両角長彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
16人の中から1人だけを選ぶ実験。20年前に大学で行われたのは、ただそれだけの他愛のない内容だったはずだった。
警察に届いたのは、その実験の詳細が公開されなければ、当時の教授の息子が殺されるという手紙。果たして、実験の意味はなんだったのか……?
大学時代に行われた謎の実験が、20年後に惨劇をもたらすサスペンス小説。
キャッチーなあらすじで、デスゲーム物とか好きな人が好きそうです。オチは少し失速し小さくまとまってしまった感がありましたが、それでもなかなか楽しめました。
人が人を選ぶ事、人に選ばれる事の意味。また、人間の価値とは何によるものなのか。神の選択により選ばれたものとは何なのか。ライ -
Posted by ブクログ
純粋に推理を楽しむミステリー小説ではない。
ホラーミステリーといえばいいのか、それともSFミステリーといえばいいのか。
終盤に向かうまではとても面白かった。
テンポの良さ、登場人物たちの動きがわかりやすく描かれ戸惑うことはない。
やたらと多い教室内の図式もいい。
事件当日のようすを探ろうと情報を集める秘書やテレビ局。
証言に基づき事件を解明しようとするふたりは、互いに情報を補完しながら真実へと近づいていく。
事件の本質は思いがけないものだった。
次々と明らかになっていく新事実は隠されていた過去や人の醜さをあぶりだしていく。
ではこの物語の本質はなんだろう?
ホラーという素材をミステリーで味付け -
Posted by ブクログ
ネタバレストーリー:
始業直前の中学校の教室に包丁を持った男が乱入、学級委員の女子生徒を刺殺した。怨恨か、無差別殺人か?警察は教室の原寸大セットを組み、犯行の再現実験を行うが、再現を重ねるたびに予想外の事実が判明し、迷走状態に陥る。一方、事件の真相を生放送で暴くと予告したテレビ局は、公約を実行することができるのか?
感想:
真実(と思われること)が一転二転三転四・・・・となっていくスピード感、先を読みたいと思わせる展開はピカイチだと感じた。図が多々出てくるがそれも展開描写として必要だと感じられるレベルで邪魔だとは感じなかった。本当にラストの不明瞭さが残念。あとは読者の想像にお任せしますスタイルなのか -
Posted by ブクログ
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巻末の綾辻行人との対談で、著者は“広義のミステリーとして書いた”と言っているが、今どきの“広義のミステリー”ほど曖昧なジャンルはない。仮説と否定が繰り返される構成は、ある種のミステリの構造の一つとしてすでにある。しかし本作は基本的に読み手から情報を隠し、作中人物が勝手に仮定を構築し、勝手に否定されていくのを大量の図版と一緒に傍観していくだけなのが物足りない。個人的には、教室を舞台にしたSF謀略小説と感じたが、あながち的外れでもなかったようだ。やはり対談で、著者はかつてはシナリオライター志望でSF好きで映画好きということが明かされるが、なるほどそういった嗜好や特徴が本作には表出している。