泉秀一のレビュー一覧
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見えているようで視えていない世界。
箱根駅伝で走るケニア人ランナーが
まさにそれであると
改めて実感させられた。
箱根駅伝でケニア人留学生として走るランナー。
出身校としてよく出てくる『ガル高』とは
どんな学校なのかという疑問から、
日本にやってくるケニア人ランナーの歴史や
ケニア人ランナーが日本で走る背景など
わかりやすく書かれておりとても読みやすかった。
家族のため、自分のため、貧しさから脱却するために
稼げる走り屋になるために走るケニア人。
勝つためにケニア人ランナーを起用する日本の学校や
実業団。
『ケニア人と日本人ランナーと競争させて、日本人が負けるのがかわいそう』と批判する日本人。
どの側の意見も分かる気がして、心が痛かった。
そして、大金を手にしたケニア人ランナーのその後の人生も、ランナーによって明暗がはっきりと分かれるらしい。
アフリカというお国柄もあるのだろう。
ケニアドリームを掴むために今日もどこかでケニア人ランナーは走り続けている。
実際にケニアまで足を運び、現地のケニア人ランナーやその家族や周りの人と話をした著書の本なので
とてもありがたく読むことができた。
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Posted by ブクログ
駅伝。仕事から解放された年末年始の長期のお休みに、実家でゴロゴロしながら、もちやおせちをつまみながら、初詣に行く時間までの時間潰しに何の気になしに見ているものである。
まーたアフリカの人が速いわぁ、生き物が違うから当たり前やなぁ。こんなん留学生で呼んでくるんやから、ここの大学は汚いなぁと、コロコロしながら文句を言う。
本書は、この「アフリカの人」がどういう背景を持っているのか、どういう経緯があって日本で走っているのか、と言ったことにスポットを当てる。
先述の通り、僕は正月の時間潰しにしか駅伝を見ないので、「駅伝を見る目が変わった!」とまでの感想は持たなかったが、それでも、貧困の中にある家族を救うため、その期待を一身に背負って、己の足で人生を切り開く、ケニア人ランナーの物語は非常に面白いものであり、また、負の側面として、ケニアの貧困の問題、教育の問題と、考えさせられることもあった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ箱根駅伝のケニア人ランナーはとても足が速い。ケニアの中でも箱根駅伝にぴったりの速いケニア人を日本人が留学生として連れてくるのだ。ケニアでは、足が速いと将来ランナーになることを期待される。農村部では、依然として多くの住人が貧困ライン以下だ。子供を小学校に通わせられない家庭もある。その中で走りが速いと成功者の例であったように一年でケニアの平均所得の五〜十倍以上を稼げる。しかし、教育を得ないまま若くして日本へ来て大金を稼いでどうなるか。お金の使い道もわからず使い切ってしまう。競技力ではなく、教育や家庭環境で差がつき、日本で学んで大学へ行く人と落ちぶれる人が出てしまう。子供の頃から足が早いとランナーになれと将来を決められてしまう雰囲気も、家族が子供に将来を賭ける環境もどこか苦々しく思える。なんにしろ、義務教育程度の教育を受け、礼儀正しくあれば、どんな外国人でも箱根駅伝で走ってくれてかまわない。箱根駅伝を走るケニア人が学校に通い、健やかに育ち、教育を受けた両親に学び、無理せず生活することを祈るばかりだ。
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Posted by ブクログ
丹念な取材に基づく出色のドキュメンタリーです。
私は、箱根駅伝の大ファンですが、著者が指摘するように、「ケニア人ランナーについてほとんど知らないこと」を気にもしていませんでした。池井戸潤の『俺たちの箱根駅伝』にも描かれているように、日テレのスタッフは駅伝をドラマにするために出場選手について入念な取材をし、それを中継で紹介しています。しかし、思い返せば、ケニア人ランナーについてその生い立ちやランナーとしての歴史が語られることはまったくありません。ケニア人ランナーは箱根駅伝というドラマのキャストとされていないのです。
