高崎順子のレビュー一覧
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フランスの幼児に対する取り組みをまとめた好著だ.冒頭に出てくる無痛分娩の話は膝を打つものだ.父親に14日間の出産休暇を出すという発想も素晴らしいが,無痛分娩は母親を精神面でサポートすることを前提に取られている手段だというのも素晴らしい.p58の麻酔医のコメントはぜひ日本の医療関係者や出産予備軍の女性に読んでほしい.3歳からは国が子供の面倒をみるシステムである保育学校.保護者に負担を掛けない考え方.2014年度,3歳から6歳児の教育政策に使われた公的資金は,日本円で1兆9千億円.0~3歳児の保育政策にもほぼ同じ予算が分配されている.等々,バラ色の評価が目白押しだが,教育格差は日本以上に深刻そうだ
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Posted by ブクログ
ネタバレ他の本を読むなかでフランスの教育や社会制度に興味が湧き、遅ればせながらこちらも読みました。
制度を整えるだけでなく、その使いやすさもセットで整えることが重要だと感じた。
また、子育ては大変なものだからみんなで支えていく必要があるよね、という共通認識によって、精神的な負担も和らげられているのだろうと感じる。なんでも自己責任で片付けられがちな日本との大きな違いだと思う。
フランスの保育学校での分業制の事例などは、長時間労働が問題となっている日本での教員の労働環境を改善していくヒントにもなると感じた。(保育学校の存在により、小学校以降の不登校等の問題に対して良い影響が出ているのか気になった。)
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Posted by ブクログ
ネタバレバカンス大国のフランスも、年2週間の有給休暇が始まったときは、労働者は反対した。職が無くなる、仕事が回らない、バカンスはぜいたく品、楽しむ金がない、心理的な抵抗感、価値も意味も理解できない、など理由。
バカンスとは、数週間のまとまった休み期間。現行では5月から10月までの間に12~24日間。
初代社会主義内閣で誕生した制度。
日本は、長期休暇はないが、祝日は多い。
フランスでは、余暇が生きる喜びと尊厳。暇を持て余すという感覚が生きること。
旅行のための鉄道料金を大幅割引した。
アウトドア、スポーツ、大衆文化などお金がかからない遊び方を提唱した。
初期には、若い労働者たちのために休暇が設けられ -
Posted by ブクログ
メディアで日本と比較されるのは北欧の国のイメージの方が強いが、フランスも時には見かける。フランス在住の著者自身の体験も踏まえて日仏の比較をし、フランスでの出産・保育の充実ぶりをレポートしている。
制度の充実よりも、人々の意識や文化の違い方が最終的には明暗が分かれる。フランスの制度の充実ぶりに最初は感心させられるが、地域差や経済格差による度合いは日本以上にあるようだ。しかし職場や周囲の理解(フランス版の同調圧力もほのめかされている)が日本とだいぶ異なることが伺える。
男性の2週間の育児経験期間と無痛分娩の章が印象深い。前者は人によっては人生観が変わるくらいの経験になるらしい。無痛分娩について -
Posted by ブクログ
日本と同じように豊かな欧米の国。なぜバカンスに1ヶ月も費やしてそれが成り立つのか⁈
そんな疑問に答えてくれつつ、
「欧米はバカンス文化だから休みを取れる」という思い込みが的外れだったと教えてくれる一冊。
バカンスは上流階級のみ、庶民はずっと働き詰めという昔は日本と同様だった(!)というフランスに取材し、いかに国民総バカンスを実現したかを著者のフランクな語り口で伝えてくれる。
それなりのボリュームではあるが、重要部分が太字になっていて、なおかつ項の終わりに要点のまとめがあり、飛ばし読みにも親切なつくり。
みんながバカンスをとるって、不可能なことではないんだ。