磯野宏夫のレビュー一覧
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このシリーズ面白いですね。
今回は、悪口雑言ばかり吐く女の子「エルザ」が主人公。貧民街で口悪く喚き散らす彼女は「毒吐姫」と呼ばれますが、実は彼女は王女様で、ある日急に城に戻され、隣国に嫁がされることになります。急展開。
このエルザ、先の主人公「ミミズク」に比べて、乱暴なイメージですが、彼女と同様に苦労してます。このシリーズは、自分ではどうしようもない力で運命を狂わされた女の子が、また思いがけない出合いにより自分を取り戻す物語だと思います。その過程で描かれる彼女たちの葛藤が、実に生々しくちょっと変わったファンタジーに感じますね。そこがいいです。
嫁ぎ先の国で出会う人たちがいい人ばかりなんですよね。そこは前作の舞台で、エルザのお相手が前作は弱々しかった王子様。今回、素晴らしい人格に育ってます。
聖騎士、聖剣の巫女など、前回の登場人物がエルザを導きます。そして、ミミズクも出てきます。こういう展開は、くすぐられますね。それだけで楽しいものです。
話のテンポが良くスラスラ気持ちよく読めました。
エルザが国で自分の運命と共に与えられる石の色と、王子様の目の色が同じなんていうロマンチックなところも嫌いじゃないんですよ。色んな本を読んで自分も変わったなあ、って変な感慨を得ます。
ひとつ引っかかったのが、王子の人格が素晴らしすぎたこと。もう少し姫と反発しながらも共に成長する姿も見たかったかな。 -
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ネタバレとてもいいお話でした。
魔物に食べられたいため、魔物の森を彷徨う女の子「ミミズク」が、その森の魔物の王「夜の王」と会うところから始まる物語。
どこか様子のおかしいミミズクは、夜の王に「自分を食べて」とお願いしますが、夜の王は「人間など食えるか」とにべもなくどこかに去ってしまいます。残された女の子の元に、やってきた別の魔物「クロ」。どうなるかと思いきや、「お前は許された」として、相手をして面倒をみてくれます。
なんとも不思議な始まり方です。壮絶な暮らしを強いられた結果、ただ食べられることを望むようになってしまったミミズク。どうしても食べてもらうため、しつこく夜の王にお願いします。その度にあしらわれますが、面倒を見てくれるクロの導きに従い、夜の王に近づこうと頑張る姿が痛々しくてたまらないですが、儚いながらも希望が見えてきます。
そんな中で一方、近くの王国の王様や聖騎士が出てきて、彼らが魔王と呼ぶ「夜の王」討伐の目論見が出てきて、何やらきな臭くなってきます。
この討伐はどうなるのか。ミミズクは、夜の王、クロはどうなるのか。そっとしといてよ、と思ってしまうけど、そこは物語が進展しますよね…。
さて、この物語、ここからがとてもよかった。人の怖さ、優しさ、強さ、儚さが凝縮されて、話が美しくどんどん進みます。
そして、再生と成長が描かれる最後は、自分を満足させてくれるハッピーエンド!
ファンタジーものですが、細かい設定がなく、なんというか逆にすんなり入り込めるなあ、と思っていたら、解説で有坂浩先生が、「細かな設定のない、これはお伽話」とおっしゃっていて、ほんとだお伽話だ!と感心しました。さすが作家さん。 -
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ネタバレ「ミミズクと夜の王」の続きの話。
まさか続きが出るとは思ってもみなかったので、とても驚きました。
そして、尊いと思う本ほど、大事に保存したがりな私なので、大事に大事に保存しすぎて、読むのが今に至ってしまった。
物語は、占により捨てられ、占により隣国へ嫁ぐことになった、呪いを吐く「毒吐姫」の話。
彼女が嫁ぐ先がディア。(ミミズク読んだことのある人が読めばいい)
国に振り回された彼女はなにものも信じず、すべてに毒を吐くことで自分の居場所を得ていたため、押し付けられた状況の変化をうまく受け入れられずにいた。
嫁いだ先にいたのは、与えられた道を自分の道として受け入れた人たちで――
という話でした。
今回のお話は、すべてを奪われた少女が、自分で自分の道を選ぶ話。
いつも女の子の強い話を書く先生だけど、今回強かったのは、一山超えたディア。
彼はゆるぎなく、王となる道を進んでいて、とても頼りがいのある男に育っていて、もはや親のような気分で、「嬉しい」ってなった。
そうかーそうかー、ディアが結婚かあ……みたいな。
そういうわけで、ゆるぎなくなったディアの元に嫁いできたのは、世の中全てを憎悪する姫だったけれど、それもまたいいじゃないかと思える素晴らしいラストでした。
きっとディアはいい王様になりますね。
ディアのお話が読みたい方にはオススメします。
私は、聖騎士様と聖剣の乙女の話も読みたいな……(もごもご) -
Posted by ブクログ
人はもういやだ「ミミズク」になってしまいたい少女が、自分を食べてほしいと言ってきた。そう言われても強い魔王ばかりではない。
「たまにはこんなのどうでしょう」と言って子供が回してきた。次のこともあるし、読みやすいし、すぐに読んでみた。
