あらすじ
ごぼう抜きランナーたちの素顔に迫る
生きるためには走るしかなかった――
箱根駅伝「花の2区」を駆け抜けたケニア人留学生たちのドラマ。
箱根駅伝のエース区間「花の2区」を誰よりも速く駆け抜けたにもかかわらず、私たちは彼らの家族、兄弟、故郷、友人、そして来日の方法などについて何ひとつ知らない。正月のテレビ画面に「見えている」のに「視えない存在」――ケニア人留学生の謎を追ってアフリカの大地を訪ね歩いた。
●箱根2区の区間記録保持者、リチャード・エティーリの素顔
●マラソン五輪金メダリスト、元仙台育英のサムエル・ワンジルの死
●陸上ファンの間で疑問視されてきた謎の高校「ガル高校」の真相
現地取材で徹底レポート。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
近年箱根駅伝に数多くエントリーし好記録を連発してきた留学生ランナーたち、そのほとんどは東アフリカのケニアの若者たちである
本書はそのケニア人ランナーたちにスポットをあて、「助っ人ランナー」という記号ではなく、それぞれが持つ「物語」を感じさせる一冊となっている
まず自分が衝撃を受けたのは、故郷のケニアでインタビューに答える若者を写した写真である
Σ(゚Д゚)
「パーカー着てるやん!」
そう、ケニアは涼しいのだ!
赤道直下の国ではあるが、一部に平野はあるものの国土の大部分は標高1.100〜1,800mの高原となっており、平均気温は26℃
日本の夏のがよっぽど暑いいやもう熱い(STOP温暖化!)
そんな風土も優秀な中長距離ランナーを輩出する土壌となっておるんですな
そして本書では、日本にケニア人ランナーたちが集まってきた歴史、ランナーたちを受け入れてきた側の苦悩や葛藤、ランナーたちの思いや未来、そしてケニア社会が抱える光と闇についても解き明かしていく
非常に読み応えがありました
そして箱根駅伝を走るケニアのランナーたちを、圧倒的能力で日本人ランナーたちを打ち倒す「敵」としてではなく、様々な想いを抱えた「人間」として応援したくなる
そんな一冊でもありました
Posted by ブクログ
誠実な取材と丁寧なルポルタージュ。ケニアの人は速いなあと眺めていた駅伝やマラソンを見る目が変わる一冊。単純な善悪に落とし込まないバランスのよい文章。
Posted by ブクログ
昨年末にとあるポッドキャストで、作者の泉さんが語っていた「ガル高」を探る過程の話がおもしろかったので購入。
ガル高の謎にとどまらず、今日に至るまでの日本陸上とケニア人ランナーとの歴史や、ケニア人ランナーの真摯な姿など、胸に響くテーマが盛りだくさんだった。
作者の取材力と読ませる文体のおかげで、あっという間に楽しく読み終えた。
これを読んでから見た箱根駅伝は、これまでとはガラッと見方が変わった。
Posted by ブクログ
ケニア人留学生は「助っ人」でも「走り屋」でもない。
他人より速く走れるという己の才能を信じ、それだけを武器に異国の地で努力を続ける「陸上選手」だ。
今や箱根駅伝に欠かすことの出来ない要素の一つとなった、彼らの歴史や生い立ちを視れる素晴らしい一冊。
駅伝ファンにおススメの書
日本では箱根駅伝での活躍が目立つケニア人ランナーが、どのような経緯で来日しているのか、その歴史や選手たちの暮らし・素顔を取材した力作。今まで、一人ひとりのケニア人ランナーのパーソナリティーに注目することは、ほとんどありませんでしたが、これからはその見方が変わりそうです。特に、この作品に登場するトヨタ自動車のカロキ選手のファンになりました。
Posted by ブクログ
海を超えて日本にまで来て走る彼らのバックグラウンドに触れる良本。特にガル高の話は面白かったし、こうやって海外に出ていった人たちの話は好物です。
Posted by ブクログ
丹念な取材に基づく出色のドキュメンタリーです。
私は、箱根駅伝の大ファンですが、著者が指摘するように、「ケニア人ランナーについてほとんど知らないこと」を気にもしていませんでした。池井戸潤の『俺たちの箱根駅伝』にも描かれているように、日テレのスタッフは駅伝をドラマにするために出場選手について入念な取材をし、それを中継で紹介しています。しかし、思い返せば、ケニア人ランナーについてその生い立ちやランナーとしての歴史が語られることはまったくありません。ケニア人ランナーは箱根駅伝というドラマのキャストとされていないのです。
本書の帯に書かれているように「生きるためには走るしかなかった」ケニア人ランナーの実態、ケニア人ランナーを日本に繋ぐエージェントの存在、ケニア人ランナーを起用する学校や監督の葛藤等々、かなり衝撃を受け、考えさせる内容でした。
本書が優れているのは、①ケニア人ランナーを取り巻く様々な問題を採り上げつつも、彼らも一人の人間として視る必要性を訴えていること、②ケニア人ランナー問題は、現在日本でイシューとなっている外国人問題と通底すると指摘していること、です。
本書を読むと、来年の箱根駅伝を観る目が変わります。本書からの引用になりますが、「箱根駅伝という国民的イベントを通して見えてくる私たちの社会の姿は、時として美しく、時として恐ろしい」
