山本圭のレビュー一覧

  • 嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    かなり面白かった
    こんなに読書メモを書いた本は初めて

    神とも動物とも異なる「人間味」を体現する、不合理な嫉妬という感情。
    本書の主旨「嫉妬は民主的社会の必然的産物である」

    まず嫉妬とは何かから始まる。
    相対的剥奪、ルサンチマンやシャーデンフロイデを例と共に分かりやすく紹介し、これから考察する嫉妬と言う感情の領域を明らかにする、と言うプロセスに感動を覚えた。

    0
    2025年11月02日
  • 嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~

    Posted by ブクログ

    "嫉妬の感情は比較可能な者同士のあいだに生じるということだ。"

    ・人はなぜ嫉妬するのか
    ・どんなときに嫉妬するのか

    人が社会的な生き物である限り、嫉妬をなくすのは難しい。でも嫉妬を俯瞰的に見るきっかけをもらえました!

    0
    2025年10月16日
  • 嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~

    Posted by ブクログ

    民主的な社会の必然的な副産物としての嫉妬、そこから見える「人間学」。
    安易な答えに逃げ込まず、それでも社会の実践のヒントを探る真摯な姿勢。

    ・嫉妬は疲れを知らず、非生産的で、みっともなく、それが故に自他に隠したい。

    ◯嫉妬
    ・他人の幸福が自分の幸福を少しも損なうわけではないのに、他人の幸福をみるのに苦痛を伴うという性癖(カント)
    ・比較可能な者同士のあいだに生じる(アリストテレス)

    cf.義憤
    ・不当な幸運に苦痛を覚えること

    下方嫉妬
    ・自分が苦労して手に入れたものを、他の誰かが簡単に手に入れたとき

    ◯類似の概念
    ・相対的剥奪:自分が感じる満足の絶対量の多寡ではなく、他人と比較するこ

    0
    2025年01月25日
  • 嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~

    Posted by ブクログ

    自分ももちろん嫉妬するけど、色々な矛先・感情の嫉妬があって、
    ちょうど選挙の時期だから、嫉妬からこういう政策が人気なのかな?っていうのもいくつか思い当たって面白かった

    0
    2024年11月04日
  • 嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~

    Posted by ブクログ

    嫉妬をギリシャの賢人や哲人時代から現代の思想家に至るまでの文言を元に分析した一冊。現代社会のポピュリズムやヘイトにも繋がる考察が面白かった。

    特にルネ・ジラールの「羨望の三角形」をベースにした「誇示は羨ましがる他者がいないとなりたたない」という話や、三木清の「嫉妬は質的なものではなくて、量的なもので起こる(個性的なことではなく誰もが欲しがるお金や名誉、ステータスといった量的な物差しではかれるもので起こる)」といった話が勉強になった。

    面白すぎたので、近日読書会で取り上げようと読み込んでいる最中です。著書の次回作にも期待大

    0
    2024年04月29日
  • 現代民主主義 指導者論から熟議、ポピュリズムまで

    Posted by ブクログ

    最近読んだ本数冊に民主主義がキーワードとして出てきたので読んでみた。
    民主主義という言葉の曖昧さ、民主主義という枠の中での目標や良いとするものの移り変わりを知れてためになった。
    デモなど選挙以外の政治参加についての見方が変わる。
    理解はしきれてないので後でもう一回読みたい。

    0
    2021年06月19日
  • 嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~

    Posted by ブクログ

    ギリシャ哲学の時代から邪悪とされた「嫉妬」という感情。SNSで常時繋がる現代では、これまで見えなかった他人の一部が見えてしまうことで、他人と自分の対比がより鮮明に、嫉妬の源泉がより身近になったのではないでしょうか。

    良くも悪くも横並び一線だった義務教育課程を終えると、高校、大学、社会人と進むに従い、周囲は持つ者、持たざる者に徐々に分かれ始めます。自分と同等だと思っていた相手の社会的階層の上昇を素直に受け取ることができない、そんな感情を抱いた経験も人生で一度はあるのでは。

