麻田実のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
【戯曲】
『ブラック・コーヒー』『評決』2つの戯曲。
『評決』は隠れた名作だった。
『ブラック・コーヒー』★★
戯曲ならではの演出なので、読むだけだと楽しむのは難しい。特に驚きもなく、ポアロファンは喜びそう。これは違う作品にも使われていたなというシーンが出てくる。
『評決』★★★★★★★★8
めちゃくちゃ好きなタイプの作品で、今だに興奮している(☆▽☆)
私の中では『検証側の証人』以来の大ヒット!!
こんなに面白いのにこんな所に隠れてるなんてもったいない。攻略本でも全く触れてないのが謎。
戯曲ではなく「ノンシリーズ長編」として書かれていたらすごい名作になったんではないかと思ってしまう。
どういう方向性で進んでいくのか全く予想できなくて、途中から「そっちのタイプかーーー!!」というクリスティーにしか絶対にできない面白さに持っていく。
この作品はあらすじも何も知らない状態で読んで欲しい作品。
でも派手さはないので、どんでん返しを求めるミステリー好きな人、ポアロ好きな人には刺さらない作品だと思う。
『鏡は横にひび割れて』『春にして君を離れ』のような、後からジワジワくるスルメタイプが好きな人は好きだと思う。
50冊を超えてもまだこんなに面白い作品が隠れているなんて本当に嬉しい。
★10にしなかったのは、最後の終わり方。
戯曲なのでオチをつけないと終われないからこうなったのかな。小説だったら違う結末になっていたのではと思う。 -
Posted by ブクログ
よかったです!
舞台を観るのも好きなので、戯曲も好き。
舞台装置の指示もうれしい。
2つともストーリーにさほどパンチはないですが、それぞれ楽しめました。
ブラックコーヒーはポアロさんが出てるので、TVシリーズを思い浮かべながら楽しみました。
こちらは犯人はともかく、誰もが怪しいという話の展開が良かったです。
評決は、とても良いエンディングでした。
だって、現実なら、ライザは死刑ですよ…個人的にラブ絡みのサスペンスは好きなので、推理不要の展開はコロンボシリーズ的でよかった。
ヘレンは、絵に描いたわかりやすい今も昔も変わらず存在する、金持ちで自信家の若い女性。実際にそういうヒトたちは、そういう短絡的な行動をして、金で解決してた(る?)のかな…事故に遭うというのは、作者の親切心またはモラルによるもので、こちらも現実なら、そのまま次のターゲットに向かうのでしょう。
そういう意味では、本人の意識はともかく、理想主義なカールが一番関わるとマズいタイプ…静かに共に底なし沼…でも、こういう人がいないと、権力に平伏す人ばかりになってしまうわけで…フィクションの人なのに、考え込んじゃいました(笑)そういう意味でも、好きな作品。どこかで上演してほしいな。
ま、ライザの評決とあのエンディングでは、世間のみなさまの心は揺さぶられないですよね。大甘ですもんね…でも、そういう作品を求めているワタクシ…
満点はないですが、個人的に4.5!迷わず星4つです。
昔読んだことあるかも…でも、おもしろかったです。
-
Posted by ブクログ
海辺の午後
クリスティの短編戯曲集
海辺の午後
昔から裕福な人達が過ごして来たビーチ。時代の流れで海辺を訪れる人達も様変わり。
古い時代の夫婦や家族が時間を過ごすビーチにビキニを着た非常識な美女が現れ男達を魅了、女達は反感を抱く(時代を感じる描写)。
一方、付近では盗難事件が発生、エメラルドなど高価な品物が盗まれてしまう。
古き時代を引きずりながらビーチで余暇を楽しむ人達と美女と警察のドタバタ劇。ミステリー的な要素は多く無いが、クリスティ得意の「オールドミス」が牛耳る家族(立場の弱い夫、束縛される息子)や若い二人の男女等、設定は面白い。
今の時代背景から見るとコメディの様に見えてしまうが、少なからず当時もそういった要素があった戯曲だとおもわれ、バランスが変わっても楽しく読める作品だ。いつの時代も若者は革新的で年寄りは保守的だと分からされる作品だ(笑)
患者
私立療養所の個室から始まり、とある屋敷へ。
ウィングフィールドの妻がバルコニーから転落し、意識が戻らない状態。家族は事故と捉えているが、警察が介入し真実を調査していく。
情事のもつれが原因と考えられるが、怪しい人物は数人おり、誰が犯人かを探る人間活劇。
正直、ありきたりな設定かもしれないが、最後まで誰が犯人か、そして最後、犯人が決定づけられてフォーカスされていく舞台の進め方がとても面白い。
