コンラート・ローレンツのレビュー一覧

  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    動物の行動や習性について筆者の実体験を元に分かりやすく書かれていて、非常に読みやすい本であった

    カラスがこんなにも社会的な動物だとは知らなかったのと同時に、散歩するときに色んな動物の行動を観察してみようと思った

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    2026年08月16日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    生物や生物学に興味を持つ一歩としておすすめの必読書。
    動物行動学という領域を開拓し、ノーベル生理学医学賞を受賞したコンラート・ローレンツ氏による動物行動学入門書。「動物たちへの分懣」という生き物への愚痴から入る。しかし、本書の根底にあるのは生き物たちの営みの美しさと深い愛情(そしてローレンツ氏の良い意味での異常性)。
    「永遠の変わらぬ友」で登場するコクマルガラスの生態はとても深淵で「人間っぽさ」があるが、それは擬人化ではなくコクマルガラスの生態こそ生き物らしさであり、「人間っぽさ」は「生き物らしさ」であると感じさせる。
    原書のタイトルは「Er redete mit Vögeln, Fischen und vielem anderem.(彼、けものども、鳥ども、魚どもと語りき)」で、「ソロモンの指環」が登場する旧約聖書列王記の記述から借用したものだが、著者が冗談めいて語っているように動物と対話を出来るという点では「ソロモンの指環」越えを果たしているのかもしれない。

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    2025年06月29日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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     興味深い本でした。わたしが読んだ本は,1976年発行の単行本。
     ずっと前に古本屋から購入して本棚にあったのだけれども,やっと読んでみた。
     ローレンツのこの本は,大学で学んだ教育心理学の時に知った著作なので,出会いはずいぶんと古い(40年以上前)。「動物行動学」「比較行動学」という学問を世に知らしめた人といえるかな。有名なひな鳥の刷り込み理論のもとになった実験など,貴重な話を読むことができる。
     訳者の日高敏隆氏は,「訳者あとがき」で「ローレンツのこったドイツ語には,かなり頭をかかえたこともある」と書かれているが,翻訳ものにしてはたいへん読みやすくて,ここに取り上げられている動物たちとローレンスとのかかわりが手に取るようにわかる。
     いやー,わたしも動物を飼うのが好きなんだなあって思えたわ。アクアリウムもゴールデンハムスターもマヒワもインコも買ったことあるしね。さらに,ずっと犬も飼っているし。

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    2024年04月24日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    筆者の動物愛がものすごく、本に収録されているエピソードが全て面白い。
    古い本のため現在の生物学的に間違った記述も結構あるようで、注意が必要。

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    2024年04月03日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    1900年代前半に、ほぼ野生状態の動物と共に過ごしたすごい動物行動学を成立した人の自伝的なやつ。
    実際にその人が体験したエピソードがてんこ盛りでとてもおもしろい。ガンの鳴き声を把握して会話できてるのがもはやおとぎ話かのよう。

    そこらの沼から水をひとすくいしてアクアリウムを作るという話を読んで自分もやりたくなったが、今はそんな池や沼なさそうなんだよなぁ…

    肉食動物は、うなり合うだけで実際に殺し合ったり、弱い相手を殺すまで戦うということはなく、勝敗が決まった段階でもう争いは止まるものだが、ハトなど、相手を傷つける力を持たず、逃げ出す力を持つ動物を檻の中など「逃げられない環境」に置くと、弱いほうがいじめ殺されるという、平和の使者ならぬことになる。
    というエピソードがとてもおもしろかった。

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    2021年02月14日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    副題にある通り、動物行動学入門としての名著中の名著。
    学者らしく教養深く、かつ、自然動物への愛にあふれた文章に満ちている。
    科学的な姿勢と、ユーモアあふれる詩情豊かな表現が両立する事を教えてくれる。

    科学者のエッセイや文章というと、高度に知的である人の書くものでとっつき難いかもと思ってしまう。でも、この本はとても読みやすい。愛情深く自然と生き物に寄り添い、その自然のままの姿を愛するローレンツの文章は、特に泣かせにかかっているわけでもないのに、自然と涙が浮かんできた。ハイイロガンのマルティナの話は、とくに。

