磯野宏夫のレビュー一覧
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『ミミズクと夜の王』の続編。
激しい姫君に圧倒され、成長した王子に感嘆し、懐かしい顔ぶれに安堵し、二人の不器用で歪で優しい恋のおとぎ話にやっぱり涙した。
前作も強烈な光を放っていたけれど、今作も別な光を放っていた。
おかげで目がシパシパです。
涙腺の底が見えそうだよ。
「面白かった」や「感動した」という言葉より「本当に良かった」「ありがとう」を。
続編の出版にも物語の結末にも、本当に「ありがとう」を伝えたい。
紅玉さんの書く物語が大好きです。
それはそれとして、著者近影の写真を見て「ぶほっ」と吹き出してしまったんですがこれはどうしたもんか(笑) -
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このシリーズ面白いですね。
今回は、悪口雑言ばかり吐く女の子「エルザ」が主人公。貧民街で口悪く喚き散らす彼女は「毒吐姫」と呼ばれますが、実は彼女は王女様で、ある日急に城に戻され、隣国に嫁がされることになります。急展開。
このエルザ、先の主人公「ミミズク」に比べて、乱暴なイメージですが、彼女と同様に苦労してます。このシリーズは、自分ではどうしようもない力で運命を狂わされた女の子が、また思いがけない出合いにより自分を取り戻す物語だと思います。その過程で描かれる彼女たちの葛藤が、実に生々しくちょっと変わったファンタジーに感じますね。そこがいいです。
嫁ぎ先の国で出会う人たちがいい人ばかりなんで -
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ネタバレとてもいいお話でした。
魔物に食べられたいため、魔物の森を彷徨う女の子「ミミズク」が、その森の魔物の王「夜の王」と会うところから始まる物語。
どこか様子のおかしいミミズクは、夜の王に「自分を食べて」とお願いしますが、夜の王は「人間など食えるか」とにべもなくどこかに去ってしまいます。残された女の子の元に、やってきた別の魔物「クロ」。どうなるかと思いきや、「お前は許された」として、相手をして面倒をみてくれます。
なんとも不思議な始まり方です。壮絶な暮らしを強いられた結果、ただ食べられることを望むようになってしまったミミズク。どうしても食べてもらうため、しつこく夜の王にお願いします。その度にあしら -
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ネタバレ「ミミズクと夜の王」の続きの話。
まさか続きが出るとは思ってもみなかったので、とても驚きました。
そして、尊いと思う本ほど、大事に保存したがりな私なので、大事に大事に保存しすぎて、読むのが今に至ってしまった。
物語は、占により捨てられ、占により隣国へ嫁ぐことになった、呪いを吐く「毒吐姫」の話。
彼女が嫁ぐ先がディア。(ミミズク読んだことのある人が読めばいい)
国に振り回された彼女はなにものも信じず、すべてに毒を吐くことで自分の居場所を得ていたため、押し付けられた状況の変化をうまく受け入れられずにいた。
嫁いだ先にいたのは、与えられた道を自分の道として受け入れた人たちで――
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ファンタジックで心優しいお話を読んだ。お天気がいい休日にふさわしい、現実離れをしたお伽噺ふうの世界が広がっていた。
電撃大賞受賞作、電撃文庫と言うのは、門戸の広い印象を受けた。
人間の世界で奴隷でも最下層の仕事をしていた少女は、手足に鎖をつけたまま森に逃げてくる。そこは魔王が治めていた。彼女は自分をミミズクだと言って、魔王に食べてもらいたいと思っていた。懇願してみても魔王は人間は食べないと言って断る。少女はなぜか魔王が恐ろしくない、できれば食べて欲しいと思いながら、次第に馴染んでいく。
森のある国を収めている王様は魔王を捕まえて、殺してしまいたいと思っていた。聖なる剣士と呪術師たちは -
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ネタバレとても美しいお伽噺。
何も持たないミミズクの世界に色がつき、名前がつき、自分で自分を選びとるまで。無駄なところがなく清々しい。
周りのひとたちがみんないい人すぎるけど!
王様はもっと悪いかんじで終わるのかと思ったら、ふつうにいい人だったよ。まあそれでいい話なのだろうなあ。
あとがきで、大人になったら忘れられてしまってもいい、一瞬だけ心を動かすものがあれば、そういうはなしが書きたい、と作者が書いていて、何かとても、色んな気持ちを思い出した。すごく心を揺さぶられるとか、ヒリヒリするとか、そういう感覚。長いこと蓋をしていたんだなあと思った。
子どものころに出会っていたら、人生の1冊になっていたか -
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ネタバレ真面目な王子の王族としての責務・使命感と、孤独で聡明な姫のプライド・依存心のぶつかり合うさまを描いた話。だと思う。
まっとうな恋愛ではないのにどう見てもふたりは恋しているようにしか見えなくて、「どんな相手でもよかった」なんて独白に釈然としないものを感じつつも面白い。前作に引き続き童話ならではな都合のいい展開もありつつ(でもあの場面でミミズクが出てきて良かった!)、素直に感動できるいいお話。
というのが最終章まで読み終えての感想で。すごいのはエピローグ。
「あんたは!! 頭がよくても!! 女心がなにひとつわかんないクソ男よ!!」
このエルザの一言とその後の会話にものすごく安心した!
ふたりともそ -
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「ミミズクと夜の王」の続編。
星の占のために一度捨てられた毒吐姫・エルザが、隣国へ嫁がせるために呼び戻され、嫁ぎ先で生きる意味を見出していきます。
前作に出てきたクローディアスやアン・デュークたちのその後を知ることができて、とても嬉しいです。
相変わらず綺麗な話でした。設定の上でなら泥沼で救いようのない展開になりそうなものなのに、どうしてこうも温かく幸せな物語にできてしまうんだろう。
(人によっては、綺麗事すぎて物足りない(むしろ虫唾が走る)かもしれません)
現実を呪うだけでなく、自分の力で変えて行こうと変わって行くエルザの強さと美しさもさることながら、「愛している」とは言わず「 -
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話がさくさく進むのでとても読みやすかった。ものすごく意外な展開もないけれど、ストレスもない王道のストーリーという感じ。そして登場人物のだれもがきちんと優しさを持っていてとてもいい。愛するということは、そのひとを自由にしてあげることなんだな、と思った。
ミミズクちゃんが自分自身をかわいそうだと思っていないところがとてもよかった。だからこそ、たくさんの人から憐れまれ自分をかわいそうだと思って閉じこもっていたクローディアスを、自由にしてあげることができたのかな〜と思ったり。
優しいお話でとてもよかった。電車でしくしく泣きながら帰りました。隣に座っていた人たちごめん。