麻田実のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレミステリの劇場にご招待。
薬瓶の箱、金庫から盗まれた方程式、一瞬の暗闇で起こる殺人、ポアロの推理は?
クリスティーの戯曲は初挑戦。表題作「ブラック・コーヒー」は、方程式の書かれた書類はどこに隠されているか、また犯人はどうやってコーヒーカップに毒を入れたか、を考えながら読む。実際の舞台で見た方がもしかして盛り上がるかもしれない。キャラクターが立っているのは、いつものクリスティー。
「評決」は、お金よりも学生の学問への情熱を大切にする教授と、その病める妻、一緒に亡命してきたらしいいとこ、教授に横恋慕し個人教授を願い出るお金持ちの娘、話好きのお手伝いというメインキャラクターの人間関係が肝。犯人は観客(もしくは読者)には自明。もちろん殺人を犯した者が一番悪い。でも教授は、理想に溺れて現実から目を逸らし不幸を招くタイプだと思う。しかし、そう思いつつ、自分にもそんな面がないのか、本当にこの登場人物を非難できるのか、とクリスティーに聞かれているような気持ち。