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人間の心への興味はつきることはない。それらに答える心理学はジャンルも多岐にわたるため、なにを読んで学べばよいか、迷う人も多い。そこで本書では、「生物としてのヒト」「個人的な人生を展望する存在としてのひと」「社会的な存在としての人」という三つの側面に着目して、それぞれの名著を一気に紹介する。加えて、それぞれの研究者の関わりが描いているため、心理学の展開も理解できる。古典から最新の理論までを網羅する入門書!
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Posted by ブクログ
心理学は、いろんな分野で「○○心理学には有名な△△理論というものがあり、それによると・・・」といった形で援用されており、それによって、自説の正しさや、なんらかのテクニックの効果などの主張が非常に説得力を持つようになる場面をよく見かけるので、なんとなく身近な存在である。そういう活躍を見ると、少なくと...続きを読むも一般人の我々に対しては、優しくて人当たりが良くて臨機応変に大人なふるまいのできるお姉さんみたいなイメージで「心理学さん」の人柄を思い浮かべてしまうが、本書を通じて、心理学ってどう生まれたのか、どういう範囲をカバーしているのか、精神医学や社会倫理や法や政治の世界とはどう関わるのか、といったことを知ると、「(近代)心理学さん」はそんな生やさしい存在ではなく、一九世紀後半からのおよそ一世紀半という(意外と短い)歴史の中で、多くの学者たちが影響を与え合ったり戦ったり批判を浴びたりしながら、ムキムキに育ってきた学問なんだなということがわかった。 著者サトウさんによるあとがきで、「人生を意味づけることは極めて重要な人間心理の側面であるが、これまでの心理学ではあくまで傍流であった」と書かれていた。そうなんだ・・・とこれも意外だった。ムキムキマンのなかから、しなやか派、文科系、みたいな系統もあとから生まれてきたって感じに雑に理解した。 以下、特に気になった名著のメモ。 ■スキナー(一九〇四〜一九九〇)『自由と尊厳を超えて』(一九七一) アドラー心理学ブームを待つまでもなく、「強化子が外側にあると壊れる」とすでにスキナーが言っていた。 ■トマセロ(一九五〇〜)『コミュニケーションの起源を探る』(二〇〇八) 人のコミュニケーションは単なる共有以上のもの、つまり協力的な営みであるという前提を持つ理論。 ■ユング(一八七五〜一九六一)『心理学的類型』(一九二一) フロイトとアドラー、二人の先輩同士の対立から理論を見出す。人間関係など外に関心がある外向型と、自分の主体など内に関心のある内向型。さらに、思考↔感情、感覚↔直観の二軸も。 ■ロジャーズ(一九〇二〜一九八七)『カウンセリングと心理療法』(一九四二) 当時において主流だった「指示や説得」に基づく、目の前の問題解決を目指すカウンセリングに彼は不満だった。来談者のことをPatientではなくClientと呼ぶことを主張したのもこの人。 ■ギリガン(一九三七〜)『もうひとつの声』(一九八二) コールバーグの道徳性の段階説は、善悪・白黒をつけること自体に価値を置く文化(男性文化)にどっぷりと浸かっていたといえる。そうした中、ギリガンは「正義の倫理」に拮抗する「他者への配慮(care)の倫理」を打ち出した。「路面電車のジレンマ」という課題がある。即断思考を迫ること自体が生命の選別に慣れさせることであり、その危険性を考慮すべき。 ■ブルーナー(一九一五〜)『意味の復権』(一九九〇) ナラティブ・ターンというらしい。心理学にも、科学寄りと文学寄りと、いろいろあるんだな⋯。 ■フロム(一九〇〇〜一九八〇)『自由からの逃走』(一九四一) 権威主義的パーソナリティ、資本主義、近代社会⋯。野坂きみ子さんの本にあった、「産業社会の求める人材と発達障害の特性は明らかにマッチしてない」「発達障害というものが人類史においてここ数十年で“発見された”」ことの意義を問う視点、を思い出した。 ■フランクル(一九〇五~一九九七)『夜と霧』(一九四七) どんな状況でも楽しみを見出す人がいることにフランクルは気づいた。「私は何のために生きているのか?」ではなく「あなたが生きることが、あなたに対して期待していることは何か?」という問いを立てるべきである・・・?つまり「私にしかできないことがあるのではないか」・・・?ガイドだけだと、わかったようなわからないような。言わずと知れた名著過ぎて敬遠してきてしまったが、読んでみるか。 ■ミルグリム(一九三三~一九八四)『服従の心理』(一九七四) 怖い実験だが、人は権威に簡単に服従して良心に沿わないこともしてしまうということを実証した。 ■チャルディーニ(一九四五~)『影響力の武器』(一九八八) 承諾を得るための六つの原理(返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性)を明らかにした研究。サトウさんの以下のコメントにはっとした。「チャルディーニの本は、善意は伝わる、正義は勝つと思っている人こそが読むべきものなのである。」「自分の価値観とは異なる話にも耳を傾け、それまでの習慣と違うことであっても受け入れてもらえることを目指すものである。」 ■ラザルス(一九二二~二〇〇二)『ストレスと情動の心理学』(一九九九) ストレスを、出来事、(認知的)評価、対処、情動というプロセスで理論化し、それを乗り越えるアプローチとして物語(ナラティブ)パースペクティブを取り入れることを提案した。こういう考え方って、心理学の歴史の中でも意外と新しいものなんだ。 ■カーネマン(一九三二~)『ファスト&スロー』(二〇一一) 人間の思考には、速考と熟考の二種類がある、と考えたら良いということを説いた本。また、人生の評価について扱った終章では、時間の役割の重要性を述べている。私たちは瞬間瞬間を生きているのではなく持続した時間を生きているのだが、一番良かった時とか終わりの瞬間のイメージに焦点を当てて人生を評価してしまいがちだが、それは錯覚だ、と。・・・これは、他者の人生を評価するときには確かにやってしまいそうな間違いだが、自分の人生についてもそうなのかな。
