすべてを克服する」とフランクリンが残した格言の1つだが、プラスアルファで強運も必要かもしれない。この実験は本当に決してマネしない方がよい。
掛田クンの恋は相変わらずである。「どうすれば貴女に(x^2+y^2-1)^3-x^2y^3=0を描いてもらえるのかわかりません」とすっとこどっこいなことを言っている(グラフ化するとハートになりますw)。意中の人である飯島さんの姪っ子、鈴ちゃんが登場し、少しは事態が好転しそうな気配も。待て次号。 -
Posted by ブクログ
一部で話題になっていたらしい「決してマネしないでください」、略称「決マネ」。果たしてどんなもんだろうか?と1巻買ってみたら、いやこれ、むちゃくちゃおもしろいw
作者は蛇蔵さん。『日本人の知らない日本語』シリーズの作者である。
工科医大・物理学科の学生、掛田氏が、学食で働く女性、飯島さんに恋をした。
ガッチガチの理系クンが勇気を振り絞った告白のセリフは、「僕と貴女の収束性と総和可能性をi(アイ)で解析しませんか?」
・・・いや、それ、普通通じませんからっ!
そんな掛田クンの遠回りな恋を中心に、ダンディな外見ながらアブない実験ばかりする高階先生、医師免許を持つ白石先生、ラトヴィアからの留学生のテレス君、工学部だがなぜかしょっちゅう遊びに来ている有栖君が、飯島さんに代表される一般人にも科学のおもしろさが伝わる実験に取り組みつつ、掛田クンの恋を応援(?)し、ついでに科学史についても学んじゃおうという、アクロバティックなコミックである。
掛田クンをとりまく面々も理系揃い。「心が折れた」と落ち込んでいる掛田クンに「折れれば人としての厚みが増す。新聞紙でも42回折れば月まで届く。71回折れば25光年先のベガ(織姫)まで届く」と励ましてくれる心優しい人々だ。
実験はというと、「ポリアクリル酸ナトリウムのジェルを塗った上で火だるまになる」など、本当にアブない。が、これは実際、スタントマンが使っている方法なのだという。ポリアクリル酸は保水性が高いから、熱が遮断されるのですねぇ・・・。
こうした実験に絡めて、科学史上の偉人(1巻では化学者ラボアジェ、院内感染予防の父ゼンメルヴァイス、近代外科の祖ジョン・ハンター、エジソンの弟子で交流電流を広めたニコラ・テスラなど)の偉業が解説される。この偉人たちが成し遂げたこともすごいのだが、一癖も二癖もある変人揃いで、よい子に読ませる伝記物語の枠を叩き壊しているのがまたすごい。
章ごとにつくこぼれ話コラムや、マニアックな図柄のTシャツも楽しい。
しかしこれ、マネするなという前に、ご家庭ではマネできない実験ばっかだよな、と思っていたら、ちゃんと巻末に実際に試せる実験がまとめてあった。
何という親切設計か。
全般にものすごく取材が綿密であると感じさせる。さらに、それを肩肘張らないエンタメに仕立て上げている手腕に脱帽。
あまりにおもしろかったので、掛田クンの今後の恋を応援すべく、既刊(3巻まで)を注文した。
読み進める前に、掛田クン、母世代から1つ忠告しよう。いくら飯島さんの方が年上だからって20代半ばの女性を「おばさん」と呼んじゃダメだ(^^;)。 -
Posted by ブクログ
まずは帯で驚かせてくれる。
「堂々完結!…したらクレームの嵐!! 円城塔懇願『このマンガは現代の日本に必要な作品だと思います』」
つい円城氏のツイッターで確認してしまった。氏も大学は物理学科だったものね。これからは掛田君とイメージがちょっと重なるかも。
それはともかく、完結しちゃったのね~。残念。かなり楽しませてもらった。毎回科学者ヘンテコ話が特に楽しかった。今回のキュリー夫人も、あらま、そうだったの!こりゃあ伝記には書けないわなー、という暴走ぶり。でもまあ、一家で六個もノーベル賞をもらってるような方たちなのだからして、凡人は何も申すまい。
このマンガは、そういう理系ネタの新鮮な面白さに加えて、メインストーリーである掛田君の恋の顛末も、共感を呼ぶところがとてもいい。大事な人とつきあうってことは、掛田君と飯島さんのように、お互いに少し歩み寄って変わっていくことだよね。
小ネタでは素数大富豪がお気に入り。今度やってみようと思う(が、できるかな?)。Tシャツシリーズでは、最後に出てきたテレス君の「要冷蔵」が傑作だった。