根本敬のレビュー一覧
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【狭間での紆余曲折】アウンサンスーチー女史や軍制といった政治的文脈のみならず,近年は投資先としても注目を集めるミャンマー(ビルマ)。近現代を中心としてその奥深き歴史に迫る作品です。著者は,上智大学外国語学部で教授を務める根本敬。
新書の中ではかなり分厚い部類に入ると思うのですが,それ故に比較的に深みを伴った記述がなされており,しっかりと腰を据えてミャンマーの歴史を学びたい人にはピッタリの一冊。特にナショナリズムや少数民族に関する問題の頁は,今日のミャンマー情勢を考える上でも大変に参考になりました。
〜彼女の思想を考察してみると,アウンサンスーチーは,「強い女性」とはいえ「頑固」で「妥協知ら -
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東南アジアに位置する他民族・多言語・他宗教の国家であるビルマ(ミャンマー)について、近現代史を中心にその歴史を解説。
結構な分量であるが、2013年時点までのビルマ(ミャンマー)の歴史のエッセンスがよくまとまっており、2021年2月に発生した国軍のクーデターの歴史的背景を知る上でも勉強になった。
また、本書では、ビルマ人の名前には姓がないということや、ビルマのことわざ(「弟子のデキの悪さは先生の頭の悪さ」、「建ててはじめて檀家」など)などの小ネタが随所にコラムとして挿入されており、それも(知的に)面白かった。
英国の植民地支配期や日本の占領期における「抵抗と協力のはざま」といえるビルマ人の対応 -
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まず本書では、「ミャンマー」と「ビルマ」の違いについて説明をする。少々長くなるが、引用すると
「この国のビルマ語名称は1948年の独立時からずっと「ミャンマー」である。一方、英語の名称の方は「バーマ(Burma)」が公式に使われ、国際社会でもその名前で知られてきた。日本でも「ビルマ」という呼称が用いられてきた。ところが、1988年9月に民主化運動を封じ込んで登場した軍事政権は、翌1989年6月に突然、英語の国名を「バーマ」から「ミャンマー(Myanmar)」に変更すると宣言した。すなわち、英語の国名もビルマ語の「ミャンマー」に統一すると決めたのである。
ビルマでは王朝時代から、書き言葉 -
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根本敬、田辺寿夫著「アウンサンスーチー」角川ONEテーマ21(2012)
*1960年、アウンサンスーチーの母親は駐インド大使に任命された。父親はミャンマー独立の父であるキンチーである。(スーチーが2歳のときに死亡)インドではジーザスメアリー修道院学校を経て、レイディーシュリラムカレッジに進学。当時のネルー家とも親睦を深めた。40歳のとき日本の京都大学東南アジア研究センター(現在の東南アジア研究所)に客員研究員として迎えられ10ヶ月を過ごした。
*彼女の生き方を簡潔に述べれば「対立のはびこるビルマにあって、対立や復習ではなく、あくまでも対話を通じて和解を求めようと模索する事が大切である」。自分 -
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上智大学の先生とジャーナリストの共作で、アウンサンスーチー氏を支援する立場からの論考。
現在のミャンマーの軍事政権が方針を転換して、彼女の軟禁を中止し、NLDの活動を認めるとともに、補欠選挙ではNLDが大勝をした。
しかし、総選挙はすでに実施されており、そののちに彼女を軟禁から解放したことから、NLDの全体に占める議席はわずかであり、また、憲法上、軍人が一定の議席を常に占めること、主要な大臣は軍人であることなど、非民主的な部分を残す制度の中でのアウンサンスーチー氏の活動開始であることに注意すべきだる。
また、彼女も2度軟禁を開始してすぐにい軟禁されるという厳しい経験を積んでいるこ