心理学について知識が乏しかったので、この本によって心理学という学問がどんな変遷を辿っていったのか少しだけ理解できた気がした。 心理学は哲学みたいに学者によって色々悩みながら発展していったのだなとしてて興味深かった。
心理学には名著が少ない(p.282)。そのなかでの30冊は以下の観点で選ばれている。 ・本当の名著 ・講演録や論文集 ・心理学の学説史上,重要な論点を提出した心理学者の著書 この基準を用いると100冊弱は紹介することになってしまうらしいので,「ヒト」「ひと」「人」という3側面の心...続きを読む理についてそれぞれ10冊ずつ選定されている。 ヒトの心理とは動物界の一員としてのヒトの心理,ひとの心理とは発達・成長する存在としてのひとの心理,人の心理とは社会を作り,社会で生きていく人の心理である。 以上の方針に基づき30冊が選ばれた。ただし,本書は著書そのものを紹介するというよりも,著書(あるいは著者)にまつわる心理学の観点からみた歴史を紹介している。そのため,心理学についてある程度知識がないと楽しく読めないであろうと思われる。心理学についてある程度知っている人(大学生で言えば3年生〜4年生くらい)向けの本であろう。 ただ,まえがきで記される心理学の分類については初学者でも参考になる。その分類とは簡単に言えば,上記の3側面(「ヒト」「ひと」「人」)に,心理学の3つの志向性を掛け合わせた9分類で心理学を捉えようとするものである。詳細は本書にて確認してほしい。
去年読んだときはかなり難しく感じ、意図的に難しく書いているのでは?とさえ思ったが、今読むとそれが勘違いだったと分かる。これは心理学中級者向けの本だと思う。去年の秋に心理学検定1級を取得し、基本的な用語を理解した今では難なく読むことができ、さらにキーワード間の論理や物語を保管できたという点で有用だった...続きを読む。今後も読み返すと思う。
人のこころ。心理学のなかでも、議論となる名著を厳選して解説。動物界の一員としてのヒトの研究、ひとの心理学は意味を構成しながら人生を歩んでいくひとの研究、人の心理学は社会を作り、そのあり方を問う。 音や数字に色がついて見える。認知の多様性。デカルトの我思う故に我あり、心身二元論。 正義は断じるもの...続きを読む、倫理は抱え続けるもの、道徳はしつけられたもの。正義の反対はもう1つの正義となる。悪では無い点には注意。逆から見たらすぐに分かる。主体として考え、行動することが大切だ。 ブルーナーのコインの実験。裕福な子と貧困の子で同じコインを見ても、貧困の子の方がコインが大きく見えているという。価値、意味がひとによって異なるという実証である。 そして、マズローの心理学。生理的、安全、所属と愛、承認、自己実現という五段階の欲求があり、高い精神的な欲求に進んでいく過程をピラミッドで表した。 カルトについてはフィスティンガーの研究、ノストラダムスの予言は外れたが、むしろのめり込んだ人の多くは財をつぎ込んでいて、都合よく解釈する。カルト入信もまた、犠牲を伴う分都合よく解釈していった結果と。宗教なんて、まさにそれよと心理学では分析している。問題になるから、暗にだけど。
心理学の重要著作30冊を紹介している本です。 ジェイムズの『心理学について』やフロイトの『精神分析入門』などの古典的な著作から、ダマシオの『デカルトの誤り』やトマセロの『コミュニケーションの起源を探る』などのあたらしい本まで紹介されています。ただし、それらの本がただ羅列されているのではなく、「あと...続きを読むがき」で「それぞれの本の著者である心理学者の研究の背景がわかるように心理学史的な叙述を行った」と著者が述べているように、心理学の展開についての説明が比較的ていねいになされているところに、心理学史についての著作もある著者ならではの手腕が発揮されているように感じました。 著者は「はじめに」で、「動物界の一員としての「ヒト」の心理」「発達・成長する存在としての「ひと」の心理」「社会を作り、社会で生きていく「人」の心理」という、心理学があつかう三つの側面を区別し、それぞれが「認知・行動」「発達」「社会」という領域をかたちづくっていると述べています。さらにこの三つの領域にくわえて、「経済、文化、法への展開」を示す「展開」の領域を設けて、それぞれの代表的な著作を紹介することで、心理学の全体像を示そうとしています。 著者自身の心理学の見かたが反映された見取り図ではあるものの、心理学の全体像を概観することができるという意味で、本書は優れた心理学の入門書といってよいのではないかと思います。
無駄な文も多いが、フランクで読みやすい。心理学の各領域の分類、関連については、教科書よりも分かりやすい。
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