伊藤将人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
移動にともなう格差、権利、差別などを、さまざまな視点から論じる。学術論文っぽさが強いので、面白いかと言われると微妙なのだが、昨今、いわゆる成功者たちによって語られがちな「移動する者が勝ち組になる」論について、そうやって簡単に自己責任論と結びつけられるものでもないということがわかった。
「移動」というワードから、ポジティブorネガティブのどちらかしかイメージできないようなら、やはり想像力に欠けると思う。
移動とは、社会的で、政治的で、経済的なものである−−−
社会を良くするため、自分と立場の異なる人のことをつねに考慮するのに、良い気づきとなった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ移動に関する階級差をいろいろな観点から分析した本。個人的には、移動とは、何かを成すための方法だなと思うので、他の格差に対して、結果側というか、付随するものでしかないのかなとは思う。移動自体というよりは、何かの格差によって移動関連にも差異が出るよね、という捉え方が自然かなと。ただ移動を切り口にいろいろな社会格差の片鱗を見る視点は面白かったと思う。
・移動には明確な格差がある(移動実績、移動に関わる知識や経験、移動しようと思えること=モビリティ)
・成功するためには移動するべきという考え方が流行ったが実際は移動できる階層が成功できる階層的な側面もある
・ジェンダー格差があるのはわかるが体格的な意味での性差も存在する(自動車の設計や事故率)
・移動できないものにも価値がある、エアーズロックとか
・自由に移動する権利は憲法に謳われていないが、人権を保持するために根本的に守らなければいけないもの。人権を侵害する要因から逃げるために移動が必要。 -
Posted by ブクログ
世の中にはいろいろな人がいる。そしてそれを分かった気になってしまっている。
この本では様々な事情で"移動"のハードルが高い、ある種分断された人の事例が紹介されている。その中でも、街で出くわす"タバコの煙"によって、無気力になり何もできなくなり死にたくなってしまうという病を患っている人がいることに衝撃を受けた。
ただ五体満足なだけで、身体を動かす機能だけが有効なだけでは人は完全には移動できないことを知った。
一見個人的に見える移動は、実は社会的で政治的、経済的なものである。
この本でたびたび登場するこの一節が妙に深く刺さった。
移動の障壁は十人十色、多種多様なものだった。 -
Posted by ブクログ
人生がうまく行っていると感じられる背景には、その人が「どこかに向かっている」「前進している」感覚が不可欠である。
だからこそ移動は、成功者になるために必須である。男性的なものである。と捉えられてきた。
しかし移動とは、個人の意志のみによって実現される自発的なものではなく、極めて政治的・社会的な要因によって左右される。
例えばUberEatsの配達システム、出稼ぎ労働者のように、貧困のために移動せざるを得ないケースが存在する。また、どれだけ利口で意志が強くても、身体的障害のために移動できない人も存在する。
移動できることが当たり前だと感じる今の自分だが、この権利がいつ失われるとも限らない。移動の自由は、人々の根本的で必須の権利でありながら、極めて脆弱な基盤の上に成り立っているものである。
移動強者だけの狭い視野に捉われることは、非常に危険である。