大貫隆のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
キリスト教教父神学を勉強するにあたって予習のつもりで読んだ。マンダ教やマニ教までカバーされていて、ナグ・ハマディ文書など貴重な原典の引用が多く、世界観を包括的に理解できるようによく考えられているなと思った。電子で読んだらマニ教の文献二段組みの部分が全部画像扱いになってるのか、どことどこがつながるのかわかりづらくて困ったけど…。あと最後の援助交際の女子高生だののくだりは、わざわざページを割くべき関連が見いだせるような話か?と思ったけど、そこまでの話のレベルが高かったのでよけい落差を感じてしまった気がする。
原典の文章に文庫で手軽に触れられるのは嬉しいし、解説がしっかりしているので良かった。 -
Posted by ブクログ
聖書の初読者がつまずくことになるさまざまな原因を、著者の授業でおこなわれたアンケートの結果にもとづいて紹介し、聖書の読みづらさがなにに起因するのか、そして、読みづらさを乗り越えていくためにはどのような読みかたをすることが必要なのかといったテーマをあつかっている本です。
「聖書の読みづらさ」に正面から向きあうというスタンスで書かれた聖書の入門書であり、ねらいはたいへん興味深いと感じました。ただじっさいに読んでみると、聖書の読みづらさを克服していくための具体的な議論には乏しいという印象があります。それぞれの問題に対して専門家の立場からどのように答えられるのかということについてのあまり立ち入った説 -
Posted by ブクログ
学生たちが聖書を読む際に抱く素朴な疑問を出発点として、なぜ聖書は読みづらいのかという考察を通し、聖書をどう読むか提示する本。目次通りにいけば。
Ⅰ部の学生の疑問については回答というよりはこういった疑問があげられているんですよーっと取り上げるだけにとどまり、Ⅱ部の提案についても散漫で聖書をどう読むかという提案の印象は薄く、さらに三部に詰め込まれた読書案内も相まってなんだかごちゃついた感じの本。
取り上げる質問の数や、提案の数を絞ってスッキリさせた方が、もっと伝わりやすかったんじゃないのかなーっつー。
簡単にいえば、聖書はもともとバラバラの文書のアンソロジー(しかもバージョンによって順番ちがう -
Posted by ブクログ
なぜ聖書が読みにくいのか、という理由を、アンケート結果をもとに整理し、読みにくさの理由や克服の方法などを聖書学の見地から教えてくれる本。旧約聖書、新約聖書、グノーシス主義文書に含まれるそれぞれの文献の案内もある。
キリスト教の信者であるなしに関わらず、宗教的な記述をどのように「自己規制から解き放って、それぞれ自主的に聖書を読む(p.9)」か、ということがメインテーマで、聖書がどのような思考の枠組み、「基本文法」で書かれているかという点が解説されている。さらに、聖書だって神によって書かれたものではなく、人間の手で書かれたものであり、一般の書物と同じように読むことが大事であると説かれている。特 -
Posted by ブクログ
読むのが難しい聖書を、「どういう気構えで」読むか。ということを提案している本であって、聖書読破の詳細なガイド本というわけではない。
聖書の「読みにくさ」の原因を丁寧に解き明かすことにより、その部分に「いかなる気持ちで挑むか」、聖書に入る前段階からの下準備をさせてくれる。また、聖書の構造を丁寧に説明することで、そもそも聖書とはどういう書物なのかという基礎的な知識を教えてくれることは意味があると思う。
ただ、ではこの本を読めば一度は挫折した聖書がスラスラ読めるかというと、そういうわけではない。「この部分を記述した人々の苦難を理解し」「書き手の経験に踏み込む」といった読み方を提示しているが、具体