堀田善衞のレビュー一覧
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1936年2月26日、二・二六事件当日の上京から、1943年秋の学徒出陣壮行会後までの時間を切り出した作者の自伝小説。日中戦争・アジア太平洋戦争と続いた「暗い時代」に共に青春を送った、白井浩司、加藤道夫、芥川比呂志、鮎川信夫、田村隆一、中桐雅夫、中村真一郎、加藤周一らとの交流・交友が(仮名ではある...続きを読むPosted by ブクログ
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戦間期に青春があった時代とはいかなるものか、内容は面白いわけだが、それよりもその軽快な筆致、話法に面白みがあるように思う。けして軽い話ではないのに、どーんと暗い気持ちにならず、クスクス笑ってしまうのも、いいな。Posted by ブクログ
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四部作最終巻。「俺はまだ学ぶぞ。」
老人の域に入っても創作意欲は衰えず、
最後まで芸術家として生ききった。
「気まぐれ」、「戦争の惨禍」、「妄」、「黒い絵」と続き、
最後の絵「ボルドーのミルク売り娘」には眼を奪われた。Posted by ブクログ -
ゴヤ40歳からの人生の頂点、
そして大病を患うことによる絶望、
その淵から這い上がるまでを描く。
相変わらずゴヤを中心にそえつつも、
周辺の人物、そして18世紀のスペイン史が語られる。
それを通して時代が変わるということがものすごく伝わってくる。
世紀が変わってしまうことで、
人は地獄の様な苦し...続きを読むPosted by ブクログ -
ゴヤと彼を取り巻く18世紀のスペイン社会の記述に圧倒された。
他の紀行と同じく、
彼の海外に対する見方は独特なものがあったと思う。
絵は見たことがあるけれども、
画家本人についてはなかなか知ろうとすることは少ない。
だが絵を描いた本人、そして取り巻く歴史を知ることで
絵を見ることがより一層面白くな...続きを読むPosted by ブクログ -
エセーを読んで断片的には理解できても(そしてまたその断片がまた一々興味深いのだが)モンテーニュという人のトータルな把握に困難を覚えた一読者として、本書は単に有用であるというよりも、なくてはならない副読本だ。
特に最終巻である本書で扱う晩年に至っての思想形成こそエセーをエセーたらしめている精髄だという...続きを読むPosted by ブクログ -
たまたまこの夏、NHKの「あの人に会いたい」という短い番組で、堀田善衛の肉声を聞く機会があったのですが、1998年に80歳で亡くなったはずですから、本来は高校生のころにあんなにいろんな講演会や座談会や討論会を聞きに回った私が、彼の声を知らないはずがないのですが、まったく記憶にありません。
気になる...続きを読むPosted by ブクログ -
堀田善衛の独特の心地よい語り口に導かれて、ミシェル・モンテーニュの生涯をゆっくりと辿ってきたこの長編も、ついに最終巻。
ラテン語を母語として育ったミシェルにとって、ローマへの17か月にわたる旅は、コスモポリタン的自己を再確認するものでもあったが、フランスに帰国した彼を待ち受けていたのは、ボルドー市長...続きを読むPosted by ブクログ -
フランス王室と宗教戦争の行方がますます混迷をきわめるなか、ミシェルはボルドー高等法務院裁判官の職を辞してモンテーニュの塔の一室をわが城とし、いよいよ『エセ―』の執筆を始める。
エセ―とは、随想であり試みの意であるという。ここでミシェルがおそらくヨーロッパ世界で初めて試みたこととは、自らを研究対象とす...続きを読むPosted by ブクログ -
読んでいる途中の感想だけれど、からだごとその場所にもっていって書く。そういう、身体性というか、現場主義というか、実感から生まれてくる描写。ポストモダンは、実感主義と否定したのかもしれないが、堂々たるモダニスト、近代主義者。40年ぶりの再読の快楽。こんなに面白かったことに気づけなかった浅はかさを、若...続きを読むPosted by ブクログ
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近代の波に呑まれていくスペインとゴヤ。
絵からも時代の変わり目を読み取ることができる。
ゴヤよりもスペインという国家,
そして民衆の変化に焦点が当たった巻なのではないだろうか。
耳が聞こえないことが、彼にとってどう作用していたのだろう。Posted by ブクログ -
500頁超える巻を4巻、漸く読み終えた。ゴヤがこれほどの数の作品を残したとは驚きである。
ゴヤはと言えば、エネルギッシュで、野心家である。
スペインの時代背景とともに、ゴヤの生涯とその作品群を紹介していく大作を読みきった満足感で一杯である。Posted by ブクログ -
ゴヤの生涯とその時代背景を追っていく。ヨーロッパはまさにナポレオン戦争の時代であり、スペインも戦禍に見えて行く。ゴヤの「戦争の惨禍」といった版画集がその悲惨さを描いていく。ゴヤの作品といえば、「着衣のマヤ」「裸のマヤ」のイメージしかなかったが、戦争に苦しむ民衆を描くことこそ、むしろ近代的画家として、...続きを読むPosted by ブクログ
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いよいよゴヤの晩年に近づいていく。ゴヤの人生とともにスペインの激動の歴史も知れるという一鳥二石なこの本。ややこしくて分かりにくこの辺りの歴史を読み物としても面白く、知的かつ情緒的に描き出しているのに、なにゆえこんなに読み進めないのか不思議。私にとって高尚すぎるだけだけど。けど面白いのは事実。少しずつ...続きを読むPosted by ブクログ