玉野和志のレビュー一覧
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この地味なタイトルからは想像できない読み応え。久々の入り込む読書体験でした。
町内会なんてみんな嫌々入ってるだけでメリットもそんなにから廃止してしまえばよいのになーとうっすら感じていた。それは町内会本来の存在意義である特権的な「階級性」が希薄なっている反面、機能として求められる「統治性」の比率が重くなっているからなのだ、という私の理解。うっすら感じている嫌悪感の根本理由を指摘されたようで開眼ものです。
同じこれって必要なのかな?代表格のPTAに関する政治学者によるフィールドワーク(私的な営み)を開陳してくれる『政治学者、PTA会長になる』岡田憲治著とテーマの類似性を感じる。本書は歴史的経緯 -
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町内会の担い手不足は周知の事実であるが、そもそも町内会のや自治会という組織にフワッとした考えしか持ち合わせていなかったため、定義から学び直そうと購入。
本書を読む限り、定義は地方の数だけ存在するようであるが、共通している部分は全世帯加入が原則、そして災害時などの共助機能にあるようだ。
筆者は本書の副題である「コミュニティからみる日本近代」にもあるように、歴史的な観点から多くの参考文献を用いながら説明してくれる。ページの半分以上は歴史的観点からの背景説明に割かれているため、今の動きを手っ取り早く知りたいと思う読者には、もどかしく感じるかもしれない。
自分は歴史が不得手であるため、本書を最 -
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創価学会について私の周りの反応は悪い。私もあまりよいイメージはない。そもそも特定のものを「意識的に」(強調)信仰すること自体にいい印象は持っていない。
けれども、その悪い悪いといわれている創価学会についての私の知識は全くないのだ。否定するにも(否定する気はないが)、知識がなければできないのである。ということで手に取ったのが本書である。
著者は中立的な立場で本書を上梓した。
創価学会は創価教育学会が前身である。おそらくここでは学問をしていたのだろう。今は創価学会になり、学問している印象はない。だから創価学会ではなく、「創価宗教」とか「創価の会」とかにすればいいのに。
学会員になるのは簡単で、 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
批判でも賞賛でもないはじめての学会論!
社会学者が知られざる実像に迫る!
なぜ日本社会は学会を嫌うのか。
勤行、教学、折伏、財務―学会員の日常とは。
保守化、巨大化した組織のゆくえは。
[ 目次 ]
1章 学会員たちの信仰生活(学会員になるということ 学会員たちのプロフィール ほか)
2章 創価学会の基礎知識(創価学会の歴史 日蓮と日蓮宗 ほか)
3章 創価学会についての研究(初期の創価学会研究 学術的な研究と評価 ほか)
4章 創価学会の変化(創価学会の変遷 日蓮正宗からの分離 ほか)
5章 これからの創価学会(自民党との接近 自民党とよく似た構造 ほか)
[ POP ]
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Posted by ブクログ
以前、仕事をご一緒した方がお薦めしていたので手に取った本。仕事で町内会とのやり取りもあるので、気になった。
「町内会の特質が、行政権力の側での統治の技術に由来するものであった」という見解はなるほど、と思わせる。行政側が「町内会に意見を聞いた」「町内会に伝えた」ということを免罪符にすること、あるもんね。一方で、「町内会が政治家を当選させる力を持っていた」という見解も、今でも町内会や商店街を議員がこまめに回っているのを見るにつけ、納得感がある。地元住民より地元の自営業者が町内会の幹部の担い手になり続けたことも納得。研究と実態が噛み合った良書だった。