斉藤利彦のレビュー一覧

  • 国民義勇戦闘隊と学徒隊 隠蔽された「一億総特攻」

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    第1章 「本土決戦」と国民義勇隊の創設
    第2章 「一億総特攻」への準備
    第3章 各地における国民義勇隊の結成と動員
    第4章 老若男女に課せられた兵役
    第5章 国民義勇戦闘隊の戦闘方法と『国民抗戦必携』
    第6章 学徒義勇隊と戦闘訓練
    第7章 国民義勇戦闘隊の戦死者

     1945年夏の「本土決戦」で、実際に「国民」がどのように組織されようとし、どのような戦闘が求められていたかについて、残された資料から検討した一冊。実際に国民義勇戦闘隊が戦闘を強いられた樺太での事例が紹介されることで、軍・政府が考えた計画がいかに机上の空論だったかが理解される構成となっている。「ありえた本土決戦」のイ

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    2021年07月26日
  • 「誉れの子」と戦争 愛国プロパガンダと子どもたち

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     戦争で父を亡くした子が,国からどのように「大切」に扱われていたのか。そのことのみに焦点をあてた本。わたしは,最近プロパガンダポスターの本を読んだこともあり,とても興味深く読むことができた。
     著者は,わたしのところにも一度来てくださったことがある。友人宅(この方の祖父は戦時中,小学校校長)の土蔵から大量の古書が出てきたのを,「研究用にいただきたい」と取りに来て下さったのだ。なるほど,その研究成果はこういう本になって世に出るのか…と思った次第。本書を書くために,蒐集されていった古書が利用されたのかどうかは知らないが,こうして〈戦時中の一般的な雑誌〉から当時の世相やプロパガンダを切り取って示して

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    2020年03月05日
  • 明仁天皇と平和主義

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    明治天皇と大正天皇の時代は知らない。それでも、書籍から得る
    おふたりの人物像からは生真面目さを感じた。

    それは昭和天皇も同様だ。生真面目に立憲君主であろうとされた。
    その生真面目の系譜は今上陛下、明仁天皇にも受け継がれている
    のだと思う。

    昭和天皇の前半生は現人神であった。敗戦後の人間宣言で象徴天皇
    となられたが、今上陛下は即位と同時に象徴天皇になられた初めての
    天皇である。

    今上陛下の折々のお言葉や、ご高齢になっても皇后陛下と共に慰霊の
    旅を続けられるお姿からは平和への強い思いが伝わって来る。

    本書は今上陛下の平和への思いがどのように形成されたのかを考察
    した作

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    2017年08月21日
  • 明仁天皇と平和主義

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    今の天皇陛下のことは、けっこう好きです。
    好みの問題なんでしょうが。

    見た目とか、そういうことではないんですが、
    昭和天皇が亡くなって、今の天皇、明仁天皇さんになってから、
    報道で流れる天皇の姿と、天皇の発言を見ていると。

    無論の事、ある程度、パターンだし、良くある言葉でしかないのですが、
    その向こうに物凄く強固な「リベラル志向」を感じるんですね。
    もっと具体的に言うと、

    ●第2次世界大戦、太平洋戦争。それを、きちんと日中戦争まで含んだ「十五年戦争」と把握するべきだ、という志向。

    ●その過去について「日本は悪くなかったもんね」というニュアンスを一切、許さない雰囲気。

    ●といって、自虐

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    2016年07月27日
  • 明仁天皇と平和主義

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    教育史を専門とする学習院大学教授の斉藤利彦氏が、今上天皇の自己形成の道程とそこから生まれた平和への希求について考察したものである。
    本書では、昭和8年に生まれ、自ら「戦争の無い時を知らない」と言う幼少期・少年期から、天皇陛下の自己形成に大きな影響を与えたと言われるヴァイニング夫人、小泉信三氏との交流を経て、美智子様と出会い、日本国憲法により定められた「象徴天皇」のあるべき姿を思索し行動する中で、たどり着いた「象徴天皇」の理念と意志が、「国民への共感と共苦」、「平和への貢献」(ここでいう「平和」とは、単に戦争のない状態のみならず、国民生活の基底としての平穏と安定が得られた状態を示す)、「非権力性

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    2016年01月15日
  • 明仁天皇と平和主義

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    裕仁天皇のものはいろいろと読んだことはありますが、明仁天皇のものは初めてです。
    将来の立場を使命に背負って生きてきた日々は想像するだけで恐れ入ります。
    皇后さまとともにいつまでもお元気でいてほしいです。

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    2015年10月26日
  • 明仁天皇と平和主義

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    明仁天皇の平和に対する想いと実践を少年期の記録から皇太子時代そして即位後まで丹念に追っている。2005年にサイパン島を訪れた両陛下が、当初予定になかった朝鮮半島出身者を慰霊した「韓国平和記念塔」にも拝礼したことを知った時から、ずっと気になっていた、明仁天皇の想いを少し知ることができた。「日本国憲法下で即位した初めての天皇として、「象徴天皇」の具体的な内実を自ら創り上げて」来たその姿に心から敬意を抱きます。

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    2015年09月14日
  • 明仁天皇と平和主義

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    明仁天皇の象徴天皇のスタンスをどうするかをよくわかった。平和健康文化環境力点をおいて権力を持たない天皇を演じていく。

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    2015年09月12日
  • 試験と競争の学校史

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    この本を読む高校生中学生は、幸運だ。昔の君たちくらいの子は、こんなにも試験に追い回され苦しんだのかということがわかるかあだ。

    AKB48のような、いや、彼女たちのグループの中での厳しさ以上の競争がなされていたのだから。

    下駄箱の位置や席次までもが成績によって決められていた明治の頃を踏まえ、己の学生時代を振り返る。すると、どういうわけか、あれ以上はできないというのに『もっと勉強すればよかった・・』という後悔が出てくる。もっとやれたはず、明治時代の子の試験漬けの日々を知っていれば負けん気というエネルギーがふつふつ沸いてきただろうに。

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    2011年07月04日
  • 明仁天皇と平和主義

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    天皇陛下のざっくりした伝記みたいな感じ。タイトルから期待したのは、陛下が平和についてどう考えとらえているかを皇位についてからの言動を中心に紹介・分析・論じてくれるものだったんだけど、そうではなかった。けっこう幼少期にもページを割いている。一人の人間の内面形成期をしっかり掘り下げ、そこから現在に至るものを見い出そうということかとも思うけど、掘り下げも足りない。
    ただ、幼少期には弱気だったり傲慢な態度も見せていた陛下が、その後の人生を生きるなかで今のように変わったことがすごいと思った。何が変えたのかはわからないけど(美智子さまがそのうちの1つなのは確かだけど)、人は後天的に変われるんだ。
    あと感じ

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    2019年04月23日