ジェームズ・J・ヘックマンのレビュー一覧
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本書は、2000年にノーベル経済学賞を受賞したヘックマン教授(シカゴ大学)の著書で、日本では2015年に初版が発行されています。教授の専門は労働経済学ですが、非認知能力を高めるための幼児教育の重要性を説いていて、教育的な価値からも興味深く読むことができます。
パート1ではヘックマン教授の理論、パート2では各分野の10人の専門家によるコメント(批判も多く含みます)、パート3ではその意見に対する反論も含むヘックマン教授によるまとめ、最後に日本人専門家による解説、という構成になっていました。40年にわたる研究が解説されていて、とても興味深かったです。
【パート1子供たちに公平なチャンスを与える(ヘ -
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有名なペリー就学前プロジェクトやアブシディ?実験などによると、就学前に非認知スキル(成績を上げるための勉強ではなく、生活力的な忍耐力、対人スキルなどの能力)を上げるような教育を施すことにより、成人後の逮捕率、各種依存症率、離婚率、就業率、持ち家率などに有意な差が生まれるとされている。これをベースに、最も社会的なリターンの大きい教育投資は、就学前に非認知スキルなどを上げることであると説く。
二章ではこれに対して他の識者が見落としている点などを指摘。特に非認知スキル教育はややもするとその時点で優位な集団の(≒白人の)規範を押し付け再生産しかねないという指摘が興味深かった。また、こうした実験と結果の -
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邦題はややズルい。このタイトルから読者の多くが期待するであろう「いつ、なにをするのが、教育において効率的・効果的なのか」については、中室牧子「学力の経済学」のほうが良書。
ただ、学力の経済学も本書は参照・引用しており、本書の内容も興味深い。
本書はどちらかというと論文である。いや、アメリカ世界における諸問題・格差が幼少期の教育の充実(より正確には教育への政府の介入)により縮小・改善できるとする政策提言である。ちなみに原題(そして第1章のタイトルでもある)は「子供達に公平なチャンスを与える」。まさにこういうことが書かれている政策提言なのである。
著者は幼少期の教育的介入に関する実際に行われた二 -
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就学前(6歳まで)までに、貧困層に対して、忍耐力や協調性といった、非認知能力を高める教育を実施することで、将来の所得向上、生活保護費低減、犯罪率低下など、経済的かつ社会的にメリットありますよ、というのを、実験を踏まえて証明したヘックマン教授の成果を、わかりやすくまとめた本。ちと読みにくかったが、内容は理解できた。
公的資金への投入にフォーカスしているが、数十年単位の長期投資のため、なかなか資金投資しにくい問題がありますよねー。
民間で小さなビジネスモデルを作り、公を交えて普及、高所得から利益を得て、低所得を実質無料、的なモデルが作れないかー、webの広告モデルみたいに、リアルな広告モデルが -
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幼児期に教育上の介入を行うことが、それより上の世代に行うよりも効果が高いという主張。効果は何%の投資効果があったというような経済的な指標で述べられるが、これは、単に教育が将来の収入を増やすということではなく、政策立案において幼児教育への介入がコストパフォーマンスが良いという意味を含むと思われる。
本書は、第1章で著者の主張を紹介した後、第2章で専門家によるコメント(批判的なものが多い)を紹介している。そして、最後の第3章で、それに対する著者の反論を示す構成となっている。
批判に対する回答を示すことで著者の論の説得力が増す、というのを意図しているのだと思われるが、、、第3章の反論が不十分で、説 -
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幼児教育について投資効果があるかどうかの観点でずっと書かれているので違和感があるが、経済学者から見れば当然と言えば当然か。一方で幼児教育を実践・研究する側にも経済的視点は大切だ。福祉や教育は行政と結びつきが強く、公的なお金に頼ることが多い。限りある財源をどう使うか考えたときに、優先付けをしてどこかを切り捨てたりする前に、必要な領域には必要なケアがまわるよう、少ないお金でより効果の高い施策を考えるべきだ。
幼児期の教育はその後の人生に大きな影響を与える。忍耐力、協調性、計画力といった“非認知能力”を幼児期にきちんと身につけた人は、良いところに就職し、より高い所得を得るので税金を納め、健康も向