    ソロモン王の指環が無くても、動物を理解する事は出来るのだ。

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    2020年12月21日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    『はだかになり野生に帰って、野生のガンたちの群れの社会に溶け込み、ドナウの堤であるきまわったり泳いだりするのが、私の研究の本質的な部分を占めていた。なんと幸福な科学だろう』(P170)

    著者のコンラート・ローレンツは、オーストリアの動物行動学者。
    動物とともに生活し、刷り込みなどの研究を行い、ノーベル生理学・医学賞を受賞する。近代動物行動学を学問としての基礎を築いた。

    題名である「ソロモンの指輪」は、旧約聖書のソロモン王が「魔法の指輪をもち、獣、魚、鳥たちと語った」と(※これは誤訳で、正しくは「大変な博識で、獣、魚、鳥たちについて語った」なのだが)いう記述からとっている。
    読んでいる印象でのコンラート・ローレンツは、動物になると周りの目を気にしないし、挿絵も文章もユーモラスな印象。しかし写真のコンラート・ローレンツはまさにゲルマン紳士という外見なので、この紳士博士が鳥に警戒されないために毛むくじゃらの悪魔の着ぐるみで鳥小屋に入ったり、カモの母親代わりとして奇声を挙げながら屈み込み歩きをしていたり、という姿とのギャップにちょっと頭がついていけない(笑)
    研究内容もさながら文章能力が非常に素晴らしく、読みながら唸ったり声を上げて笑ったり感動したり…と非常に楽しめた。
    挿絵も面白く、カラスが餌を持ってきて食べさせてくれようとするんだけど、草と虫を唾液でグチャグチャにさせたものを口や耳に突っ込まれて「ゾワワワ〜〜」となっている姿などは思い浮かんで笑ってしまう。

    最終章で、動物による攻撃から、「人間は今後相手を完膚無きまでに叩きのめす方向になるのか、力の差を認識試合紳士的な降参と許容が行われるのか、どちらだろう?」と問いかけている。

    以下自己索引用に各章メモ
    『動物たちへの憤懣』
    幼い頃から動物に対して尋常ならざる愛情を持っていたコンラートが送るローレンツ家の日常生活。家中で動物たちが放し飼いになっているため、絨毯が糞だらけになったり、自分たちの子供を檻に入れて動物たちの爪から守ったりのでした。

    『被害を与えぬものーアクアリウム』
    動物を描いたいけれど、↑のように家中を汚されたくない、人間に被害を与えない飼育として、アクアリウムの紹介。きちんとした環境を整えれば、川の生態系と同じ物が作れる!

    『水槽の中の二人の殺人犯』
    そんなアクアリウムに入れてないけない殺人者(殺魚者だけど)、ゲンゴウロウの幼虫とトンボの幼虫(ヤゴ)について。その食事の仕方の違いとか。

    『魚の血』
    魚の闘い方、結婚や子育てのこと。魚も互いを個体として判別しているのか?の実験では、夫婦を取り替えてみたりと興味深い結果が出ている。このあたりの記述は事情に面白くて唸りながら読んでしまう。

    『永遠に変わらぬ友』
    雛から育てたコクマルガラスについて。鳥が人間を番相手として求愛したり、餌を運んできたり。鳥の集団生活における鳴き声の違い。鳥社会の順位の付け方など。面白いエピソードとして、番だったカラス夫婦のオスにちょっかいを出してくるメスが出てきてしばらくは三角関係を繰り広げ、最終的には夫と愛人が駆け落ち?してしまったんだとか。
    もうこの観察記と文章力には感嘆の声をあげながら読むしかない。

