早瀬乱のレビュー一覧
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実兄が死ぬ間際に残した「三年坂で転んでね」という言葉、その三年坂について調べていたらしい父の後を追い、受験生の主人公が密かに調査を開始する。読んでいて自分も二十世紀初頭の東京を探索している気分になる。タイムスリップ感満点で時代考証も確からしく、なかなか楽しい。もう一人予備校の講師が、江戸・東京で次々に起こった大火には<発火点>が関係しているという面白い説を元に調査を始める。
二つの物語は、それぞれの目的の元進み、物語の端々で物凄く自然に謎が少しずつ深まっていく。
後半になって、数々の謎がどんどん繋がっていき解き明かされていくが、その進行の仕方が素晴らしく淀みない。ページを捲る手が止められな -
Posted by ブクログ
その水を飲むと過去を忘れてしまう忘却の川・レテ。怜治はS大医学部で脳を研究している友人山村が記憶を消去する装置を開発中だと知り、自分の記憶を消す決意をする。それは一世を風靡したバンド「レテ」のボーカルとして活躍した栄光の二年間の記憶だった。だが、過去と決別した怜治に連鎖するように、次々と奇妙な出来事が起きる!前代未聞のアイデアと圧倒的なストーリーテリングで読者を魅了する驚愕の記憶ホラー。
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私的には読み応えあり、頭も回転させられ、次は何が起こるのかハラハラドキドキしながらも、人間の繋がりの必要性や大切さなども感じられて満足した一冊です -
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第11回ホラー小説大賞長編賞佳作
怜治は、数年前「レテ」というバンドのボーカルとして活躍し、
一世を風靡したのだが、今は落ちぶれて、何をやってもうまくいかない。
そんな時、大学で脳を研究している友人が、
記憶を消去する装置を開発中だと知り、自分の記憶を消す決意をする。
すべての記憶ではなく、「レテ」時代の栄光の2年間の記憶だけを消せば、
新しい人生をやり直せると思ったのだが、
記憶を消してからというもの、
街で、高校時代に自殺したはずのクラスメイトを見かけたり。。。と、
彼の周りで奇怪な出来事が起こるのだった。
存在するはずのない同級生が、そこにいる!
なぜ?!・・・いったいどうなってい -
Posted by ブクログ
ネタバレ三年坂 火の夢/早瀬乱:第52回大賞受賞。2006年。士族なのに貧乏。明治の雰囲気がすごく出ている。
将来を期待された長男は、志通り帝大生になったが、中退して故郷で死す。 三年坂で転ぶと三年以内に死ぬ。
貧乏を常に意識し、母祖母に助けられ東京に出て、一高をめざす次男。長男の死や見たことない父を調査する。受からなかったけど、浪人後に帝大生にはなったみたい。
雰囲気はステキ。読み進めた。明治にそんな大火があったんだ、とか、東京は確かに坂多いわ、とか。知識の泉。
ちなみに、この年にW受賞したのは、優秀作品が多かったわけでなく、佳作が多く、甲乙つけがたかったためのよう。 -
Posted by ブクログ
腹部に謎の傷を負って実家に帰ってきた兄。そして「三年坂で転んでね・・」と言い残し息を引き取る。東京で帝大に通うエリートである兄に一体なのが起こったのか?
ずっと昔に姿を消した父の謎と、東京大火の度に姿が目撃される謎の人力俥夫。真実を探るため、帝都東京にやってきた実之。明治時代の東京を舞台に「隠された坂」の謎に迫る。
なんかあらすじが適当だなw
江戸川乱歩賞受賞の期待の新人、らしいです。新人ということらしく、若干の読みにくさみたいなものはありましたが全体的にはなかなか面白かった。ラストは若干弱かった感じもしたけども。途中の「段々と四面楚歌に陥る主人公」という緊迫感がよかったんだけどなあ・・・