    こんな負の側面から語られることが多い「嫉妬」ですが、その社会的上昇への渇望からフランス革命など民主化の原動力になったのも

    0
    2025年10月26日
  • 嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~

    Posted by ブクログ

    人生のネガティブな事、不幸の原因の大半は他人と比べる事にあり、そこから全ての道は「嫉妬」に通ずるという気がしてならない。人間は本能として競争を組み込まれているのは受精を巡る精子の鞭毛運動のはじまりから明らかで、しかし、必ずしも活発さが競争優位となる単純なスピードレースではなく、精子にしても運次第。つまりは人間が競争せざるを得ない事と、しかし競争とは公正な能力争いではないという原初的な二つの定めを生命の誕生から業のように背負うのだ。

    生まれ落ち、それが続く。ランダムな競争は能力と偶然によって多様化を齎す。そんな時、敗者が自制しきれない「嫉妬」は、多様化を種の根源的欲求にもつ人間社会において、ど

    0
    2025年03月21日
  • 嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~

    Posted by ブクログ

    嬉しい、悲しいと同じで人の感情の一つである嫉妬について考察されている。自由、正義、民主主義に通じる嫉妬の在り方を考えることができた。嫉妬を軸にすると世界が見えやすくなる?

    0
    2024年11月29日
  • 嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~

    Posted by ブクログ

    完全に公平であった場合に成功失敗の要因は100%自分の能力次第になってしまい、上手くいかない場合メンタルにダメージを負う話が面白かった
    言い訳って大事よね

    0
    2024年10月29日
  • 嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~

    Posted by ブクログ

    嫉妬は個人的な範疇に於いては「手なづけがたい厄介な病」だけど,公の嫉妬は時に「社会を前に進める原動力」になる反面ひとたび悪用されれば容易に分断を図る劣悪な政治家を生み出してしまう「魔物」であると常々思ってきた.
    そんな折に見かけた本書は,「民主主義と嫉妬」の堂々巡りを是認しつつ,今求められている多様化が一つの解決策になるのでは?との提起と読めた.
    あと,読書におけるsynchronityとして,直前に読んだのか「傲慢と善良」だったのも良かったのかも.
    傲慢の源泉に嫉妬が根深く絡んでいるのは間違いないので.

    0
    2024年09月08日
  • 嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~

    Posted by ブクログ

    独身未婚中年男性の自分が読んでみました。
    なかなかおもしろかったです。

    言われてみればああ、という、コロンブスのたまご的ではあるんだけれども、このことに気が付かなかった。まさに、民主主義やら資本主義やら社会主義やらの話の根底は嫉妬にあるんだろうなと気づかせてもらいました。
    「あいつだけずるい」と足の引っ張り合いになってしまうのが、日本は多いような気もしますが、それで結局、全体的に質を落としている感じは、日本も含め、世界全体的にそうだったりするのかもしれませんね。

    自分自身も最近、若い同性の子に対して苦言を呈してしまったのですが、どうやらそれは嫉妬だったようで、これは自分で認めねばならないな

    0
    2024年05月24日
  • 嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~

    Posted by ブクログ

    「嫉妬」という感情を紐解いた書籍はたくさんあるけれど、この本のように政治的な面から分析しているものはめずらしいと思う。だいたいは心理学や哲学系の分野で、嫉妬が思考や行動にどのように影響するかが書かれている
    けれどもこの本は嫉妬とは何かを検討したあとで思想史において思想家が嫉妬をどのようなものと考えているのか、そして嫉妬はコミュニティでどのように変化するか、また現代の民主主義において嫉妬はどう作用するのかを様々な人の定義や言葉を引き付けながら書いている本。当たり前だけれど人間は理屈によってのみ動いたり考えたりしているわけではなく、嫉妬をはじめとする種々の感情があり、それを無視して理屈のみによって

    0
    2024年03月28日
  • 現代民主主義 指導者論から熟議、ポピュリズムまで

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    【民主主義というフィクションのいろいろな説】

    学者、思想家の間で唱えられるたくさんの民主主義の在り方のについて、20世紀ごろからの主要な議論が紹介されている。

    あとがきに書かれている通り、包括的ではなく、指導者、選挙、参加型民主主義、などの主要な争点について、主だった政治学者に的を当てて、議論を比較しながら書かれていた。