    『ソロモンの指輪』
    動物と人間とのコミュニケーショについて。犬や馬が、相手(人間でも動物でも)のちょっとした仕草や雰囲気で相手の意図を読み取ることができる様子を驚きを持って観察している。さらに言葉を”話す”鳥たちのびっくりするような学習面。怪我をしたオウムが自分が怪我をした理由を人間の言葉で説明した(おそらく助けたらてたときに人間が言った言葉を一度で覚えて発音した)という事例など。動物行動学者は鳥の言語(鳴き声)を理解しているが、カモに向かってガン語を発してしまった!などという、動物学者にはわかるらしい大笑いエピソードとか。

    『ガンの子マルティナ』
    生まれたときにコンラート・ローレンツを見たため、母親と認識したガンのマルティナとの交流と観察の日々。ただただコンラート・ローレンツを慕うマルティナの姿は感動的。

    『なにを飼ったらいいか』
    ペットには何を飼ったら良いのか?というエッセイ。同じ鳥、同じ小動物であっても種類に違ってぜんぜん違うからね!ということを書いている。

    『動物たちをあわれむ』
    動物園や家庭で飼育の動物のことなど。でも家から逃げた動物は、自由になりたいわけではなくて本当に家がわからないんだよ、という事例もある。

    『忠誠は空想ならず』
    ローレンツ夫妻はお互いの飼い犬の事で喧嘩になった。だってコンラートの飼い犬はオオカミ系のシェパードで、妻マルガリータさんの飼い犬はジャッカル系のチャウチャウで、性質がぜんぜん違うんだ。…というわけで犬のことについて色々。なお、夫婦喧嘩は、コンラートの犬の息子が、マルガリータの犬の柵を食い破って結婚したことにより一応解決し、さらなる研究に前向きなコンラート博士でした。

    『動物たちを笑う』
    動物を笑うときは、動物に人間を見るからだよね、というエピソード。

    『モラルと武器』
    非捕食者であるウサギやハトは、喧嘩になったときには相手の毛を毟り皮を剥ぎ弱った相手をさらに押さえつけ完膚なきまでに叩き潰す。捕食者であるカラスやオオカミは決定的な殺し合いになる前に力の差を認識試合紳士的な降参と許容が行われる。
    さて、人間は今後どのような関係を作ってゆくのだろう?ウサギ型だろうか、オオカミ型だろうか。

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    2020年05月14日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    高校生の時に、生物の先生に薦められて読みました。
    動物の行動学とか全く興味なかったし、そんな内容の本とは知らずに手に取りましたが、とても面白い内容でした。

    研究者とはいかなるものか、観察とはどうするものかが分かります。
    お勉強の本ではなく、タイトルの通り、動物と対話するため本です。
    作者の動物を観察するときのワクワク感や
    家のなかで動物を放し飼いにするために子どもを檻に入れたりなどちょっぴりクレイジーなところが楽しいです。

    昨今、ろうそくの科学が有名になりましたが、
    個人的には生物ばんのろうそくの科学的な位置にある本だと思います。

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    2020年02月14日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    すごく面白かった、特に魚の話が最高。
    ハトは衝撃的だった。
    人間だけがある種の感情や理性を持っているなんて考えは、おこがましいんだなと再認識させられた。
    人間だって結局動物でしかないんだあ。

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    2018年07月17日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    【動物と過ごす喜びと犠牲】
    動物と暮らすという覚悟とはこういうことだ! ということがひしひし伝わるエッセイ。

    動物学者の著者の目を通した動物行動の面白さは言うまでもなく、動物を観察するための狂気じみてるような努力も読みごたえあり。思わぬものに夜中叩き起こされる羽目になったり、ご近所からヤバい目で見られたりする悲喜こもごも。

    何度読んでも電車を乗り過ごすくらい、内容は折り紙つき。

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    2018年04月06日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    著者と動物のエピソードが微笑ましい。

