木宮正史のレビュー一覧

  • 日韓関係史
     これは圧巻です。 新書でここまで書けるとは素晴らしい!
     
     主に1945年以降の日韓関係を記述していますが、事実関係を丁寧に扱いながら、「非対称から対称へ」という独自の見方で潮流を読み解きます。特に優れているのは、日本・韓国それぞれの立場・意識・価値観の違いを、極めて冷静・客観的に分析している点...続きを読む
  • 叢書 東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ
    叢書「東アジア近現代史」の第1巻として、豊臣秀吉の朝鮮出兵から日露戦争に至る清朝の歴史を通観。
    著者も指摘するように、明朝の一元的な秩序・イデオロギーに抗して、多元勢力の強体制をつくりあげたものの、やがて画一・同化を強いる「近代」の到来に呑み込まれ、存在理由を失い去った清朝の歴史は、現代の東アジア情...続きを読む
  • 叢書 東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ
    清は満洲人の国でありながら、明代の漢人の支配体制を利用し、新疆も含め、間接的な統治というか、連邦国家的な支配体制だったと理解しました。
    やはり華夷秩序の思想が連綿と続いていることも分かりました。
  • 日韓関係史
    こんなに近いのに、こんなに遠い日本と韓国の関係を1876年の日本の開国要求を受け入れた朝鮮の「開国」や1910年の「韓国併合条約」の時代も踏まえつつ、日本にとっては敗戦、韓国にとっては独立という1945年からの関係史を詳細に記しています。それは知っているつもりで、知らないそれぞれの国民の心の動きの歴...続きを読む
  • 日韓関係史
    1910年の韓国併合から1945年の解放(終戦)までを日韓関係「前史」として述べる。その知識を前提に現在までも日韓関係をいくつかの節目で分ける。1945~70年:冷戦下における日韓関係の「誕生」。1970年代・80年代:冷戦の変容と非対称的で相互補完的な日韓関係。1990年代・2000年代:冷戦の終...続きを読む
  • 叢書 東アジアの近現代史 第3巻 日本人の朝鮮観はいかにして形成されたか
    「叢書 東アジアの近現代史」の第3巻。江戸時代の日朝関係史を中心に16世紀末から20世紀初頭にかけての時期を対象として、日本人の朝鮮観がどのように現れ、推移してきたかを叙述。日本人の朝鮮観を固定的なものとして捉えるのではなく変化する(忘却されて再発見される)ものとして把握し、また地域的な偏差をともな...続きを読む
  • 叢書 東アジアの近現代史 第2巻 対立と共存の日中関係史――共和国としての中国
    「叢書 東アジアの近現代史」の第2巻である本書は、1904年の日露戦争直前から1972年の日中国交正常化直後までの日中関係が対立と緊張の関係にあった約70年間を対象とし、日中対立あるいは日中没交渉ととらえられがちなこの時期の中国史を憲法と憲政を補助線にした共和国の歴史として描き直すことを意図している...続きを読む
  • 叢書 東アジアの近現代史 第2巻 対立と共存の日中関係史――共和国としての中国
    徳治から法治、仁政から憲政へと、中国が近代国家を模索しながらも、結局成し得ていない歴史を辿っています。
    結局向かうべき方向が、共産党独裁という違った方向に行ってしまいましたが、西洋的憲政というのは、元々根付かないお国柄だったのでしょうか。
    一枚岩でない中国の歴史は複雑ですね。
  • 日韓関係史
    日本と韓国には、一見すると外交上の違いがあるように思えるが、北朝鮮の非核化や国際社会への
    本格的な参加より利用価値を重視している中国に、韓国が主導する南北の統一が中国に不利にはならないことを日韓で示すべき。ロシアも同様。

    南北の経済協力と日韓国交正常化で、拉致問題も進展するかもしれない。

    今こそ...続きを読む
  • 韓国 ――民主化と経済発展のダイナミズム
    分断後の韓国の歴史を、政治と経済のダイナミズムに注目して概観している本です。

    韓国の現代史を見る視点としては、東西冷戦構造のなかに韓国を位置づける従来からの議論と、東アジアのポストコロニアル的な状況のなかに韓国を置いてみる比較的新しい議論がよく知られているように思うのですが、韓国国内の政治と経済を...続きを読む