伊藤文英のレビュー一覧
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ポイント
● 知能・脳(新皮質)の主要な機能は「記憶による予測」である。これが本書の一貫した主張。
● 知能を備えた機械を作ることは可能。しかし、それは人間に近づけたり人間を超えることとは別の話しである。そこを理解できるかが人工知能を使う一般ユーザーが持つべき前提としての知識。
●脳の働き方を、組織のあるべき情報伝達に当てはめて考えながら読める。
以下メモ
知能・脳(新皮質)の主要な機能は「記憶による予測」である。これが本書の一貫した主張。 →読み進めると言っていることがわかってくる。
脳ある人間は、あるがままの世界をそのままの形で知覚し、考え、行動するのではない。これまでに蓄積され、記憶された経験から、予測した世界との答え合わせで世界を見ているし、どんな知覚も行動もこの予測に基づいている。 →なるほど。と思ったしたしかにそんな感じがする。
脳は階層構造をしており、上下には具体的な知覚から抽象的・普遍的な知覚があり、それらは上下に相互に連結し連携している。階層の横のつながりももちろんある。
→下部は知覚を具体的・個別的に上部に送る。上部は個別具体的な情報をこれまでの経験から抽象化・一般化して理解する。上部と下部は一方通行ではなく、上部の予測は下部に伝達されそれとの比較で下部は世界を知覚しようとする。
→会社などの組織構造にも当てはめられる考えだと思った。如何にして下部である現場部隊は、上部であるマネジメント層に、適切な情報を伝達すべきか?そしてマネジメント層はその情報を経験を活かしてどのように抽象化し、意味を与えたり見出すべきか。そしてマネジメント層からの予測や一般化と照らし合わせた解釈を現場層が如何にして照合し、添削するか。これまでの会社組織であるような上意下達の情報の流れではなく、アメリカ海兵隊のような双方向の情報の流れが、我々の脳の動き方に近いし、それ故に組織体制としてもそのような情報の流れが良いのではないかと思った。
人工の知能の今後について。人工知能は人間の持つ感覚器官をそのまま持つべきだとは言えない。脳がどのような感覚器官であれ、脳の内部での刺激を同じような仕組みと様式で伝達している。人工の知能も感覚を最終的にコンピュータ上で伝達できる形式になっている必要があり、それは触覚や視覚、聴覚のような形態を取る必要はない。感情は旧脳の分野なので、記憶による予測を知能と定義した場合には、それは新脳の分野でしかないので、感情は不要。
→これはむしろコンピュータ科学者がどのように人工知能を設計していくかというよりも、ユーザーがこの考え方を理解しているか、それとも理解せずに盲信するかというところに関わっていると思った。 -
Posted by ブクログ
2004年に書かれた本なのに、今の大規模言語モデルを予言している。
松尾先生の解説から読むと凄さが判る。
まともな音声認識もなかった時代に、CNNや深層生成モデルやトランスフォーマーに近いモデルを論じている。自己教師あり学習のNext Word Predictionや画像のinpainting処理は現在のAIで基本になっている技術である。
本書の予言のいくつか(音声認識、画像認識、自動運転、天気予報AI,タンパク質折り畳み問題を解くAI)は、すでに現実になっており、次は何かを予測して運動の命令が発せられ結果的に行動するロボットができてくるのか?すべてを同一アルゴリズムで扱うマウントキャッスルの法則に基づくロボット・・・・
「わたしの自信の根拠は、主として、知能の問題に長い間取り組んできたことにある。 中略、 おそらく、わたしの脳には技術や化学の変化がどのように起きるかについて高レベルのモデルが構築されている。そして、そのモデルが急速な進展を予測している。いまこそ転機だと」
もう一度 著者の脳は世界をどう見ているのか の未来予測を読み返さなければ。 -
Posted by ブクログ
●2026年7月1日、ツィッターでフォローさせていただいている「kuto(Bil)(@kutobill)」さんが以下をツイートで紹介していた。
ツイート:
主「世界には関連するが、あちこちに点在している知識がある。これらを集めて統合し、パッケージしたほうが良い。例えば習慣化や自己管理の知識等だ。一つの体系的なパッケージにできるはず。」
静(@sizuka jpa)「この自分の中の「知識を体系化」する技術というか、お作法は、割と軽視されているのではないかと思う。AIに手伝ってもらうとしても、その作法は知っておきたい。書籍で、「思考術、言語化、書き方」というのは多いけど、「体系化」の本はあまり見たことない(自分が知らないだけかも)。」
主「実はこのネタはこの本から拾ってきた。
「この本では様々な研究を拾って集めて知能の統合理論を作る(大意)」という話から始まる。」
→これは読む価値が高そう! -
Posted by ブクログ
オフィスワーカーが数値化、モデル化され、そして最適化の対象となる。業務の効率化のために、あるときは単なるコストとみなされ、そしてある時はモデル化のための数値とみなされる。個人の意思も数値化できるという前提があるのだろうか。オフィスワーカーにとって便利になる一方で悲しい未来に向かって、着実に歩みを進めている。
昔、個人商店主がいたるところにいた。個人の嗜好を把握して適切なソリューションを提供してくれる顔なじみの店主は、最高の営業マンであり、コンシェルジュだった。彼らはコミュニケーションを豊富にとり、行動を観察していた。
現代の我々は、コンピュータと会話をして、行動を積極的にコンピュータにインプットし続けている。数値化された我々はNumeratiの思いのままということだ。
親切な店主の様に、我々の気持ちを汲み取ってくれれば良いのだが、今は知らず知らずのうちに押し売りされている危険もある。ネットの向こう側にいる店主は、顔が見えないどころか、人間かコンピュータかも判らないので、善人か悪人かの判断ができない。
コンピュータが中心の世界では、自分をコンピュータに認識させなければ、存在しないも同然になる。上手く認識させれば実世界以上の存在になることも可能だ。しかし、存在を知られたくなければ、徹底的に認識されることを避けなければいけない。これは、非常に大変なことだ。
コンピュータに何をさせ、何をさせないか。サイバー社会に住む我々は、賢く立ち振る舞うことが要求されている。 -
Posted by ブクログ
不可解な量子の世界の理解が、いかに多くの物理や化学の現象の根本からの(科学的に)整然とした説明が可能か?!、を、結構ドッシリと説明した書籍。
敢えて数式の掲載を控え過ぎず、むしろ「数式は可能な限りは控えるけど、これを理解すれば科学的満足感が得られるんだぞ!、という部分は敢えて出すし、詳細も説明する。だから是非とも努力して理解してみろ!、絶対面白いぞ!」という、何とも情熱的な科学者の情熱を感じるわけです。
しかし、翻訳本に在りがちな、冗長な?(冗談交じりの)文章で延々と数式と理論の説明をされると、うーーーん、さすがに全数式と全文章を追って理解しよう・時間を投資しようって気にはなれませんでした...
ただ、「量子論って、何だか現実感を伴わない、いかにも特殊な世界を科学的に表現する時だけに使われるモノだよね?」的なイメージは覆された。
化学の周期律表の規則性も、量子論で整然とした説明がつく(完全にではないが)という部分は、へえーなるほど!と改めて納得。
敢えて全文を読もうとせず、読めるとことだけ拾い読みしても面白い書籍だとは思いました。