    コクマルカラス可愛い。

    ムツゴロウさんを思い出した。

    最後のページに考えさせられた。
    以外、抜粋です。
    ・自分の体とは無関係に発達した武器をもつ動物が、たった一ついる。しかもこの動物が生まれつきもっている種特有の行動様式は、この武器の使いかたをまるで知らない。武器相応に強力な抑制は用意されていないのだ。その動物は人間である。
    ・全人類が二つの陣営に分かれてしまう日も、やってくるかもしれない。そのときわれわれはどう行動するだろうか。ウサギのようにか?それともオオカミのようにか?人類の運命はこの問いへの答えによって決定される。さてわれわれは、いずれの道をえらぶであろうか。

    26.02.08-29冊目

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    2026年02月09日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    エクストリーム系動物行動学者ともいうべき著者による、愛を持って動物生態を観察した記録をユーモアとともに綴った一冊。
    突き抜ける人はやっぱり凄い。
    家族や後お近所の人も大変だろうけども。。。

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    2025年05月02日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    齋藤孝さんの新書でお勧めされていたので読みました。
    いろんな動物と博士のエピソードがメインで、読みやすくとても癒される。
    人間という動物に対しての鋭い考察も最後にあります。
    登場する動物をYouTubeで実際に見ながら楽しく読みました。

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    2024年09月19日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    非常にユーモアのある、動物に関する本だ。本書は、動物行動学をつくりあげてノーベル賞を受賞したコンラート・ローレンツ氏によって書かれた。
    もっとも有名でおもしろい例は、鳥類の刷りこみだろう。通常、人間を含むほとんどの哺乳類では、性的な愛の対象は遺伝に刻まれており、しかるべき時になれば適切な対象に気づく。しかし、鳥ではまったく違っている。ヒナのときから1羽だけで育てられ、同じ種類の仲間をまったくみたことのない鳥は、自分がどの種類に属しているかをまったく知らない。すなわち、彼らの社会的衝動も性的な愛情も、彼らのごく幼い、刷りこみ可能な時期をともに過ごした動物に向けられてしまう。ニワトリとともに育てたメスのガチョウは、オスのニワトリに夢中で、オスのガチョウの求愛など見向きもしない。ある動物園で巨大なゾウガメの部屋で育てたれたクジャクは、ゾウガメにばかり求愛し、メスクジャクの魅力には盲目になってしまった。著者の家庭で飼っていたカラスは、世話をしていたメイドに恋をした。
    動物の世界には私たちの知らない、おもしろい話がまだまだたくさんあることを教えてくれる良書だ。知的な中高生にぜひ勧めたい。

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    2023年10月20日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    ムツゴロウさんの様な人だったのでしょうか。
    あるいは、実在ドリトル先生でしょうか。

    動物行動学者であり、ノーベル賞受賞者でもあるのですね。

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    2023年01月08日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    著者と翻訳者、ふたりの動物学者による動物への愛に溢れたユーモラスな二重奏。

    動物行動学の第一人者で、動物の"刷り込み"の研究で知られるコンラート・ローレンツの1949年刊行の名作です。
    動物との微笑ましい交流と、動物の行動に見られる不思議さが描かれます。堅苦しさのない軽やかな文体で、エッセイのように楽しめます。翻訳の日高敏隆先生もまた温和な動物行動学者で平易な文体の方なので、この読みやすさは著者と翻訳者による、ユーモラスな人柄の二重奏によるものかもしれません。

    鳥や魚、犬たちに囲まれて暮らす動物行動学者である著者は、動物にメスを入れたり薬を飲ませたりという実験をせず、その行動をつぶさに観察しますが、その暮らしは驚きとトラブルと感動にあふれています。
    刷り込みによって生まれたてのハイイロガンのヒナの母親になってしまい、ヒナが独り立ちするまで片時も離れられなくなってしまったり、幼き我が子に動物による危険がないように、"我が子のほうを"檻に入れたり、町中でオウムを呼ぶためにオウムの鳴き声を出して周りに白眼視されたり等、、、楽しみながら動物の不思議さを知ることができます。

