寺本耕也のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
悪意に対してなす術を私たちは持たない
シリーズ2作目だが、前作を読んでいなくても特に問題はない。
『ほらこの夜、またあいつらが』
得体の知れない、黒い人間のようなもの。
イメージとしては口裂け女だろうか。
いや、もっと忍び寄るもの、理不尽なもの。
じわじわと迫ってくる恐怖と全くもって理由の見えない悪意。
結論を出さないことがなお恐ろしい。
隣同士の関係が希薄になっている都市。
それはそれで煩わしさがなくて良いのかもしれないが、そこに潜む悪意を象徴するような物語である。
『きみに照らされて』
上記物語とはうってかわって、心温まる物語。
命を考えさせる。
生と死は表裏の関係にある。
死は誰に -
Posted by ブクログ
怪奇の世界へ
背表紙には怪奇でのんきな、と書いてあったが、いやいや、幽霊の話は意外と恐い。
幽霊そのものが怖い、というよりも、死因があまり気持ちのいいものではない。
ホラー好きのためへサービスか。
人が煮込まれた状態、妊婦の割腹自殺、拳銃で至近距離から撃たれた少女......
ひええ、と心の中で叫びながら読んでいた。
物語は四編。
公衆電話を使ったことで何かにつきまとわれる話(『囁き』)、割腹自殺の妊婦と鳥のような生き物の話(『はじまりのひとり』)、孤独なオタクが自殺し、その霊と霊の思念というものを語る話(『霊に魂の不在を説く』)、音楽によって培われた友情の話(『ある天使たちの思い出に』) -
Posted by ブクログ
沢木道楽堂シリーズの2冊目。
何でも屋を営んでいる沢木は、 幽霊を見る事が出来る。
以前、幽霊騒動でその沢木の世話になった雪穂。
物語は、二人を中心に進む。
「ほらこの夜、またあいつらが」
「きみに照らされ」
「最後の魔女」
の三編。
「ほらこの夜、またあいつらが」は、怖い話で読んでいて途中寒気がするくらい怖かったのですが、結局何だったのか分がずじまいで中途半端な感じがしてしまいました。読み進めれば回収される伏線なのかとも思ったのですが・・・。
「きみに照らされ」は、以前雪穂の飼っていた猫の話。
なかなか良かったです。
「最後の魔女」は、良かったのですが、前置きが少々長いと思いました。