加茂隆康のレビュー一覧
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テレビを観ていると、保険会社がスポンサーになっていない番組が一日でもあっただろうか、と思うくらいよく宣伝しているが、果たしてどこまで彼らは自分を守ってくれるのだろうか。この先何かあったときのための転ばぬ先の杖となってくれることを期待して、手に取った本。
タイトルでも触れているように、自動車保険金は利用者が満足するような保険金が出ない、その理由を本書で説明している。
第一章は実際の裁判例を持ち出して、いかに保険会社が保険金を出し渋るかを説明している。
一つ目の事例:前方を走っていた車のスペアタイヤが外れて飛んできたために自分の車(ベンツ)と衝突、アメリカ系の損保の車両保険を使おうとする -
Posted by ブクログ
交通事故にあいましたが損害保険会社から出し渋り、値切り交渉、一方的な治療の打ち切り、説明責任の放棄など、書いてある通りでした。事故により通院していましたが損害保険会社により治療を打ち切られてしまいました。突然で一方的な打ち切りです。一切の法的根拠の提示、説明を損害保険会社の担当はしません。
無言の対応、ウソと意味が不明な説明、人格否定からはじまり差別、蔑視発言、恫喝や脅迫を受けた挙句、電話を切られる対応で混乱しました。
ですが、本書を読んでから担当は最初から嘘の説明をするように指示されているのだと理解できました。
損害保険会社が説明責任を放棄するのは金銭賠償をしたくないだけの理由です。会社側 -
Posted by ブクログ
読み応えがあった
主人公弁護士と縁のあった法科大学院の教授が殺害され、警察から教授が自分に伝えたいことがあったようだと知る
時を同じくして今をときめく女性弁護士が受けた懲戒請求の異議申立の代理人を引き受けることになる
資産家の巨額の財産がなくなる事件も絡んできて、事態は予想もしない方向へと進んでいく
弁護士=エリート=お金持ちのイメージが実際はそうではなく、熾烈な競争、足の引っ張り合いが常態化している
成功している弁護士には羨望と嫉妬が渦巻き、少しの躓きも見逃さないと目を光らせている者がいる
法定での論戦は読んでいてスリリングで面白い
主人公弁護士は弁護士=エリート=お金持ちだけれど、自 -
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加茂隆康『密告の件、Mへ』講談社文庫。
現役弁護士が描くリーガル・サスペンス。『法廷弁論』の改題、文庫化。
大分前に読んだ『死刑基準』『審理炎上』で主人公を務めた若手弁護士の水戸裕介が本作でも主人公を務める。
真犯人の意外性という点に驚いた。ここまでのことが描かれると、もう何を信じて良いのか……しかし、今の世の中はこのくらい腐り切っているのかも知れない。
本作の中では辛うじて正義が勝つが、現実の世界では正義が勝つとは限らないという恐怖。
法科大学院の教授・平手理沙子が都内の運河で水死体となって発見される。平手教授の遺品に『密告の件、水戸Lへ』と書かれたメモが見つかり、警視庁の刑事は弁 -
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保健事故の被害者救済を専門とする弁護士による、保険金支払を渋る損保との戦いを描いた法律ドラマ。
自分は損保に勤めているが、さすがに普通はここまでやらんだろという印象なので、余程被害者と損保の見解が食い違った事例を例に挙げているのだなと思った。だからこそ書籍として面白いわけなのだろうが。
とはいえ、安心安全を提供する損保の存在意義を考えさせられたのは事実。金儲けのために払い渋ることは本当に考えていないのだが、とはいえホイホイ払っていると一部の保険金詐欺を起こす人たちにつけ込まれてしまうのもまた事実で、だからこそある程度性悪説で対応せざるを得ない部分もあるのだと思う(損保の性質に鑑みてそれでも -
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保険金裁判をめぐる損保会社と弁護士の仁義なき戦い。
こうした多くの裁判を担当した弁護士である著者が語るのは、損保会社はあらゆる手段を使って火災保険や盗難保険を不払いしようと試むということ。しかも、その不払事由は不条理で非常識なものばかりだ。
火事で被災した家屋は持主の放火が原因。台風で倒壊した建物は保険契約前からすでに破損していた。強盗による被害は内部犯行の仕業。損保会社はそんな大胆な意見をロクな証拠がないまま言い放つが、そんな言いっぱなしで裁判に勝てるはずがないことも重々承知。目的は裁判をひたすら長引かせて原告にあきらめさせることと、社内向けの努力アピールだ。
しかも、このやり方は東京 -
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荒唐無稽。現実にありえないというわけではなくて、ミステリとして偶然に頼りすぎていて、おとぎ話としてのリアリティーを欠く。こんな荒唐無稽なビッグ陰謀を実行する人はいないし、そんなビッグな陰謀なのに詰めが甘すぎて露呈するきっかけがショボすぎる。著者がやりたかったことはよくわかる、裁判というシステムそのものに仕掛けを施して、真実とは何かを考えさせたかったのだと思う。残念ながらその試みは失敗している。
ただし、著者あとがきに顕著だが、著者は弁護士という仕事を愛しており、よき弁護士たらんとする者を愛しており、正義を希求しようとする者に勇気を与えようとしており、弁護士になろうとしている者に希望を与えようと -
Posted by ブクログ
【目的】
自動車保険の本質を掴むため
仕事の知識を増やすため
【引用】
・自賠責保険、任意保険、弁護士会の基準がある。
【感じたこと】
・支払う額を少なくするための努力が損保会社での営利努力であれば、調査会社は損保会社の犬。損保会社の望む結果を作り出すために調査をする。「免責」という保険金不払い、請求取り下げに追い込むことが高評価とされるなら、それは保険金を詐取しようとする輩を排除したのか、あるいは善意ある市民の救いの手を撥ね退けたことになるのか。
約款を読んでから保険加入しないと、いざ支払いという段階で不払いとなっては話にならない。知は力なりを改めて感じる。
【学んだこと】
「症状固定