本書の帯に書かれているように「生きるためには走るしかなかった」ケニア人ランナーの実態、ケニア人ランナーを日本に繋ぐエージェントの存在、ケニア人ランナーを起用する学校や監督の葛藤等々、かなり衝撃を受け、考えさせる内容でした。
本書が優れているのは、①ケニア人ランナーを取り巻く様々な問題を採り上げつつも、彼らも一人の人間として視る必要性を訴えていること、②ケニア人ランナー問題は、現在日本でイシューとなっている外国人問題と通底すると指摘していること、です。
本書を読むと、来年の箱根駅伝を観る目が変わります。本書からの引用になりますが、「箱根駅伝という国民的イベントを通して見えてくる私たちの社会の姿は、時として美しく、時として恐ろしい」 -
ビジネスに活かす「嫌われる勇気
週刊ダイヤモンドの特集を電子化したものなので、これ単体で目新しいことを言っているわけではないです。
「嫌われる勇気」を読んで、仕事面により活かしていく方法を知りたい人に良いかも。「嫌われる勇気」本編は概念的な部分も多く、やる気だけは出てくるんだけど何から手を付ければ…?という人にも。
まずは本編を読んでから、副読資料として参考にすることをおすすめします。 -
Posted by ブクログ
高校生駅伝、箱根駅伝ではケニア人留学生ランナーの姿を見ることが多くなりました。なぜケニアからの留学生が突出して多いのか、筆者はその背景を辿ります。
ケニア人ランナーを日本の高校、大学へ留学させるルートを構築した日本人が存在しました。様々な人との出会いが地元ランナーや、日本の陸上界との人脈を作り出し、システマチックに有望なランナーを日本へ送り込むようになります。ケニア人ランナーにとっても、”日本で走る”事は一家を支えるだけの収入を得る大きなチャンスとなっていました。
ケニア人ランナーの圧倒的な走力は所属する高校、大学を主要な駅伝で勝利に導くだけの力がありました。しかし、彼らを招聘した監督の多くは、彼らを単なる”助っ人”として招聘したのではなく、真摯に競技に取り組む真面目さ、人間性をもってチームメイトの日本選手の意識改革、競技力の底上げまでを目指していた事が本書で紹介されています。
あまりに突出した走力故、バッシングも発生します。結果としてケニア人ランナーが出場できる区間が制限されたりするルール改正が行われました。強力なランナーと切磋琢磨することで日本人の競技力も向上するはずなのに、それに制限をかけるやり方は競技力の発展を阻害する可能性があります。
本書は駅伝におけるケニア人ランナーを対象としていますが、日本社会が外国人の人材をどう受け入れるか、という問題にまで昇華しています。”外国人労働者を受け入れなければ人手不足で立ち行かないのに、身近にはいて欲しくない”といったありがちなご都合主義が、今後の日本社会、日本陸上界の発展を阻害するのではないか、という著者の危惧は非常に説得力がありました。本書は第57回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品です。 -
Posted by ブクログ
日頃陸上を見ているので、知っているケニア選手の現在がわかってうれしかった。
特にビダン・カロキ!日本でも人気があって、トヨタ自動車で服部勇馬と走る姿もみたり、国際大会でもよくみてきた。人格も立派な人なんだなぁ。
逆に身を崩している元選手もいて、悲しい。
あと、若いのに交通事故で亡くなる人が多いと感じていたけど、本当だったか。
箱根駅伝で活躍して、そのまま実業団に入る選手をみて、日本が気に入ってくれたのかなとお気楽なことを考えていたけど、母国で一族を支えていたんだな。みんなお金を当てにしているから、簡単には辞められないか。
足の速い選手がたくさんいるアフリカで、特にケニア勢の来日が多い理由がわかった。小林さんというエージェントから始まっていたわけだ。
その歴史も面白かった。
在留資格要件が厳しくなってきたが、引き続き観戦を楽しみにしている。