小川勝己のレビュー一覧

  • 眩暈を愛して夢を見よ

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    『匣の中の失落』のような酩酊感、まさかの某有名作のアレが飛び出したり、後半パートでは脳がぐちゃぐちゃになりながらも、美しいロジックを見せられたような錯覚が… 答えがあるのだとしたら、辿りついている自信はないのだが 。なんだ奇書か。AV業界出てくるし万人に薦めにくいぞこれ笑

    作中作の強烈な批評には頭を抱えてしまうし、メタミステリ的な構造にもハテナだし、エピローグの頃には気持ち悪くなっています。ただなんだこの解放感と清々しさは…

    傑作といっていいと思います。
    私が勝手に決めつけていた奇書に求める定義が、大きく覆された作品。
    「偶然」や「読者に委ねる」とはまた違う角度から鬼畜に切り込んでくる作者

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    2018年10月29日
  • 眩暈を愛して夢を見よ

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    平成の奇書。第一部までは先の展開を予想できるくらいには解りやすいのだがそれ以降は最後の1ページまでまさしく眩暈のするような展開と構造。『ドグラ・マグラ』のような夢現の混乱、『虚無への供物』のような現実とフィクションのメタ的接続、『匣の中の失楽』のような構造的幻惑、『夏と冬の奏鳴曲』のような唐突な収束。作中にも出て来るが『ブラッド・ミュージック』を思わせる「侵食」は優美さと同時に頭痛をもたらす。周到で意図的なサンプリングが逆に個性になっており、終始計算された歪みと狂気の演出になっている。衝撃の快作ミステリ。

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    2017年08月01日
  • 葬列

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    やくざになり切れない男、何もやる気のない女、犯罪マニアで詐欺に引っかかりやすい女、武器マニアの女が、それぞれの事情でやくざの組のせん滅を目指すアクション作品。

    この作家は知らなかったけど、面白かった。章ごとに主観の人物が変わるので混乱するし、最初の頃は特に犯罪らしきものも起こるわけではないので手探りなところはあるが、きっちりした「動機」が判ったとたんに、ものすごい勢いでストーリーが進んでいく。

    結局のところ、最近読んだ本の多くでピンと来なかったそこなんだよね。本作では、相当ベタに、説明臭く動機を引き起こす。全般にわたり非常に文章は丁寧で、少々くどいといえばくどい。

    アクションの部分は、時

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    2016年03月19日
  • 葬列

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    ハンパなヤクザと性格破綻女たち。
    不幸のどん底の中 人生賭けて 命をかけてハチャメチャな限界アクションを繰り広げる物語。

    1ページで10人 死んでゆく。凶悪なのに、命を賭ける姿に心打たれる。
    会話の中には決意がみなぎって 凄まじいエネルギーを感じた。だから残酷感ななくむしろ爽快だ。

    欲望は人間の本心。彼らにはキレイごとはない。なので卑しさは感じなかった。

    キャラクターの 奮い立つような存在感。
    社会から見放され 突っ走る彼らが愛おしい!(→これ、奥田の最悪でも書いた気がします^_^)

    アクションに負けていない心理描写に説得力がある。
    残酷な人生を選んだ彼らが切ない!

    ・・毛嫌いして

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    2015年08月26日
  • 彼岸の奴隷

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    刑事物の中では一番好きです。大好き。
    ミステリーも捨てたもんじゃないですねぇ、あれ?これミステリー。。。?

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    2014年12月08日
  • まどろむベイビーキッス

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    ニックネーム・ハンドルネーム・源氏名・本名‥ 「名前」がいくつもつけられる時代。上辺だけの付き合いばかりで人恋しくなる。 その中でどれが本当の自分かわからなくなってしまった時、この物語は始まるのだろう。

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    2011年08月30日
  • 葬列

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     普通の生活をしていた4人の男女が、銀行強盗計画・現金輸送車襲撃というアイディアを起点として、どんどんと道を転がっていく。最初のうちは、パワーを感じさせない本書も、途中から登場する渚という女性の持つエネルギーが原動力となって、特に暴力的な描写を中心にして、読ませる力を帯びてくる。
     第20回横溝正史賞受賞作の本書は、序盤の平易な何でもないような部分から伏線を何重もはっている力作だが、あらも目立つ作品でもある。一番の疑問は、おどおどしたヤクザ崩れ史郎が、所属していた組員相手に凄まじく非情に相対する場面が出てくるのだが、何故そういう鍛錬が出来たのか、もしくは心境を変えるきっかけがあったのかどうか、

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    2009年10月04日
  • 純情期

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    体育の先生の白い足に見とれて突然恋に落ちてしまう中学生。先生が受け持つ体操部に入部。体が硬くて才能がなくて、後輩にも馬鹿にされて、でも先生に憧れてドキドキしてしまう。その男の子に青春期特有に人間関係と事件が襲ってくる。馬鹿みたいなエッチもあるけど、瑞々しくて面白い。

