あらすじ
美貌の女子大生・椙浦夏子は、バイト代全てを貢いだ恋人を、社長令嬢・日ノ原麗華に奪われた。「お金持ちになって、あのふたりを見返してやる!」と誓う夏子は、大学の同級生で体育会スキー部に所属する鹿沼歩、父親が会社で不正を働いて逮捕されたスキー部の後輩・吉田博貴、夏子がバイト先のキャバクラで知り合った長谷川夏樹らを仲間に加え、「負け組人生」から抜け出すため、詐欺(ゴンベン)グループを結成する。学生サークルのノリでカモを騙す計画を練る彼女たち。数多の犯罪(ビジネス)の成功に味をしめ、より大物をターゲットに定めるうちに、いつしかヤクザや大物実業家を敵にまわすことに……。鬼才・小川勝己が放つ最凶・最恐の犯罪小説、読みのがすべからず!
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Posted by ブクログ
とある大学で集まった男女。きっかけは夏子が恋人に振られた上に金を巻き上げられたこと。金を回収するため、カモを求めてぼったくりバーを作る。彼らは成功の美酒に酔いしれる暇もなく、次の詐欺、警察用語でゴンベンの標的を探し始める。しかし、金額が数十万が数百万、数千万となっていくに従って、厄介な敵が現れ始める。
いやあ、やっぱりこの人はうまいわ。かなり前に『葬列』でこんなに面白い人がいるんだ、と知ったものの、なかなか本に巡り会えず、結局これが2冊目。そしてそれ以降見てない。寡作ってわけでもないんだよね。
『葬列』同様に、色んな人の視点で進んでいくのだが、本作はほとんどが詐欺を行うグループやその周りの人、つまり犯罪者の視点である。また、あのイメージは有ったのだが、案外死人が出ないなというのは意外なところ。
まあ死ぬんだけど。
全体に、ハラハラはするし、スリリングではあるが、ウェットで嫌になるような緊迫感ではなく、基本的にドライだし、こういう作品にありがちなネチネチと爪を剥がすような嫌な気分になる描写はほぼないため、仕事の疲れがあっても読み進められるのがこの人の特徴。
まあ、終わりの方で死んでいくが、そちらもかなりドライな感じである。一方でだからといって軽すぎたり無味乾燥ということはない。悪人のくせに妙に情に厚かったり、感情が多く語られるからであろう。
唯一欠点があるとすると、具体的な場所を示すような描写が少ないこと。そのあたりは弱いのかもしれない。
この人の作品を読んだことのない人は読むべき。なかなか入手困難のようではあるけれども。
Posted by ブクログ
美貌の女子大生・椙浦夏子は、バイト代全てを貢いだ恋人を社長令嬢に奪われた。「お金持ちになって見返してやる」ため、大学の同級生・鹿沼歩たち数人を仲間に加え、夏子は詐欺グループを結成。サークルのノリでカモを騙す計画を練る彼女たち。数多の犯罪の成功に味をしめ、より大物をターゲットに定めるうちに、いつしかヤクザや大物実業家を敵にまわすことに…。
Posted by ブクログ
『葬列』『彼岸の奴隷』とつづき3冊目、2冊と比べるとインパクトが半減、軽妙なノリの犯罪集団が登場する。全体的に伊坂幸太郎ふうで、どちらかというと種明かしを楽しむ系になってしまった。著者に期待したのはちょっと残酷で苛烈で身もすくむような展開(2冊はそうであった)、そしてラストは当然、最悪の結末・・・最後は期待に違わず楽しめた。
Posted by ブクログ
ごく普通の大学生たちがサークルのノリで詐欺を働く犯罪小説である。
犯行は徐々にエスカレートし、詐欺の規模も大きくなっていく。
当然カモとなる人物も、善良な市民から裏のある危険な人物たちへと移行していく。
だが、この物語は犯罪の顛末を描いただけに終わらない。
犯罪を裏で操る者、犯罪に仲間たちを駆り立てる者、そして最後に仲間たちを裏切る黒幕の存在。
黒幕をあまり特異に描いては早々に読者に疑念を抱かせてしまう。
かといって、無個性な人物では最後のどんでん返しの説得力がなくなってしまう。
作家としては難しいところだろう。
夏樹が最後まで守ろうとした俊明への思いだけが、この物語の救いだったような気がした。