小嶋陽太郎のレビュー一覧
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ネタバレ
市川と佐野、2人のストーリーが交互に描かれており、市川は大学生、佐野は中学生と関連性が無く、最初は「この2人に共通するのは三角関係って事かなあ?」などとぼんやり考えていました。
ですが、途中から市川=佐野であることを間接的に匂わせる表現が入ってきて、最後の晃との会話の部分で確定した…って感じでしたよね?
途中で同一人物であると気付いた時は震えました。笑
市川でのストーリーも、佐野でのストーリーも、
最初はただただ"日常"感が強く、穏やかな気持ちで読めていたのですが、段々と不穏な空気が混ざって来て…最終的に1番怖かったのが、佐野が父の部屋を見て奥村の家に行かなければなら -
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『放課後ひとり同盟』に続いて、またも短編集。
物語自体は個々に独立しているが、神楽坂にある神社と公園という舞台設定をい共有している構成も前作と同じ。
しかし、本作の方が私の好きな小嶋陽太郎の鬱屈した感じが出ていたように思う。
「甲殻類の言語」☆☆☆
似た者同士の性根の腐った幼馴染だことで。
でも、彼女たちの言語と同様に、彼女たちにしか分かり合えない世界があるんだろうな。
京一も実は腹黒かったりするんだろうか。
「ディストラクション・ガ-ル」☆☆☆
誰かの言葉あるいは存在によって自分の自我が確立されるという感覚はわかる。
しかし、爽やかに終わったように思えるのは表面上のことだけだ。
松岡は -
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ネタバレ文学大好きな友梨が配属されたのは、ゴリゴリの青年漫画編集部だった。
これまでの人生で漫画とまったくの無縁だった友梨が
男だらけの青年漫画ヤングビートを担当することになり、戸惑う連続の日々。
ヤングビートの柱ともいえる大御所漫画家を激怒させ、突然の連載終了宣言。
童貞漫画の担当になり人気が落ちていくことへの焦り。
漫画家の代理としかやりとりさせてもらえない人気漫画の主人公が、ある日から友梨の目の前に姿をあわらしたこと。
心が折れそうになることもありながらも
容赦ない言葉を浴びせてくる上司や先輩に同期など
そして漫画の主人公キヨの存在にもときに救われながら
自分のトラウマだった過去を受け -
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自分を火星人だと言い張る佐伯さんと、彼女は火星人だと信じる国吉くん、火星人なんかじゃないと言い張る高見さん、佐伯って誰と言い放つ水野くん、そして担任の山口先生と、数学の谷先生。みんなとても魅力的です。
何もやりたいことがなく、佐伯さんの付き人になると決めたら張り切る国吉くんは、いずれやってくる「佐伯さんが火星にもどる日」のために準備を怠りません。でもそれは、何者かになりたくて、でもなれないと思ったからではないでしょうか。校舎を出て砂利道を歩くとき、どんなに気をつけても音が出てしまうのに、佐伯さんは特に気をつけてる風でもないのに音を立てずに歩くから、特別な佐伯さんの特別になりたかったのかもしれ -
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女子高生2人、男子高生2人、男子大学生1人、OL1人をそれぞれ主人公とした6話を集めたオムニバス形式の小説。いずれの小説も神楽坂の象公園や現代的な神社が舞台の1つとなり、また、なんらかの三角関係が描かれている。
「いま、そこに確かに存在する若者たちの情動と煌めきが詰まった、生傷だらけの群像劇」というキャッチコピーが、まさにぴったりの内容で、あまり人に知られたくない自分の一面をえぐられるような感覚になる描写もままあった。
正体不明の不思議な能力を持つ謎の男がたびたび登場したり、象の像がしゃべったりしたが、そのようなファンタジー要素はない方がよかったと思う。