クリスティでも良くある設定の様に思えるが、必ず何処かに驚きがあるのは彼女の短編作品にも共通している。犯人はこいつだろうと疑ってかかり、結局裏切られるのはいつもの事だ(笑)。
ねずみたち
サスペンスミステリ。クリスティによる恐怖ミステリの傑作だろう。密室に男女二人。体の関係もあり不倫関係にあるが、密室のなかで徐々に人間性が現れていく。最後、リドルミステリーの様な形になるが、結局はどういう事なのだろう。中編の一部分を切り取った様な作品で、できれば推理小説として読みたい一作だった。
作中に登場人物は五人しか出てこないのに圧倒的に面白く、謎が残ったまま、陰鬱な感じで終わっていくのも魅力的だ。
劇として進めていくとおそらくかなりシンプルになるだろうが、初めてどの様な舞台になるのか気になった。 -
Posted by ブクログ
戯曲「ブラック・コーヒー」と「評決」の2編収録。
「ブラック・コーヒー」
資産家の息子。その嫁。嫁に付き纏う男。詮索好きの叔母。
そして資産家が殺された。絡まる動機と疑心暗鬼。
核爆発の方程式を巡る国際スパイの暗闘。
人物の心理描写をスキャンダラスに描くアガサ十八番の展開。
勧善懲悪、無敵のポワロ。クリスティ初のオリジナル戯曲。
「評決」
自ら傷付いても慈悲の心を優先させる学者。
学者と運命を共にする三人の女性。
慈悲の心は多くの不幸を引き起こすのか。
あなたは自分が信じられることはどんどんやります。
その結果他の人がどうなろうとお構いなしです。
あなたを愛しています。でも愛だけでは充分ではありません。
私は私のようにごく普通の人を見つけます。
私は、愛する者に苦しみをもたらすような男だったのか。
なぜ帰ってきたんだね。
私がおばかさんだからよ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『海浜の午後』
海辺のビーチチェアに寝そべる人々。夫アーサーをほったらかして友人のボブと砂の城を創り遊ぶノーリーン。ジョージとクラム夫人の会話。息子を支配するガナー夫人。盗まれた首飾りの話。彼らの周囲を歩き回る謎の美女。首飾り盗難事件を捜査するフォーリー警部。
『患者』
何者かに突き落とされたウィンクフィールド夫人。精神的なショックから会話をすることができなくなった夫人。犯人を突き止めるための実験。瞬きによる会話。夫であるブライアンの浮気相手の正体。
『ねずみとり』
マイケル・トランスに誘われ彼の家にやってきたサンドラ。マイケルは旅行中で留守。家にいたジェニファー。誘い出されたことに気がつくサンドラ。同じく誘い出されたデイビッド。サンドラの元夫の死に不審を持つアレック。部屋から発見されたマイケルの遺体。仕掛けられた罠。 -
Posted by ブクログ
★3.5
アガサ・クリスティー直筆の戯曲
戯曲なんで、ト書きまであるんですよねぇ。最初のうちは、なんかそのト書きが気になって読みにくいと思いましたが、読み進んでいるうちに慣れて、どんどん読み進むことが出来ました。むしろ小説よりも、読む速度は速かったかも。
2作品が収録されているのですが、1作目はポワロ物、2作目はノン・ポワロ。
1作目の『ブラック・コーヒー』は、舞台を意識したのか、いつものポワロ物とちょっと違う雰囲気を感じますね。特に気になったのは、ジャップ警部が軽い人物に見えた事。うーん。
2作目の『評決』ですが、出版時の評判はイマイチだったらしいのですが、私的には中々面白い気がします。最後のどんでん返しが、中々凄い。そう来たかと。
でも、もう一ト戯曲を読むか?と問われたら、ちょっと考えるかなw -
Posted by ブクログ
ネタバレキュートでスリリングな劇をどうぞ。
劇が3作品収められている。どれも小品ではあるが最後まで一気に読ませる。
「海浜の午後」海辺に集まった人々の中に強盗がいる? あっと驚く正体が判明するのが2段階になっているのがひねりどころ。息子を縛り付ける母などクリスティーあるあるキャラクターも見もの。
「患者」植物状態と思いきや、患者は意思を示せる。実験の結果、口封じに現れた犯人は。イニシャルなんかわからないので推理不可能かと思いきや、ちゃんと劇中に名前が出てました。
「ねずみたち」復讐の狂気。はたして警察は2人の弁解をどのように聞いただろう。 -
Posted by ブクログ
本書には、『ブラック・コーヒー』と『評決』、2編の戯曲が収録されている。
