伊藤将人のレビュー一覧
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話題の新書。
「移動格差」という言葉を初めて知った。
この新書、ずばりこの概念を生み出しただけで、勝ちだ。
移動にまつわるアンケートを取り、年収別に比較している。
くっきり結果に表れる。
3人に1人が過去1年以内に居住都道府県以外に旅行していない
海外渡航経験は年収によって2倍の差がある
まあ、考えてみれば当たり前のことだ。
移動には費用がかかる。
年収が多い人ほど移動にお金が使える。
64歳、定年間際の私もその問題に直面しつつある。
定年で会社を離れれば、定期代の支給がなくなり、
自腹で移動しなくてはいけなくなるのだ!
思えば、、、
私の移動は幼稚園時代に始まる。
まずは市内の -
Posted by ブクログ
今まで移動について深く考えたことがなかった。
ただ漠然と経済格差によって移動に制限があることは感じるくらいだった。
例えば、旅行だって経済的な余裕によって行ける場所が限られるのは感じていたし、住む場所だってそうだ。
ただ、経済的な理由以外にも様々な理由で移動ができない、又は移動をせざるを得ないことがあると知った。
より厳密に言えば、知ったと言うより今までは当たり前に受け入れていた現実を改めて格差として言語化してもらったと言った方が正しい。
移動が良い、悪いではなく、あらゆる角度から多面的に考察されていて興味深かった。
環境的な部分や、性別、心身の健康、障害、そして近年の気候変動など自由な移 -
Posted by ブクログ
〈概要〉
移動から見えてくる、分断、格差、不平等を説明した本。
〈移動格差〉
人々の移動をめぐる機会や結果の不平等と格差。
また、それが原因で生じる、様々な社会的排除と階層化のこと。
〈移動の機会と経験の差〉
移動できる人と移動できない人、移動しやすい人と移動しにくい人の間で、移動の機会や量、経験の差が存在する。
〈データ分析結果〉
約半数弱は自分を、自由に移動できない人間だと思っている。
3人に1人は、他人の移動に、うらやましいと思う。
その一方で、移動経験が顕著に高い、モビリティ・グローバル・エリートがいる。
〈移動と自己責任〉
「移動力を発揮して成功」は、移動強者に限定的な特権的 -
Posted by ブクログ
年収、ジェンダー、家族構成、職種、出身地といった条件から、個人の「移動自由度」が縛られてしまう現実を深く分析した一冊。
移動できない人・モノの存在があってこそ、移動のメリットを享受できる側面もあるので、「移動が成功をもたらす」という考え方は、特権的な思想だと思う。例えば、年中無休の温泉旅館の女将さんがいるから、旅行に行くことが出来るし、年中無休の畜産業があるから、美味しい牛肉のステーキを楽しむことが出来る。
私自身は東京で快適な暮らしをしているが、この本を読みながら地方で働く人や実家のことを考えていた。
また、新型コロナのロックダウンといった移動制限政策に対してやむなく従いつつ「移動の自 -
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Posted by ブクログ
現代(2025)の日本において、移動は制限されてはいない。移動とは体験であり、色々な場所を巡るのは良い体験と経験値となるだろう。地方出身の人が上京するにしても、関東出身の人が地方に行くにせよ、その選択には開かれている。手っ取り早いのは旅行が良いだろう。国内旅行も様々である。お金を掛けずに旅を楽しむことは充分に可能だ、
移動は様々な体験をもたらしてくれる。本著でも示唆されている通り、移動の最大の効果は「移動を通じて人生の選択肢を広げ、自己変化や社会参加を可能にし、個人の人生と社会階層の形成に決定的な影響を与えること」であり、これによって「移動できる人」と「移動できない人」との間に新たな格差・階級 -
Posted by ブクログ
年収の高いひとのほうがたくさん移動している、といったことは直感的にわかることではある。データの裏付けは必要なので本書内にも収録されているが、一般的な読者にとっては「そりゃそうだろう」と思うかもしれない。
新書であり移動に関する入門書でもあるため、ひとつの事柄を深掘りする前にテーマが移り変わっていく。
本書における階級というのは、大きく分けてふたつある。ひとつは資本(主に年収)、ふたつめは性別や障害といった生まれついての条件。大雑把にいえばひとつめが後天的な、ふたつめが先天的な条件である。
あまり知らない分野なのでおもしろい話もあるにはある。テーマとはあまり関係ないが、自動車事故におけるジェ