    はじめの方で挙げられたポイントは、民主主義と自由主義は元から親和性があったわけではないということ。今では自由民主主義、みたいな形で良く語られるけれど、この違いは、カール・シュミットの同質性・同種性を強調する民主主義の特徴を通して紹介されていた。

    これに対立する

    0
    2024年03月24日
  • 嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~

    Posted by ブクログ

    嫉妬についての本は初めて読むので、嫉妬について詳しく考えを聞くことが新鮮で面白かったです。
    古代より悪しきものとして思われ続け、人々が苦しんできたものとわかって、恐ろしく掴めない嫉妬という感情が不毛でも人は持ってしまうもの、とわかり妙な親近感というかリアリティが伴って怖さが減りました。

    感想を書こうにも中々建設的なことが出てこないのでまだまだ理解できていないのだと思われる。
    嫉妬は私感で、民主主義など政治に関係ないと思い込んでいたけれど、そうではなく社会の体制に一個人の嫉妬の感情が作用してまた社会が作られ、というように影響があるのだと知れた。

    印象に残ったところ
    p116
    嫉妬を「あるゆる

    0
    2024年03月23日
  • 嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~

    Posted by ブクログ

    私の嫉妬は私だけのもの。

    嫉妬を飼い慣らすためには、比較をやめるのではなく、むしろ徹底して比較してみてはどうか?

    -----

    なかなかおもしろかった!

    0
    2024年03月11日
  • 現代民主主義 指導者論から熟議、ポピュリズムまで

    Posted by ブクログ

    シティズンシップ、とかステークホルダーとか、熟議とか言う名目で、ネイション(国民国家)を否定するような民主主義論がその筋にあふれていることを知って背筋がゾッとした。このようなネイション(国民国家)の否定と戦うためには、ポピュリズム的なモノは有効な武器になるなと再認識。

    ああ、「熟議」とか「討論が足せ論調さ」は変更した専門家が偏った情報を与える形で民主党政権が悪用してたな。

    0
    2021年07月03日
  • 現代民主主義 指導者論から熟議、ポピュリズムまで

    Posted by ブクログ

    割と内容が難しかった。民主主義や政治理論・思想の基礎的な知識がないとところどころ厳しい。

    ただ興味深い点もいくつかあった。普段何気なく使っているような用語も、細かくみてみると自分が考えていた定義や意味合いも結構違っていたりする。

    0
    2021年03月02日
  • 嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~

    Posted by ブクログ

    妬み、嫉み、恨み、辛み。
    ルサンチマン、他人の不幸は蜜の味…
    私たちの社会生活において日々出会う感情だが、合理的・理性的な人間像を基本とする社会科学の主流においては自分を引き上げることよりも他人を引き下げることを望む負の感情は適切に扱うことが難しかった。
    とはいえ、文学では主要なテーマの一つでもある嫉妬について、思想家たちはあれこれと論じてきた。本書ではそうした嫉妬論を概説したり、「自慢や誇示」についての思想を追って嫉妬に別の角度から輪郭を与えたりする。基本的に嫉妬は負の感情であり、良い面はほとんどないというのが、多くの思想家たちに共通しているところだが、最後に著者は負の感情であったとしても、

    0
    2025年09月17日
  • 嫉妬論~民主社会に渦巻く情念を解剖する~

    Posted by ブクログ

    前半(3章途中まで)はほとんど過去の著名人の著作物から引用し、嫉妬に関して言及を行っている。

    後半は現代の SNS 等に関わる嫉妬の話を展開していく。エピローグでは嫉妬にどう向き合うかについて解説しているが、基本的には嫉妬がなぜ発生してしまうのかについて解説している。

    平等・公正が進み、比較できるから嫉妬が生まれるという理論は面白い。平等と差異のバランスの上で嫉妬が生まれるということ。ただそれが格差を認めるということになるとは思わないが。
    要は言い訳ができる余地を残しておくことで、嫉妬につながりにくくなるはずなのに、現在は過度な自己責任論と SNS による視える化で比較せざるをえなくなり、

    0
    2025年07月04日