魚住絹代のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
育てるになかなかに難しい子どもを持ったので、この手の本は時々読むのだが、本書はなかでもたいへんすぐれていた。
相当いろいろな本を読んできたので、結局言っていることは
ほかの本と同じではある。
家の中、学校の中で居場所を作る。
子どもを受け入れ、親や教師が自分の経験則にとらわれない。
「どうせ変わらない」と投げ出さない。
この本は、中でも難しさを抱える子にどう対処していくかを
丁寧にスクールカウンセラーとしての実績をもとに、紹介していく。
親の対応も当然重要だが、教師の対応も同じくらい影響力があると
この本を読んで納得した。
どことなく自分の子を難しいと感じている親にはもちろん、
先生 -
Posted by ブクログ
女の子は男の子とはまた違った問題性があり,それゆえに処遇の難しさもある。
「少年院に入ることになったのは親の責任だ」
とするのは簡単だし短絡的にも思える。
ただやっぱり家庭という最小単位がうまく機能することが,子どもが安全に問題を起こすことなく成長していくためには必要だと改めて実感した。
そして,入院するまでに傷ついたり追い詰められたりしないようにするには社会でのシステムやプログラムが必要。
単なる理解や認識の枠組みを作るだけでもかなり違ってくるんじゃないかな。
ただ,こういうの読むたびに少年院での取り組みでしか無いのかなとも思ってしまう。
出院後の社会環境をどのようにすべきなんだろうか -
Posted by ブクログ
再読した。たぶん、ことあるごとにまた読む。
関係ないひとには、一生手に取ることもないだろうが、わたしのような当事者には、お守りがわりのようなもの。
たんたんと語られるが、そのなかに、専門家のおそろしく冷静な思慮と、もうひとつなにかがある。かなり、わたしの深い部分に、触れてくるなにか。
それを愛というには簡単すぎてちょっとちがう。もっと適切なことばがあるような気がするんだがなぁ、と考えて考えてひゃっぺんくらい考えて、「神」かなあ、と思ったりして。
菩薩が胎児にいのちの露をひとたらしする絵をかつて見たが、あの菩薩の表情がこの文章にはあると思う。 -
Posted by ブクログ
元法務教官の方の書かれた本。
女子少年院の中でのことや、そこに来る子どもたちのことについて知ることができ、とても参考になりました。
加害性がなぜ生じるのかの説明に納得。
加害者も、過去を遡れば被害者。
自分を受け入れて、初めて罪と向き合える。
本当に、早目に子どものサインに気が付いて、早目に心の手当をしたいと思うのだけれど、私は在宅での支援の難しさを痛感しています。
限られた社会資源と勤務時間で、どう援助関係を築き、支えていけばいいのか。
「子どもの安全」を、どう確保すればいいのか。
今の時点でできることは、相手を想い、まっすぐに心に向かって、私の気持ちを伝えること。
ささやかだけれど、 -
Posted by ブクログ
少年院の教官だった著者が女子少年院について書いた本。教官だっただけあって,内容が正確である。少年院が幼稚園と同じ目標を掲げているという点については,面白い視点だけど,たしかに,そうだなと思った。実際の事例については,いずれも考えさせられるものが多い。特に,問題を抱えた少年について,特修短期での処遇の難しさが伝わってきた。また,適切な矯正教育を施すことによって,少年が立ち直る可能性があること,そのためには,家族や社会の協力が必要であることなどが,とてもよく伝わってくる。しょく罪教育についても書かれているが,少年の矯正に関わった著者の意見として,きわめて真っ当な意見だと思う。少年法について,興味が
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Posted by ブクログ
女子少年院の仕組みの説明とかはなくて、著者がいかに受刑者(?)と関わり、彼女たちが改心していったかが、なんだか小説みたいに詳述されている。
脊髄反射的に「悪いことした奴は人間のクズだ!厳罰だ!」と反応しがちな人にとっては、「悪事」の裏に実はいろんな背景があることがわかっていいんじゃないかな。
ただ逆に「いろんな背景」だけに注目しちゃって、「本人の罪」を度外視する態度につなげないようには注意しないといけない。
後半の「被害者と加害者の和解」の話もそう。確かに「美談」だとは思うけれど、和解なんて絶対にできないケースもたくさんあるはず。
「和解することがすばらしいことで、そうでない被害者は狭量