小川勝己のレビュー一覧
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キャバ嬢の優菜が、職場・HP上で自分の居場所をなくし、徐々に追い詰められていく物語。
NO.1キャバ嬢のケイとNO.2留美の派閥の間で、元々人の目を気にする性格の優菜はどちらにもいい顔をしていた。「みちる」の登場により、トップ2人が手を組もうとした時から、優菜の立場が危うくなっていく。
中盤からラストにかけてみちるが崩壊していくのが見もの。ドロドロの人間関係は若干引くほど。しかし優菜のブログが炎上したページの狂ったレイアウトは圧巻だし、何よりラストの狂気には鳥肌が立つ。一言一言がこんなに重い小説は久しぶりだ。。。
「お願い、みちるのこと嫌いにならないで」
「風間みちるくん、万歳。万歳。」
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Posted by ブクログ
夜の華やかな世界で毎夜、たくさんの男たちを相手にしているキャバクラ嬢。だがそれと同時に彼女達は、壮絶な派閥争いや孤独さの中に身を置いている。現実世界に居場所を失い、ネットの世界にそれを求めるが、そこもまた、”荒らし”によって失われていく・・・そんなあるキャバクラ嬢が、自分の居場所を守るために次々に人を殺してしまうという、悲しい話だった。まさに”悲しい狂気”。現実世界では”源氏名”、ネット世界では”ハンドルネーム”。本当の自分、本当の言葉とは一体何なのか・・・?それを考えさせられた一冊だった。また、作者の巧みな書き方によって、犯人の正体が隠されていたのだがすっかり騙されていた(^^;
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ネタバレ再読。記憶なし。読んだ時期も悪かったのだが、ここで死にたくないのにどうにもならないまま死ぬって事もあるんだなと再確認。意外と戦えるなと思った矢先だったので、撃沈した。
途中、共感できる人やものが無かったので、何を伝えたくて描いた?と思っていたら、あの銃撃戦の事実がすっかり捻じ曲げられ伝えようとされていた事にびっくり。
死人に口無しとはよく言ったものだ。
生きている人に都合のいいように事実は塗り替えられ、世の中は回っていくんだ。と気付けたから読んで良かった。世の中は生きてる人の為にある。
解説では作者は横溝正史の『白と黒』がお気に入りだそうで、ちょっと納得。歪んだ世界を描きたいというのはわか -
Posted by ブクログ
ごく普通の大学生たちがサークルのノリで詐欺を働く犯罪小説である。
犯行は徐々にエスカレートし、詐欺の規模も大きくなっていく。
当然カモとなる人物も、善良な市民から裏のある危険な人物たちへと移行していく。
だが、この物語は犯罪の顛末を描いただけに終わらない。
犯罪を裏で操る者、犯罪に仲間たちを駆り立てる者、そして最後に仲間たちを裏切る黒幕の存在。
黒幕をあまり特異に描いては早々に読者に疑念を抱かせてしまう。
かといって、無個性な人物では最後のどんでん返しの説得力がなくなってしまう。
作家としては難しいところだろう。
夏樹が最後まで守ろうとした俊明への思いだけが、この物語の救いだったような気がした -
Posted by ブクログ
いったいこれはどんな物語なんだろう。
読み終わった今でもよくわからない。
不思議な世界を旅してきたような、ある種異様な思いだけが残る。
ひとつの解決を見たと思えば次の章で否定される。
それでは新しい解決が正解かと思えば、すぐにまた否定される。
物語の構成は複雑で、最期まで読者は気を抜くことが出来ない。
この物語を理解しきれる読者がどれほどいるだろう。
少なくとも私には無理だった。
幻想世界と現実・・・入り組み混沌とした中で、何が現実で何が幻想なのか。
真実はどこにあったのか。
この物語、映像化はできないだろうな。
同じ人物でも登場する場面によって全然キャラクターが違う。
祭壇が見える・・・とい