岡田育のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
AV監督の二村ヒトシ、社会学者の金田淳子、エッセイストの岡田育の三人が、BLを中心に性について縦横無尽に語りあっている本です。
BLにおける「やおい穴」「雄っぱい」「タチ」といったテーマについて三人の鼎談がくり広げられますが、青年コミック研究家やSMの実践者、ゲイなどのゲストも加わって、それぞれの立場から興味深い意見が展開されており、性にまつわる多様な考えかたを知ることのできる内容になっています。
わたくし自身は男性であり、BLには拒否感こそないものの関心もなく、著者に二村がくわわっているという理由で手にとったのですが、予想以上のおもしろさでした。すこし残念だったのは、岡田とともに金田も腐女子としての立場からの発言がめだち、社会学的な観点からの考察をくわえることを怠っているように感じられたことでしょうか。BLのえがかれかたについて歴史的に俯瞰して整理するといったこともおこなっていますが、たとえば「表象の横奪」といった問題を指摘しながらも深入りすることは避けられています。反対に、巻末の「文庫版増補 挿れられる勇気」では、「オメガバース」の流行に対して生物学的決定論を嗅ぎつけて拒否感を示すなど、やや教条的に思えるところもあります。
おおむね腐女子ふたりの熱いトークに二村が合の手を入れるといった印象ですが、個人的には二村の荒削りの「思想」を研ぎ澄ませるような役割を金田に期待していたので、その点ではやや期待はずれでした。もっとも、わたくしのような関心で本書を手にとる読者は、それほど多くないのかもしれません。