斉藤利彦のレビュー一覧
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第1章 「本土決戦」と国民義勇隊の創設
第2章 「一億総特攻」への準備
第3章 各地における国民義勇隊の結成と動員
第4章 老若男女に課せられた兵役
第5章 国民義勇戦闘隊の戦闘方法と『国民抗戦必携』
第6章 学徒義勇隊と戦闘訓練
第7章 国民義勇戦闘隊の戦死者
1945年夏の「本土決戦」で、実際に「国民」がどのように組織されようとし、どのような戦闘が求められていたかについて、残された資料から検討した一冊。実際に国民義勇戦闘隊が戦闘を強いられた樺太での事例が紹介されることで、軍・政府が考えた計画がいかに机上の空論だったかが理解される構成となっている。「ありえた本土決戦」のイ -
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戦争で父を亡くした子が,国からどのように「大切」に扱われていたのか。そのことのみに焦点をあてた本。わたしは,最近プロパガンダポスターの本を読んだこともあり,とても興味深く読むことができた。
著者は,わたしのところにも一度来てくださったことがある。友人宅(この方の祖父は戦時中,小学校校長)の土蔵から大量の古書が出てきたのを,「研究用にいただきたい」と取りに来て下さったのだ。なるほど,その研究成果はこういう本になって世に出るのか…と思った次第。本書を書くために,蒐集されていった古書が利用されたのかどうかは知らないが,こうして〈戦時中の一般的な雑誌〉から当時の世相やプロパガンダを切り取って示して -
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明治天皇と大正天皇の時代は知らない。それでも、書籍から得る
おふたりの人物像からは生真面目さを感じた。
それは昭和天皇も同様だ。生真面目に立憲君主であろうとされた。
その生真面目の系譜は今上陛下、明仁天皇にも受け継がれている
のだと思う。
昭和天皇の前半生は現人神であった。敗戦後の人間宣言で象徴天皇
となられたが、今上陛下は即位と同時に象徴天皇になられた初めての
天皇である。
今上陛下の折々のお言葉や、ご高齢になっても皇后陛下と共に慰霊の
旅を続けられるお姿からは平和への強い思いが伝わって来る。
本書は今上陛下の平和への思いがどのように形成されたのかを考察
した作 -
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今の天皇陛下のことは、けっこう好きです。
好みの問題なんでしょうが。
見た目とか、そういうことではないんですが、
昭和天皇が亡くなって、今の天皇、明仁天皇さんになってから、
報道で流れる天皇の姿と、天皇の発言を見ていると。
無論の事、ある程度、パターンだし、良くある言葉でしかないのですが、
その向こうに物凄く強固な「リベラル志向」を感じるんですね。
もっと具体的に言うと、
●第2次世界大戦、太平洋戦争。それを、きちんと日中戦争まで含んだ「十五年戦争」と把握するべきだ、という志向。
●その過去について「日本は悪くなかったもんね」というニュアンスを一切、許さない雰囲気。
●といって、自虐 -
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教育史を専門とする学習院大学教授の斉藤利彦氏が、今上天皇の自己形成の道程とそこから生まれた平和への希求について考察したものである。
本書では、昭和8年に生まれ、自ら「戦争の無い時を知らない」と言う幼少期・少年期から、天皇陛下の自己形成に大きな影響を与えたと言われるヴァイニング夫人、小泉信三氏との交流を経て、美智子様と出会い、日本国憲法により定められた「象徴天皇」のあるべき姿を思索し行動する中で、たどり着いた「象徴天皇」の理念と意志が、「国民への共感と共苦」、「平和への貢献」(ここでいう「平和」とは、単に戦争のない状態のみならず、国民生活の基底としての平穏と安定が得られた状態を示す)、「非権力性 -
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天皇陛下のざっくりした伝記みたいな感じ。タイトルから期待したのは、陛下が平和についてどう考えとらえているかを皇位についてからの言動を中心に紹介・分析・論じてくれるものだったんだけど、そうではなかった。けっこう幼少期にもページを割いている。一人の人間の内面形成期をしっかり掘り下げ、そこから現在に至るものを見い出そうということかとも思うけど、掘り下げも足りない。
ただ、幼少期には弱気だったり傲慢な態度も見せていた陛下が、その後の人生を生きるなかで今のように変わったことがすごいと思った。何が変えたのかはわからないけど(美智子さまがそのうちの1つなのは確かだけど)、人は後天的に変われるんだ。
あと感じ