古川雅子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
実に面白かった。兄弟の経済格差は実は社会問題の格差の問題であること。家族の問題は実は社会構造そのものに規定されていること。そもそも、戦前は夫婦でも子供がいない夫婦も多くて養子制度が幅を利かせていたこと。核家族化というのは、いままでの大家族制度を維持したままで、戦後の高度成長期という国家による扶養によって可能となった一時的な社会現象であったこと。現在直面している家族問題が、近現代史の社会構造と社会史経済史と無縁ではないこと。貧困問題、家族問題、家族の在り方、介護問題の在り方はもっと時空間的にひいて見ないと問題の所在を見落とすということであり、きょうだい格差(きょうだいリスク)はそのような背後があ
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Posted by ブクログ
ネタバレ本を読む前から分かっていた事だけれど、きょうだいリスクを下げる為には、親が元気なうちに話しておくこと。
読んで恐ろしいと思ったのは、民法上で「扶養する義務がある」と下される可能性があること。
少なくない借金を抱える非正規雇用・独身のきょうだいとは過去に衝突があり絶縁状態。今は親が面倒を見ている状況。親という防波堤がなくなることは考えたくないが、いつかは必ずそうなる。話すことすら絶望的な私はどうすればいいのだろう。読んで不安が大きくなった。
ただ、これは私自身の境遇故の感想なので、普通のきょうだい関係のある人は参考になると思う。予め家族と話しておく・公的機関を利用する・成年被後見人を設定して -
Posted by ブクログ
「きょうだい」のなかに、独身、無職、孤立等、生活に不安を持つ人たちがいたら。将来、かれらの面倒を見るのは誰なのか。
最近は「きょうだい」の世話に苦しみ、世話をしている当人まで貧困状態に陥るケースも多いという。これまで確かに存在していたのに、ほとんど無視されていたリスク。
著者は原因を社会の福祉システムに求める。性別分業的な男性稼ぎ主世帯を想定したシステムが、他の家族が極度に世帯主(稼ぎ主)へ依存することを促進し、個人レベルの社会保障が充実していないためだ。
配偶者控除の見直しは世帯レベルから個人レベルへ社会保障システムを変革する一歩であり、「きょうだいリスク」を軽減する政策と評価している