明月千里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この人、本当に新人か?と疑ってしまうくらいの出来栄え。一言でいうなれば、お見事。
上手い具合に騙されたよ。たまに“こういうこと”をやる作家がいるが、斬新な騙し方に映った。叙述トリックなんて簡単に言い捨てるのは御法度。
推理小説と銘打たれてるがそのカテゴリーとは少し趣を異にする。厳密には作中で事件は起こらないのだ。起こったことを推理するという事後的な展開だから。
構成は申し分がない。何より無駄な伏線が無いことが素晴らしい。
この手の小説はたいていキャラクターが伏線的意味をなさない場合があるが、本作ではキャラクターの存在ややり取りが重要なファクターを占める。夫婦漫才を彷彿させ、本編に意味をなさない会話が延々と展開する主流のラノベへのアンチテーゼと言える(著者が意図しているかは不明だが)。
作品の縁取りについては置いておくとして。
この作品で一番異彩を放つ人物であり、ヒロイン(ある意味主人公)の月見月理解について語ろう。
ただのオレっ子ではない。傍若無人、邪知暴虐、悪意の権化。ツンデレが泣いて逃げ出す、あるいはメロスが激怒するくらいにとんでもないキャラクターである。
彼女の言動はオブラートの膜も何も無い悪意そのものに満ちたものだ。故に嫌悪感を抱くことも散々。だが、そんな彼女を読者が嫌ったまま終わることは無い。
なぜなら、最後の最後にアクロバティックな展開を著者が用意しているからだ。
ほんの短いやり取りだが、それで彼女への印象は180度変わってしまう。
まさに、“探偵殺人”。
最後の憎い演出が作品の絶頂であり、作品の完成度を飛躍させている。
ラノベだが、ラノベとは言いません。
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Posted by ブクログ
都築初(高校2年生)のクラスに転校生としてやってきたのは、近未来的なデザインの電動車椅子に乗った美少女だった。しかし美少女――月見月理解は、自らの態度と言動により、美少女から電波女へと周囲の第一印象を変えてしまう。
もちろんこんな変な少女のことなんて、初は知らない。しかし理解は初をれーくんと呼び、文字通り押し倒して唇を重ねて舌まで入れた。
昼休み。初は理解に連れ出され、屋上へ。その時には薄々、初は理解の正体に気付いていた。
れーくん……初は一回だけ、そのハンドルネーム(0)で「探偵殺人ゲーム」と呼ばれるオンラインゲームに参加したことがあった。そのゲームに、理解も探偵Rの名でログインしていたのだ。
探偵Rは当時負けなしで有名で、その連勝を止めたのが初だった。理解は自分を負かした初を気に入り、またその時の借りを返すため、転校してきたのだと言う。初に助手になれと誘い、オンライン上ではなく現実でゲームをしようと持ちかけてきた。
理解が持ちかけてきたゲームは、初の父親を殺した犯人捜し。初の父親は借金地獄に耐え切れず、昔に自殺していた。しかしそれを自殺と思えない依頼人が理解に真犯人探しを、自分の命と引き換えに依頼してきた。……そう、理解はネット上だけでなく現実世界でも探偵だったのだ。
依頼人が理解に真犯人ではないかと捜査を以来したのは、初の妹、遥香だった。もし遥香が犯人なら、理解は彼女を殺すと宣言。殺されたくなければ、妹の無実を立証しろともちかけられる。
理解は妹の周りの人物や初の周りの人物が犯人ではないかと周りを固めていく。そしてついに、理解は真犯人を見つけた――初たちの母親だった。
理解は依頼通り、犯人を殺害。また、予想を外した依頼人までも殺した。依頼人――遥香だった。
血まみれの遥香を前に、初は心臓が締め付けられるような発作を起こす。初はうすうす依頼人が遥香ではないと感じ、遥香が犯人と匂わせる行動に出た。本当の、本当のところの犯人――自分が犯人だということを隠すために。死にたくないがために。理解はしかし、そんな初の化けの皮をはがしていく。
初は家族を借金地獄に追いやった父を一瞬でも憎み、いなくなってしまえばいいと思ってしまった。父が自殺した日、母が父を飛び降り自殺した現場まで連れていったのを、初は目撃。その時止めていれば、父は死ぬ事はなかった。対照的に遥香は、どうしようもない父とまたがんばって家族で生活していこうと希望を捨てなかった。そんな遥香と自分を比べ、初はますます事故嫌悪。同時に、父が好きだった遥香に母が犯人だと悟られないために、初は自らが犯人だとほのめかした。そして初は自分が犯人だと思いこむようになり、鬱状態になっていった。
真犯人が初だと知っていた理解は、もちろん母と遥香を殺していない。遥香の血は輸血パックをぶちまけたものだった。
事件を解決した理解は、初の前から去る。初は自分の罪を認め、また乗り越えて、学校生活を続けていくのだった。 -
Posted by ブクログ
ネットゲームを舞台にした学園系ライトノベルの2作目
今巻では女装王子の正体に関する問題に進展が見られます。なんか女装王子はインフィニット・ストラトスのシャルのような感じですね。かわいらしい女の子でありながら、友だちとして近い距離感で接することができる。言葉は古いですが、まさにチャーミングという感じです。
ただ、本作の特徴はクエストによってプレイヤー同士が交流するところにあるのかなと思っていたので、あまりクエストなどが関係ないかたちで女装王子に関するトラブルは解決されてしまったのでちょっと残念ですね。
次巻は本物の妹が登場するようです。ブラコン妹と委員長のにらみ合いがあるのでしょうか。楽しみに待ちたいと思います。 -
Posted by 読むコレ
ゲームそのものをある程度理解していないとなかなかその
ルールが分かりにくいという難点があるものの、「真実」と
「嘘」という他人が表面上は見抜けないことを題材にした
部分では充分作品を通して伝わってくると思います。
乾燥してない瘡蓋を強引に引っぺがされるような嫌悪感を
撒き散らしてくれる「月見月理解」のキャラクターも
読み手の感情を上手く引っ張ってくれるし、なかなか面白いと思います。
所謂「犯人当て」という部分では中盤くらいからボンヤリと
分かってしまいますが、主人公のラストで流す涙と感情の
起伏の表現など、それをリカバリーして余るくらいに熱があります。
この辺りの作品になるともはや講談社ノベルスとかの作品と
あまり違いがないような気すらしますねー。ドンドンこういった
ライトノベルからジャンルレスで面白い作品が出ると、もっと
面白いのになー。 -
Posted by ブクログ
一旦ここで「れーくん」のストーリーは終結なのかな?
妹の「遥香」との確執も何とか終わりを見せて今後は
きっとより対人としての「れーくん」と「理解」との
ストーリーになっていくのでしょうね。
今作は本格的にこの作品のタイトルにもなってる
「探偵殺人ゲーム」が展開される。この難易な
ゲームのルールの把握がなかなかにシンドいのだけれど、
基本的にはディーベートと駆け引きと嘘と真実の配合の
バランスという気がします。完全にルールの把握が出来なくても
結構惹き込まれて読めます。「理解」の能力や、その
敵キャラの「連理」の持つ特殊能力は...ズルいけどw。
次作以降の作品の流れも見えて来て、より
ディープかつ人間不信になるようなこの
「探偵殺人ゲーム」の決勝戦に期待です。