サーバーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
河出書房『はじめて読む!海外文学ブックガイド』(十四歳の世渡り術シリーズ)で、芹澤恵さんが紹介なさっていたので知り、読んだ。
九十八セントの買い物に一ドル紙幣を出したウィルマ伯母さんに対し、細かい釣り銭がないのでもう三セント出せないかと雑貨屋の主人が頼んだことを端緒とする世紀の一騎打ちを描いた「ウィルマ伯母さんの損得勘定」、ある市の名前が思い出せないことがどうしても気になって眠れないぼくが、夜中の三時に、寝ている父親にニュージャージー州の市の名前をとにかく挙げてくれと頼みに行く「今夜もまたまた大騒ぎ」など、少年時代の家族や地元の人々との思い出がベースになっている掌編たちがとても面白かった。 -
Posted by ブクログ
気になったので読んでみた次第なのだが、笑いに満ちた一冊だった。
「家族の絆」パートはエッセー集。どの物語も「なんでそうなるの!www」ってツッコミまくりだった。でも、ダム決壊の話は冗談抜き、いつだってありそうだから自戒自戒。
「傍迷惑な人々」パートはありそうな変な人シリーズ。少しホラーなところもあったり、周りがかわいそうだと思ったり。今でもいませんか、こういう人。
「暴走妄想族」パートはどこまでが事実か分からなくなるものばかり。マクベスは推理小説じゃないので!
「そういうぼくが実はいちばん……」パートもエッセーパート。実は鉄面皮なのかもとか穿った見方をしてみる。 -
Posted by ブクログ
20世紀アメリカの作家・イラストレーターにして雑誌『ニューヨーカー』の執筆者でもあったジェイムズ・サーバー(1894-1961)のエッセイ風ユーモア短篇集。
「ウィルマ伯母さんの損得勘定」の頭のよじれるような面白さは傑作。「ダム決壊の日」のなぜかほのぼのとしてしまっているユーモラスなドタバタぶりも愉快。機械音痴でクルマに疎く取扱説明書恐怖症である「なんでも壊す男」(作者自身のこと)のぼやきは、仕組みのよく分らない情報機器にやたらと取り囲まれてしまっている現代、そうした機械類への絶対的な苦手意識に捕われている私と同類の人々に、共感の笑いとともに読まれるに違いない。個人的にはこの3篇が出色。