    動物たちは、人間が思っている以上にこちらをつぶさに観察していると作中で書かれています。著者のように動物と会話できなくても、表情や挙動からこちらの気持ちや次の行動を読んでいるのです。これには私も確かに思い当たることがあります。私の実家の犬は「散歩にいこう」と口にせずとも、リードが置いてある棚の方向へ歩き始めた時点で散歩に行ける喜びで飛び上がります。さらに驚くことに、いつもの散歩ではない特別なお出かけ(キャンプ等)の時は、家族はいつもどおりソファから立ち上がっただけにも関わらず、彼は普段の何倍もハイテンションに鳴き声をあげ、半狂乱になって喜びを放出させます。

    作品全体はユーモラスなエピソードに彩られつつも、最後の章「モラルと武器」で著者は読者にシリアスなメッセージを投げかけます。動物の争いについて触れているのです。オオカミ同士やイヌ同士など同種での争いの場合、旗色が悪くなってきた弱者は強者にあえて弱点をさらすような服従の態度をとります。その服従のポーズを取られた強者は、それがルールであるかのごとくピタリと攻撃をやめ、追い打ちをかけることができなくなってしまうので、敗者を殺すことなく戦いは終結を迎えるのです。まるでレフェリーが割って入ったボクシングのようです。しかしこれがクジャクと七面鳥といった異種の争いでは、服従のポーズが異なるために敗者が服従しても攻撃が終わらず、攻撃を受ければ受けるほど服従の姿勢を固めてしまい、果ては悲劇を迎えるという最悪な悪循環も紹介されています。

    人間においても礼儀作法の中に、弱点をさらす服従の名残があります(お辞儀や脱帽など)。敗者・弱者が強者を抑制することは以前読んだ類人猿の本でも出てきました。地位の低いチンパンジーが、群れのボスにエサ場を譲ってほしいと近づくと、ボスは渋々場所を明け渡すといった習慣です。高度な知能と社会性を持った動物は、弱者に優しくあることが備わっているのでしょう。無防備に弱点をさらして「さあ殺せ」となると、殺しづらいのは人間も同じかもしれません。私は天安門事件の有名なシーン、戦車の群れと、その眼前に身一つで立ちはだかった一人の男性のにらみ合いが思い浮かびました。
    この章の最後、"自分の体とは無関係に発達した武器をもつ動物が、たった一ついる。(中略)この動物は人間である"(p278)から始まる文章が、70年の時を超え、ロシア対ウクライナの戦争まっただ中である現在、いかにシリアスに胸に突き刺さることか。

    あとこれもこの本を楽しむ上で大事な要素のひとつですが、著者(とアニー・アイゼンメンガー)の手による挿絵がかわいいんです!クラシックな名作絵本のような、過剰にデフォルメされていないのにかわいく、手書きの線の味わいがある数々のイラストたちも、読者を楽しませる立派な立役者です。

    あとがきで初版刊行時の間違いや出版後の後悔などについて書いてあって、そういうとこも学者センセイ然としてなくて人間くさくていいです。「コンラートのおじさん、やっちゃった」って感じがします 笑。また現在では犬の祖先はオオカミと言われていますが、この本のなかで著者はオオカミ祖先とジャッカル祖先の二派に分かれる、と説いています。70年近く昔のものなので仕方のないことでしょうね。

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    2026年08月21日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    読書会、面白いです。

    読書会に参加したことが無い、という方が大半だと思うので、すぐ共感してもらえるとは思わないのですが、少なくとも私にとっては10年近く続けている習慣になっています。
    テーマの本を1冊決める。参加者みんなでそれを読む。決めた日にカフェに集まる、そして意見を言い合う。

    これだけ。発表者がいるわけではなく、資料を用意する必要もありません。(ノートを取ってくる時はありますけれど)本を読むという行為が、「5月8日にいっしょに意見をシェアする」と約束するだけで、いかに充実した行為になるか。お近くで催しがあれば、ぜひ参加してほしい企画です。

    そんな読書会で、昨日とても良い本に出会いました。コンラート・ローレンツ著、ソロモンの指環です。

    タイトルだけみると、一見ファンタジー小説か?と見紛ってします。しかし、れっきとした動物行動学の本。ローレンツ氏はこの研究でノーベル賞生理学・医学賞を受賞しています。