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    2009年10月04日
  • 彼岸の奴隷

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    小川勝己の小説読んだのはこれが初めてでした。
    一番最初に読むにはある意味衝撃的で(普通に本屋に並んでいる小説でこんなにグロいのは見た事なかった※しかし私の世界は狭い)
    でも衝撃的だったからこそこの人について行きたくなった笑。

    (小川勝己作品全般にいえるけど)キャラが良い。皆可愛い。
    猟奇的な描写で目を奪っておきながらミステリーの要素もきちんとあり凄い(的な事が解説に書いてあった)
    後半の銃撃戦は勢いがあるけどそんなに面白いとは思わなかった。好みかな。

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    2009年10月04日
  • 葬列

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    この作品は第20回横溝正史賞。
    ★5に近い★4です
    やくざな男と主婦が主人公で進んだ話だったけど・・・
    展開がもうあり得なさ過ぎてあれでしたが
    楽しめました

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    2020年08月12日
  • 葬列

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    前半グズグズした主人公達のストーリーの先に待ち受ける藤並渚というブチ切れた少女の立ち回りにカタルシスを覚えました。長生きしなくていいからこんな少女に会ってみたい。

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    2015年03月15日
  • 彼岸の奴隷

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    ストーリー自体は普通のクライムサスペンス。だが、主要登場人物が皆鬼畜であり、普通とは一味違って面白かった。久しぶりの一気読み。エログロな表現が多く、読む人を選ぶ内容でありお勧めはできないが、彼岸な行為すぎてある意味リアリティがなく、思ったほど胸糞ではなかった。

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    2015年03月05日
  • 彼岸の奴隷

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    グロテスクでクレイジーでカオスティックなエロスハードボイルド。人間の想像し得る中で最も狂った世界を楽しみたくて、そのような小説を探していたのだが、その本意は無事、遂げられた。型破りで病的な世界だ。

    物語の設定において、読み手のスムーズな理解を促すためには、登場人物にブレの無い一貫性が必要であり、仮に登場人物が途中で変異した場合は、ストーリーの中でその説明がなされる。しかし、登場人物が自然な基地外であった場合、理由などなしに、ころころと様相が変わってしまう。物語には、一貫性が必要とされなくなるのだ。この小説には、まず、その前提がある。その上、ミステリー仕立てになっている。論理的筋道を要するミス

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    2014年07月05日
  • 葬列

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    パットしない主婦とパットしない三下ヤクザが、ヤクザの屋敷にカチコミに行く話。
    主婦ってところが新しい。

    多少無理もあるが、各々の思惑もあり、あれよあれよとそういう流れに成って行ってしまう。
    藤並渚の存在もこの小説をピリッとさせていて、伏線にもしっかり対応。楽しく読めた一冊でした。

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    2013年11月28日
  • 葬列

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     気弱なヤクザが家族を殺害されたことを知ることで覚醒する。偶然に知り会った、おばさん二人と壮絶な過去を持つ娘を巻き込んでヤクザの組織を破滅させるというお話である。気弱なヤクザは目的を遂げることができるのだろうか、そして大金を手にしたおばさん二人の運命は如何に。狂気をはらんだ娘は生き残り、まだまだお話は続きそうである。渚シリーズで続本を期待する。

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    2013年07月23日
  • 純情期

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    前半シモばっかりでちょっと飽きてきたけど、
    後半の事件はいい刺激になった。

    『青い春』を思い出した。

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    2013年01月27日
  • ゴンベン

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    詐欺という悪事に手を染め、深みにはまって行く若者達。その結末は…

    最初は軽いコン・ゲーム小説かと思って読んでいたのだが、次第にあの『彼岸の奴隷』のような展開になり、ハードさが増して行く。

    なかなか面白い。

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    2012年12月07日
  • 彼岸の奴隷

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    読み終わるまで、釈然としない、胸くそ悪い作品では、最近の作品では中々ではないでしょうか。
    バラバラ殺人を担当する主人公と相方。
    不審な行動を取る相方によって徐々に判知する過去。
    内容が内容なので、ネタバレはしませんが、
    「正常の定義」とは、なんなのでしょうか。

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    2011年09月19日
  • 葬列

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    おもしろい、この人がこんなことをしててこんなことになったというオチと伏線がきちんとある。爽快感あり。読みやすい。キャラが立ってる←意外と重要だ!

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    2010年12月26日
  • 彼岸の奴隷

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    登場人物全員悪人…という映画が最近あったが、こっちは登場人物全員鬼畜、或いは変態、といった危険本。ヘタに手を出しちゃいけません。しかし、読み進めていくと何かを思い出す…ああ、そうだ、この感覚は山本英夫の「殺し屋1」だ。つまりそういう事。殺し屋1が好きならオススメします。

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    2010年10月05日