稲葉元吉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自然科学における物理法則や数学定理のように、
およそ一般的に正しいと言える規約が、
人工的なモノに対しても存在するのだろうか?
というのが本書の根源的な問いかけである。
これまでは、組織や建築デザインなどは、経験則だけが頼りで、
科学的に分析できない、というのが当たり前であったが、
今日のコンピュータの進歩によって、モデリングしてシミュレーション
することにより、科学の対象として扱える可能性が高まってきた。
デザインにおいては、モジュール化、自己組織化、などが
キーワードになってくる。
など、結論だけ書くとありきたりな感じだが、
本書の洞察は、30年以上前のものとは思えないほど新鮮で、
現代に通用する普遍的なものがある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレノーベル経済学賞受賞のハーバード・A・サイモンによるシステム(人工物)にについて解き明かした本
サイモンは、昨今注目されている経営理論である「エフェクチュエーション」を提唱しているサラス・サラスバシーの師匠でもある。
人工物は、外部環境と内部環境の接面(インターフェイス)としてみることができる
記憶は内在化した外部環境の一部
人間の意思決定において
完全合理性のもとに、最適解を導くのは多くの場合不可能で、
限定合理性のもとに、満足解を導くことを提唱している
この考え方を用い、目的-手段分析と探索をすることによって複雑性の高い世界の中でも都度フィードバックを受けながら常に解を出して行くことができるし、現実的な組織行動はこのように行われている。
複雑なシステムは、階層によって整理できる。
いくつかのサブシステムの階層に分けて考えれば、複雑さは理解できる。
この本を読んで、サラスバシーのエフェクチュエーションは、まさにサイモンの組織行動を多分に下敷きにしていることがわかった。
またAIの大規模言語モデル(LLM)もサイモンの考え方をベースにしていることもよくわかった。
日本語版への序文において、
日本社会が人工物と自然環境を調和させていることに言及している。
盆栽を例に上げ、自然物と人工物の見事な混合の例として高く評価していることも興味深い。
かくて「システムの科学」の中心テーマは、いかなる適応システムもーそれが人間であれ、コンピュータであれ、さらにはまたしゃかいそしきであれ、自然物と人工物の調和的混合物に他ならない(日本語版(第2版)への序文)
これは私の個人的テーマである「自分とは何か」を探究する上でも大きな示唆になった。