クリスティーが初めて書いた戯曲が本書の表題作『ブラック・コーヒー』だそうだ(1930年作)。高名な科学者クロード・エイモリ―卿の書斎の金庫から、10万人単位の殺人力があるという原子爆発の方程式が書かれた書類が盗まれた。卿はポアロを呼び寄せることとしたが、邸内にいる家族や客人たちに「書類を戻せば穏便に済ませる」といって、部屋の電灯を消し暫しの時間の猶予を与える。だが、卿の飲んだコーヒーには毒が入っていた。一体誰が方程式を盗み、そして毒で卿を殺害したのか、というお話。登場人物たちは皆何か隠し事を持っており、怪しそうで、誰が犯人か推理を楽しむことができる。犯人を罠にかけようとするポアロに対し、女性に弱くあまり役に立っていないいヘイスティングズがご愛敬。
もう1編は、1958年に書かれた『評決』。解説によると、本作はクリスティーの野心作だったが、興行的には好評を得られなかったという。確かに、本作は推理の面白みだったり、思いも寄らぬどんでん返しがある訳でもないから、そのようなことを期待する観客には物足りないものだったと思う。理想主義の故に故国を追われてしまった学者の夫、病のため身体の自由が利かなくなってしまった妻、彼に愛情や敬意を抱く女たち、そんな登場人物たちの織り成すドラマはなかなかに見応えがあると思う。推理の妙は味わえなくとも、思いも寄らぬ展開で果たしてどうなってしまうのかとドキドキさせられる。ラストはどうなのだろう、その前のままスッキリ(?)終わらせても良かったのではないかと思うのだが……。 -
Posted by ブクログ
【戯曲】
戯曲の短編集3作品。
ただでさえ短い戯曲なのに、233ページの中に3作品もある。サクッと読める。
短いのにひねりがあって、予想外の展開が楽しめる。
特に『患者』が面白かった。
舞台で観たらもっとドキドキして楽しめそう。
◆あらすじ
バルコニーから転落した後遺症で、口も聞けなくなった女性に医師がある実験をすると…
解説の柳原慧さんは、クリスティーで1番好きな作品は『ホロー荘の殺人』だと書いてあった。
私もちょうど前日に『ホロー荘〜』を読んでNo.1だとレビューしたので、タイミングが良くて驚いた。
『ホロー荘の殺人』は有名ではないし、そんなに1番に選ばれそうにない作品なのに、同じ気持ちの方に解説で出会えてすごく嬉しかった。 -
Posted by ブクログ
戯曲3編収録。
〇「海浜の午後」
読んでいると少し登場人物がワチャワチャしている感じがするが、おそらく舞台では人物の出入りがはっきりするので、あまり気にならないのだろう。
過保護の青年の恋愛話など全体にユーモラスなものにしようとしているのだろうが、ラストはあまりスッキリしない。
〇「患者」
転落して動くことも口をきくこともできなくなった患者。事故なのか、自らの意思で落ちたのか、それとも犯罪か。警察は医師の協力により、ある実験によってその真相を明らかにしようとする。
〇「ねずみたち」
何者かによりアパートの一室に誘い出された男女。誰が自分たちをここに呼んだのか、またその目的は何か。動機というか目的にはやや強引なところがあるが、追い詰められていくサスペンスが良くできていると思う。上手い役者が演じれば、観ていて面白いのではなかろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレブラックコーヒー:
初のオリジナル戯曲ということで、必然的に暗闇にして特徴的な音をヒントにしつつ明かりが戻ったら人が死んでいるとか、舞台ならこれをやろう的なアイディアが随所に見られるところが楽しいと言えるかもしれないが、展開がかなり予定調和的。こういう話は秘書が怪しいという公式を、割と初期の列車もの小説で頭に刷り込んでしまったので推理する能力がないのに展開が読めてしまう困りもの。あとポワロとヘイスティングスの会話がですます調でない翻訳は好きになれない。
評決:
ミステリーではないけれど人生の機微、人の性格が引き起こす不穏な感じが「春にして君を離れ」を連想させ、結構好みの内容だった。作者がタイトルに詩の引用「永遠の花の野はなし」を希望していた(が不採用にされた)あたりも共通点があり、平凡で他とかぶったり混同したりしそうな「評決」より良かったのではないかと思う。心が綺麗で理想主義者の教授と「見知らぬ乗客」的サイコパスの女子学生は両極端な性格設定だが、巻き込まれた女性からすると2人は極度に自分勝手な点で似ている、というのがなるほどねと思った。とは言え教授は並外れた善意の人なので、最後に彼女が戻ってしまうのもわかる気がする。終盤のカフカ的悪夢の展開にはなかなか迫力があり、教授はこのショック療法でぜひ学習していただきたい。
個別の評価ではブラックコーヒーが星2つ、評決が星4つぐらい。