    卵から生まれたばかりの雛は母鳥に限らず、どんな生き物でも母親と認識する。有名なプリンティング(刷り込み)という生態を発見した方、といえばご存知かもしれません。

    この本を読んでいく中で面白い一節がありました。かれが犬、猫、カラスまで幅広い動物を観察し、本を著すと、ある批判を受けた、というのです。

    曰く、「動物を擬人化しすぎている。嫉妬、怒り、喜び、楽しみ?彼の書き方は科学者にあるまじきものだ」というものです。それに対するローレンツ氏の反論は次の通りでした。

    私は動物を擬人化しているのではない、逆だ。人間が動物の模倣をしているのであり、もっと正しくいうのであれば、人間も動物の一種に過ぎないということだ(本文の一節を意訳)

    人間も動物の一種に過ぎない。このくだりを読んだ時はとても腑に落ちたものです。

    なぜ、人間は嫉妬深いのか、怒りに身を任せるのか、そして楽しむのか。この質問は正しくありません。
    人間は、ではなく、動物(この研究の中では鳥類、哺乳類が中心ですけれど)はこういった行動を、本能や経験から行う、ということ。人間に限った話しではないということです。

    これを事実とした時に、残念に思うこともできるそうですが、私は少し安堵します。
    そうか、浮気は不義だと言われているけれど、コクマルガラスの夫婦の間にも同じようなことがあるのか。
    また、ヒエラルキーといった上下関係や、それに伴う嫉妬は、人の悪徳だと言われているけれど、ハイイロガンのグループでも垣間見れるのか。
    これは面白い観察記録でした。

    全く別のカテゴリーの本ですが、第二次世界大戦後に「堕落論」を書いた坂口安吾という作家がいます。
    彼は特攻隊に向かう男たち、貞淑な妻達に違和感を覚え、文章に残しています。それは人間の本性ではない、戦中に作られた為政者にとって都合のいい価値観だと。

    コクマルガラスの浮気グセと、戦中戦後の日本人の価値観の推移を比べると、ドイツ人研究者の自然洞察が、日本人作家の人間洞察につながったような気がしてなりません。

    ソロモンの指環は、動物研究の名を借りた人間研究のテキストとして楽しめる。昨日の読書会での発見です。

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    2022年05月09日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    動物に関する深い愛情と畏敬の心、そして探究心が紡ぐ動物論文。髄分古い著作だが、今見ても新しさを感じる。
    今から動物を飼おうとする人、今も飼っている人はもちろん読むべき本だと考えるが、動物に興味のない人でもとても楽しく読めます。
    この本を読みながら無性に動物を飼いたくなって来たところタイミングよく「8章何を飼ったらいいか」の章に至り嬉しくなりました。著者かおすすめのアクアリウムかゴールデンハムスターを検討してみたい。各章とも興味深く、何れも作者が動物と過ごす中での実験と経験に基づいており、楽しげではあるが相当に動物への愛情がなければこの苦労は背負えないな、とも感じる。印象深いのはコクマルガラスを飼う中でのエピソードで、確かにカラスとはいえ賢い動物に懐いてくれるのは至上の喜びだと共感しました。
    作者も描いたというイラストもわかりやすく楽しく読める一躍を担っています。

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    2022年04月10日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    ネタバレ

    犬の賢さすごい
    動物がなつくことの微笑ましさと感動
    どういう生き物を飼育したらいいか習性を元に書かれていて参考になる
    作者のあくなき探究心

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    2022年01月26日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    品が良くて楽しく読める動物エッセイ。ノーベル賞までもらった学者さんなのだが、鳥だネズミだアクアリウムだとそれはもう種々雑多な動物たちと暮らしており、ほとんどムツゴロウっぽい。昔のおおらかさがいい感じ。

    最近の動物に関する研究でローレンツの系列に繋がりうるのはここらへんかな、と思い、本棚にあったテンプル・グランディンの「動物感覚」を読み始めた。

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    2021年05月22日