心理学には名著が少ない(p.282)。そのなかでの30冊は以下の観点で選ばれている。
・本当の名著
・講演録や論文集
・心理学の学説史上,重要な論点を提出した心理学者の著書
この基準を用いると100冊弱は紹介することになってしまうらしいので,「ヒト」「ひと」「人」という3側面の心
...続きを読む理についてそれぞれ10冊ずつ選定されている。
ヒトの心理とは動物界の一員としてのヒトの心理,ひとの心理とは発達・成長する存在としてのひとの心理,人の心理とは社会を作り,社会で生きていく人の心理である。
以上の方針に基づき30冊が選ばれた。ただし,本書は著書そのものを紹介するというよりも,著書(あるいは著者)にまつわる心理学の観点からみた歴史を紹介している。そのため,心理学についてある程度知識がないと楽しく読めないであろうと思われる。心理学についてある程度知っている人(大学生で言えば3年生〜4年生くらい)向けの本であろう。
ただ,まえがきで記される心理学の分類については初学者でも参考になる。その分類とは簡単に言えば,上記の3側面(「ヒト」「ひと」「人」)に,心理学の3つの志向性を掛け合わせた9分類で心理学を捉えようとするものである。詳細は本書にて確認してほしい。