小川勝己のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『匣の中の失落』のような酩酊感、まさかの某有名作のアレが飛び出したり、後半パートでは脳がぐちゃぐちゃになりながらも、美しいロジックを見せられたような錯覚が… 答えがあるのだとしたら、辿りついている自信はないのだが 。なんだ奇書か。AV業界出てくるし万人に薦めにくいぞこれ笑
作中作の強烈な批評には頭を抱えてしまうし、メタミステリ的な構造にもハテナだし、エピローグの頃には気持ち悪くなっています。ただなんだこの解放感と清々しさは…
傑作といっていいと思います。
私が勝手に決めつけていた奇書に求める定義が、大きく覆された作品。
「偶然」や「読者に委ねる」とはまた違う角度から鬼畜に切り込んでくる作者 -
Posted by ブクログ
やくざになり切れない男、何もやる気のない女、犯罪マニアで詐欺に引っかかりやすい女、武器マニアの女が、それぞれの事情でやくざの組のせん滅を目指すアクション作品。
この作家は知らなかったけど、面白かった。章ごとに主観の人物が変わるので混乱するし、最初の頃は特に犯罪らしきものも起こるわけではないので手探りなところはあるが、きっちりした「動機」が判ったとたんに、ものすごい勢いでストーリーが進んでいく。
結局のところ、最近読んだ本の多くでピンと来なかったそこなんだよね。本作では、相当ベタに、説明臭く動機を引き起こす。全般にわたり非常に文章は丁寧で、少々くどいといえばくどい。
アクションの部分は、時 -
Posted by ブクログ
ハンパなヤクザと性格破綻女たち。
不幸のどん底の中 人生賭けて 命をかけてハチャメチャな限界アクションを繰り広げる物語。
1ページで10人 死んでゆく。凶悪なのに、命を賭ける姿に心打たれる。
会話の中には決意がみなぎって 凄まじいエネルギーを感じた。だから残酷感ななくむしろ爽快だ。
欲望は人間の本心。彼らにはキレイごとはない。なので卑しさは感じなかった。
キャラクターの 奮い立つような存在感。
社会から見放され 突っ走る彼らが愛おしい!(→これ、奥田の最悪でも書いた気がします^_^)
アクションに負けていない心理描写に説得力がある。
残酷な人生を選んだ彼らが切ない!
・・毛嫌いして -
Posted by ブクログ
普通の生活をしていた4人の男女が、銀行強盗計画・現金輸送車襲撃というアイディアを起点として、どんどんと道を転がっていく。最初のうちは、パワーを感じさせない本書も、途中から登場する渚という女性の持つエネルギーが原動力となって、特に暴力的な描写を中心にして、読ませる力を帯びてくる。
第20回横溝正史賞受賞作の本書は、序盤の平易な何でもないような部分から伏線を何重もはっている力作だが、あらも目立つ作品でもある。一番の疑問は、おどおどしたヤクザ崩れ史郎が、所属していた組員相手に凄まじく非情に相対する場面が出てくるのだが、何故そういう鍛錬が出来たのか、もしくは心境を変えるきっかけがあったのかどうか、 -
Posted by ブクログ
グロテスクでクレイジーでカオスティックなエロスハードボイルド。人間の想像し得る中で最も狂った世界を楽しみたくて、そのような小説を探していたのだが、その本意は無事、遂げられた。型破りで病的な世界だ。
物語の設定において、読み手のスムーズな理解を促すためには、登場人物にブレの無い一貫性が必要であり、仮に登場人物が途中で変異した場合は、ストーリーの中でその説明がなされる。しかし、登場人物が自然な基地外であった場合、理由などなしに、ころころと様相が変わってしまう。物語には、一貫性が必要とされなくなるのだ。この小説には、まず、その前提がある。その上、ミステリー仕立てになっている。論理的筋道を要するミス