永田雄三のレビュー一覧
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トルコにおける世俗主義とイスラームの関係が本当に興味深かったです。かつては欧州に近づこうとしましたが、度重なる拒否にトルコ側もいよいよしびれを切らしてイスラームを元に欧州との対等の関係を求めつつも独自路線を歩んでいくことを決めた現在のエルドアン大統領、前任のギュル大統領の英断だったと思います(日本ではいまだに欧米の後追いという現実・・・)。欧州の域内では自由や民主主義を掲げる一方で域外ではそれを平気で踏みにじるダブルスタンダードという欺瞞を世界で一番理解しているのはトルコではないかと思いますから。
その他古代トルコやオスマン帝国の歴史の概要や現在のトルコの文化・風習が理解できる内容盛りだくさん -
Posted by ブクログ
オスマン・トルコというと、1453年のコンスタンティノープル攻略から16世紀半ばまでのスレイマン大帝の全盛時代を迎え、その後は衰退期に入っていき、数次の露土戦争を経て領土も侵食されていくといったような知識だった。
本書第六章では近世のオスマン帝国(それは16世紀後半から19世紀初頭の時期)が対象として扱われるが、その冒頭において著者は、レパントの海戦以降野蛮な遊牧民トルコ人の建てたオスマン帝国は衰退し、まはや無視しても構わない存在になったとする19世紀ヨーロッパの「オリエンタリズム」的偏見に満ちた「衰退史観」を克服しなければならないとする。
そしてこの間の歴史の流れを著者は、次のように要 -
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ネタバレ金言がたくさんある。
お金を増やすというよりも、
心構えを説いている。
個人的には、家のために人生の自由度を下げない
というところが響いた。
ローンで使えるお金が減るという意味とは逆に、
欲しい物件が買えないために今の住居で我慢するのも
自由度を下げているのだとおもう。
そして、それは「現状維持システム」によって
抵抗されている。
あー。私のことだー--。
お金は人生の選択肢を増やし、自由にしてくれるもの
人生における価値は、無形資産>有形資産
本当の敵は、自分の中の「現状維持システム」
現状維持システムのパワーに逆らうと「不安」という心理状態を生み出す
挑戦するのに自身がないのは当 -
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トルコの歴史から現代社会、文化までこの一冊で網羅している。
僕が特に興味深く感じたのは「スカーフ論争」。イスラムの女性はスカーフで肌を隠すというイメージがあるが、トルコは世俗主義(政教分離)を強く推し進めた歴史があるため、「スカーフ」は宗教の象徴として公の場(大学など)では禁止されていた。「スカーフ」はイスラムの象徴であり、「イスラム主義」を政治の持ち込むという意思表示であるとみなされる場合もあるからだ。
2012年7月にトルコを訪れたとき、多くの女性がスカーフを身に着けていたが、スカーフをめぐってそのような論争が繰り広げられていたとはそらなかった。大変勉強になった。 -
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トルコ系民族とは何か、古代になればなるほど必ずしも明確ではないのかもしれないが、突厥がトルコ系諸部族を中心とした多「民族」の遊牧部族連合国家だと言われている。そして遊牧民は、騎馬の機動性を活かして平原を長距離に移動し、アジアの東端から西へ、西へと移動し、中央ユーラシアからアナトリアまで展開、移住した。
そんな雄大なトルコの歴史を通史的に描いたのが本書であるが、全体を通読して、単純に東洋と西洋といった割り切りができないことが良く分かった。特にオスマン帝国を例に考えると、今でこそトルコの領域はほぼアナトリアに限られているが、その歴史を見ると15世紀半ばからバルカンへ進出し、400年近く統治下 -
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トルコの歴史・文化・政治についてオムニバス形式で色んな人が書いている。
地理・気候
アナトリア高原と南東ヨーロッパのトラキアからなる。アナトリア高原は短い夏は暑いが、冬は零下20度にもなるところがある。小麦が取れる。沿岸部は地中海性気候。
歴史
古代ではヒッタイトが有名。製鉄を最初に始めたとも言われる。その後、アレクサンドロス大王が通過していったり、ヘレニズム諸王朝やローマ帝国の支配下でギリシア化が進んだ。ローマ帝国とビザンツ帝国の時代にキリスト教化される。11世紀にトルコ系遊牧民のセルジューク朝が入ってきて急速にイスラム化が進んだが、土着の信仰の影響も残った(神秘的傾向のあるスーフィー) -
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トルコ人は人なつこく、自尊心が高く、日本人に友好的。イスラム的な家族観があり、家族の絆が強く個人主義的な部分は弱い。弱者は放っておかない社会的な雰囲気がある。
ギリシャを退けオスマン帝国に変わって建国されたトルコはヨーロッパ的な世俗国家を目指していたが、奔放な恋愛・性交渉、厳格な個人主義などの文化にはなじめず、近年ではイスラム主義が隆盛し支持を集めている。しかし世俗国家としての原則は微妙なバランスの上に守られている。
まるごと一冊で概ねトルコの初歩的なことを理解できると思う。Wikipediaなどでは難しい、情報の横の繋がりが理解の助けになっている。