大山典宏のレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
「おにぎり食べたい」―日記にそう書き残して孤独死した男性は、数カ月前まで「生活保護」の対象者だった。
北九州市で続発する餓死事件。
役所が繰り広げる水際作戦。
一方で、「怠け者が生活保護を食い物にしている」という報道も後を絶たない。
明らかにされるワーキングプアとの根深い関係―。
「生活保護年収四〇〇万円相当(四人世帯)>ワーキングプア」という衝撃の事実からあぶり出される真実とは?
三五〇〇件以上の相談に応じてきた専門家が、生活保護の現場から格差是正の処方箋を示す。
[ 目次 ]
第1章 若者に広がる貧困
第2章 「生活保護=悪」のイメージ
第3章 元ケースワーカーが語る生活保 -
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最低賃金で暮らすより豊かな生活が送れる。働かず、家でゴロゴロしているだけで生活費がもらえる。
最近の不況により、拡大したワーキングプアはそうやって生活保護受給者を批判する。自己責任の世の中、生活保護なんかは「甘え」だ、と。
とはいえ、働きたくても働けない人々がいるのは事実であり、弱者を切り捨てる社会は健全なわけがない。弱者に活力と安心感を与え、納税者として復活してもらうことは社会にとっても有意義なことだ。
それが生活保護の役割であり、恥ずかしがらずにちょっとだけ生活保護に頼ってほしいと、著者は呼びかける。
つまり、「プチ生活保護」のススメ本。 -
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生保の受給はS60から減り始めたのが景気の悪化に伴いH7からまた増え始め、H15には134万人、94万世帯に達するという。よく耳にするのは収入がありながら生保を受けて高級車を乗り回すような不良受給者の話題と、これとは正反対の、必要な人の申請を断って餓死者が出るような両極端な事例ばかりだが、現場は苦労が多いのがひしひしと伝わってくる。北九州市の事件で有名になった「水際作戦」も同地で不正受給が横行していたという歴史を知ると、ある程度は共感してしまう(なんといっても原資は税金なのだし)。住宅ローンのある物件の保有を認めてしまうと、個人の資産形成の助けをする形になってしまうため、受給できない、などの一
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生活保護。
その目的は「生活保障」ではなく、「自立支援」ではなければならない。現行では、あげたらあげっ放しで、死ぬまで放し。
ただ、線引が難しいのが、「自己責任」と断じられてしまう場合と「自助努力の認定範囲」。
例えばギャンブル依存症を病気と捉え、その自立支援に税金である生活保護を当て、自立支援をさせるのか。いや、ギャンブル依存症なんてのは個人の嗜好の怠慢で、生活保護なんてまかりならん、となるのか。
極例でもなく、グレーラインが実に複雑だ。
本書後半では、その解決案が提示される。
問題提起として、これらの問題にはやはり先入観がつきまとい、報道のあり方も問われる。
そして、貧困ビジネスの温床 -
Posted by ブクログ
○社会福祉士で、埼玉県内のケースワーカーや児童相談所勤務等を行う大山氏の著作。
○生活保護制度の理想と現実、制度と運用の差について、実務者としての立場から解説したもの。
○正直なところ、私も「生活保護=悪」という印象を持っていた(持っている)のだが、本書を読むと、受給者の大多数は、本当に支援を必要としている人たちばかりということを知ることができた。
○当然、不正受給者が存在することもやむを得ないが、それでも、生活保護の制度が必要であり、安易に批判するのは望ましくないと言うことも感じた。
○特に、子どもへの支援の重要性は、社会全体で支えるという視点から、もう少し周知されて欲しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレただ単に生活保護の不正受給の現状を伝えるのでなく、生活保護がプラスに働いた事例なども載せられているので偏りのない内容だと思います。いわゆるワーキングプアと呼ばれる人たちが、精神的に参ってしまう前に国からの支援などによって収入を増やす努力をすること。そして納税者として自立してもらえるほうが国にとってもプラスだろうという筆者の考えが伝わりました。ただ、本の構成で似たような記述が何度も出てきたり、最後になって論理の展開が急な感じがしました。もっと後半の内容を膨らませてほしかった感じです。もうちょっと練られた本になっていれば☆が増えたのに・・・という感じです。