Posted by ブクログ
大学での箱根駅伝の強化のためにケニアから来ている数々のランナーを個人として生い立ちや環境を追う。
選手の日本に来る前とその後が報道されることはほぼないので興味深い
Posted by ブクログ
面白かったし、勉強になりました。
読みはじめは、学生スポーツで勝つために、人種的に身体ポテンシャルの高い留学生を手段として導入するのは抵抗ありましたが、読んでいく中でそんなシンプルものではないことに気付きました。良し悪し抜きで考え方は変わりました。
改めてそれぞれの大義があり、正解なんてないと気づかされましたね…
Posted by ブクログ
正月のこたつで「あ、留学生速いな〜」なんてお餅食べてる裏側に、あんなに濃密で、切実で、ちょっとヒリつくようなドラマがあったなんて、、、
まず、彼らにとっての箱根は「青春」じゃないんですよ。
もちろん青春なんだけど、その中身は「一族の運命を背負った出稼ぎ」なんです。
ケニアの村の期待を全部背負って、言葉も通じない、雪も降る日本にやってくる。彼らのタスキには、物理的な重さ以上の「人生」が食い込んでるんですよね。
でも、この本の素晴らしいところは、彼らを「悲劇のヒーロー」だけで終わらせないところ。日本人の監督がどう彼らと向き合い、時には「勝つための道具じゃないか」と自問自答しながら、泥臭い信頼関係を築いていく。
その異文化がぶつかり合って、じわじわ溶けていくプロセスがめちゃくちゃリアルなんです。
次に箱根駅伝を見る時は、彼らが通過する「タイム」じゃなくて、その背景にあるケニアの赤土の景色に、
思いを馳せちゃいそうですね。
Posted by ブクログ
駅伝大会で活躍するケニア人留学生ランナーたち。高校駅伝では区間を制限するルールができるほど。
一括りに留学生と言っても同じ人間、異国の地で苦労もあれば母国には家族。
貧しい環境からはい上がったサクセスストーリーと一転した転落の人生。
現地ケニアに3度にわたり取材した力作。
「ガル高」の探索も良いが、もう少しランナーへのインタビュー等にスポットをあててほしかったかも。
Posted by ブクログ
箱根駅伝で見る留学生ランナーたち
日本で走るようになった歴史や強さの秘密が学べる
何より、日本でランナーとして活動するのが、貧困を抜け出すための一つの大きな手段となっていることを知った
圧倒的強さを誇る彼らだが、日本まで来た背景を知れば応援する気持ちが強くなると思う
Posted by ブクログ
非常に興味深く読みました。
エティーリ選手が初めて箱根予選に参戦した際、惜しくも東京国際は出場権を逃しました。あの時、周りの選手のあまりの嘆きっぷりにエティーリ選手が浮かべていた戸惑いの表情はとても印象的でした。
「生きるためには走るしかなかった」と帯にありましたが、あの瞬間からもう一つの理由が加わったと思います。
貧困からの脱却と箱根出場へのプレッシャー。本当によく頑張ってくれたと熱くなりました。
それにしても、そうか、学生という立場でも稼げていたのかとそれは新鮮な驚きでした。「助っ人」と呼ばれる意味がわかりました。
一番興味深かったのは留学生を受け入れることにした監督達の話。
特に上田元監督の話はもっと詳しく読みたかった。
そして世羅高校の経緯は意外でした。テレビにて住民の方々があたたかく迎えている事は存じ上げておりましたが。
続編があれば是非。
Posted by ブクログ
箱根駅伝見た後に手に取った。
来年から留学生ランナーを見る目が変わる。
↓イテンに行って走ってみたくなった。
「メインストリートから脇道まで、文字通り数百人のランナーが思い思いの方向に走っていく。まるで川の流れのように、途切れることなく続くランナーたちの列。その光景は壮観でありながら、どこか異様でもあった。私はケニアの西部に位置する、イテンという町にいた。」
26.02.03-25冊目
Posted by ブクログ
お正月は箱根駅伝、と子どものころから決まっていた。
毎年、1月の2日・3日は半日テレビが駅伝に固定される。
物心ついたころから、箱根の2区は留学生ランナーがごぼう抜きの大活躍をし、一気に順位を上げる(そして、そのあとに順位を落とす)ところだった。
あまりに「そういうもの」だったので、その背景に何があるのかまで、今までさっぱり思い至らなかったなということに気付く。
箱根駅伝と実業団という日本の特殊な環境が、ケニアでこんな影響を及ぼしているとは。貧困層から抜け出す手段になっているとか、日本での給与で十分豪邸が建つとか、言われてみればそうだよね、という内容がしっかり取材・調査した内容をベースに書かれていて、どれも興味深かった。
最初にケニアの選手を日本に招くスキームを作っていくあたりは、なんというか…昭和ならではのある種の乱暴さと勢いがあって、それはそれで興味深い。
ケニア選手を招いた日本の学校の関係者(監督とか)にもインタビューしていて、そのあたりも面白かった。単純にはいかないよね。
著者自身も、ランナーに対する見え方が変わったと書いていたけれども、多分来年の箱根駅伝ではちょっと違った想いを持って、これまでと同じように応援すると思う。