ファンタジックで心優しいお話だった。お天気がいい休日にふさわしい、現実離れをしたライトなお伽噺の世界が広がっていた。
電撃大賞受賞作、電撃文庫と言うのは、門戸の広い印象を受けた。
人間の世界で、奴隷でも最下層の仕事をしていた少女は、手足に鎖をつけたまま森に逃げてくる。そこは魔王が治めている森だった。彼女は自分をミミズクだと言って、魔王に食べてもらいたいと言ってきた。懇願してみても、魔王は人間は食べないと言って断る。少女はなぜかその魔王が恐ろしくない、できれば食べて欲しいと思いながら過ごすうちに、次第に馴染んでいく。
森がある国を収めている王様は魔王を捕まえて、殺してしまいたいと思っていた。命令を受けた聖なる剣士と呪術師たちは森を襲って魔王の住処を焼き払ってしまう。捕まった魔王を助けるために少女は刑場に行く。
人間をやめたくなるくらい、ミミズクだというしかない、悲惨な過去を持っている少女の額に、奴隷の番号が付いていた、魔王はそれを記憶を消す印に変える。
魔王の過去も、絵を書く趣味も何か淋しく、少女も過去の記憶は消えたが、何か物足りない。
城には生まれながら手足の不自由な王子もいた、二人は友達になっていく、ここらあたりも、夢の様でもある。
呪術師が総力を挙げて少女の記憶を回復させようとする、そしてかすかな記憶が甦り、魔王の元に行く。 -
Posted by ブクログ
ネタバレとても美しいお伽噺。
何も持たないミミズクの世界に色がつき、名前がつき、自分で自分を選びとるまで。無駄なところがなく清々しい。
周りのひとたちがみんないい人すぎるけど!
王様はもっと悪いかんじで終わるのかと思ったら、ふつうにいい人だったよ。まあそれでいい話なのだろうなあ。
あとがきで、大人になったら忘れられてしまってもいい、一瞬だけ心を動かすものがあれば、そういうはなしが書きたい、と作者が書いていて、何かとても、色んな気持ちを思い出した。すごく心を揺さぶられるとか、ヒリヒリするとか、そういう感覚。長いこと蓋をしていたんだなあと思った。
子どものころに出会っていたら、人生の1冊になっていたかもしれない。
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Posted by ブクログ
ネタバレ真面目な王子の王族としての責務・使命感と、孤独で聡明な姫のプライド・依存心のぶつかり合うさまを描いた話。だと思う。
まっとうな恋愛ではないのにどう見てもふたりは恋しているようにしか見えなくて、「どんな相手でもよかった」なんて独白に釈然としないものを感じつつも面白い。前作に引き続き童話ならではな都合のいい展開もありつつ(でもあの場面でミミズクが出てきて良かった!)、素直に感動できるいいお話。
というのが最終章まで読み終えての感想で。すごいのはエピローグ。
「あんたは!! 頭がよくても!! 女心がなにひとつわかんないクソ男よ!!」
このエルザの一言とその後の会話にものすごく安心した!
ふたりともそれぞれに恋心より優先したいものがあったんだな。一歩踏み出したその先で素直に恋をできますように。
個人的には前作の「ミミズクと夜の王」の方が圧倒されたのだけど、こちらもとてもよいお話でした。あとがきで触れられていた「鳥籠巫女と聖剣の騎士」も読みたいです。 -
Posted by ブクログ
「ミミズクと夜の王」の続編。
星の占のために一度捨てられた毒吐姫・エルザが、隣国へ嫁がせるために呼び戻され、嫁ぎ先で生きる意味を見出していきます。
前作に出てきたクローディアスやアン・デュークたちのその後を知ることができて、とても嬉しいです。
相変わらず綺麗な話でした。設定の上でなら泥沼で救いようのない展開になりそうなものなのに、どうしてこうも温かく幸せな物語にできてしまうんだろう。
(人によっては、綺麗事すぎて物足りない(むしろ虫唾が走る)かもしれません)
現実を呪うだけでなく、自分の力で変えて行こうと変わって行くエルザの強さと美しさもさることながら、「愛している」とは言わず「国のため」を貫くクローディアスもストイックでいいなぁ、と思いました。
「押す」タイプの姫と、「引く」タイプの王子なら、お似合いのコンビですね。
いつかこの二人のおとぎ話を読めることを期待しています。
前作を読んだときの衝撃がすごかったので、評価の上では前作より下にせざるを得なかったのですが、もしもこちらから読んでいたなら、もっと高い評価をしていたかもしれません。 -
Posted by ブクログ
話がさくさく進むのでとても読みやすかった。ものすごく意外な展開もないけれど、ストレスもない王道のストーリーという感じ。そして登場人物のだれもがきちんと優しさを持っていてとてもいい。愛するということは、そのひとを自由にしてあげることなんだな、と思った。
ミミズクちゃんが自分自身をかわいそうだと思っていないところがとてもよかった。だからこそ、たくさんの人から憐れまれ自分をかわいそうだと思って閉じこもっていたクローディアスを、自由にしてあげることができたのかな〜と思ったり。
優しいお話でとてもよかった。電車でしくしく泣きながら帰りました。隣に座っていた人たちごめん。