滝田ゆうのレビュー一覧
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この漫画はガロに連載されていた頃から生意気な当時9歳の小学生の私は読んでいた。
路地の入り組んだ寺島町には『ぬけられます」とか『ちかみち』の看板がところどころにある。未だによくわからない看板だが、袋小路があるからこんな看板があるのだと最近理解した。
似たような漫画に『三丁目の夕日』があるのだか、こちらはほのぼのとした戦後の昭和で高度経済成長で景気も上向いてきた頃だが、『寺島町奇譚』の昭和は戦前から戦中であり、これから日本はどうなるのだろうという暗い世相が漂っている。
この寺島町界隈は東京大空襲で焼け野原になりこの漫画は完結する反戦漫画なのだ。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ全体的に穏やかな語り口の作品や戦場そのものよりも市井の人々を描く作品が多いように思われた。また、戦争を経験していない作家の作品も多く、同じく戦争を経験していない私には心強く感じられた。
特に印象深かった作品は以下
「菜々子戦記」さそうあきら
お馬鹿さんな菜々子が、無学だったことで戦争の話題で人を傷つけたり理解できなかったりして、一生懸命歴史を勉強する。私もそういう気持ちを持ち続けようと思わされた。
「LOVE STORY’KILLED.」高橋しん
これは元々好きな作品。戦争のぐちゃぐちゃの醜さや人間の極限の精神状態はこんな感じなのかなと想像する。「なにするんですかぁ」の無力さ無機質さがこ -
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購入済み
。。。
心に残る面白さの漫画も一部あったけど、ほとんどの作品は、心の中が『ぽかーん…』となる『え?ここで終了なの?え?』ってなるよくわかんないなぁって印象でした。
戦争ってもしかしたらそれだけ訳のわからないモノなのかもしれないなぁ…と自分なりに思ってしまった。イマイチなんだかワカラナイ、得体の知れないモヤモヤしたへんてこりんなナニカ。
よくわかんないけど多分「空虚」に近いモノのような気がしました。 -
Posted by ブクログ
滝田ゆうの代表作。寺島町というのは現在の東向島のあたりを指し、つまりは永井荷風の「墨東奇譚」でおなじみの「玉ノ井」のあった地域。この私娼窟に住む少年キヨシを主人公として、玉ノ井で生きる人々の姿を戦前・戦中の雰囲気とともに活写する。実際に玉ノ井で幼少期を過ごした作者の姿が、キヨシに反映されている。
もちろん、私娼窟であるから、多くの娼婦、それを買いにくる男たちも登場する。さらにはキヨシの両親は娼婦の仲介(一種の女衒?)をしていたりと、単にノスタルジーだけどの美しさを描くだけではない、私娼窟に必ずある醜さ悲しさも描き出す。
やがて戦争は激化し東京大空襲によって玉ノ井が焼け野原になるところで物語は終