鈴木直道のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
夕張は我が国で唯一破綻をした自治体だ。イメージは暗い。日本で1番高齢化が進む場所。
しかし本書を読むとそのイメージは一新される。
夕張には希望がある。
希望の種がたくさん蒔かれている。
種を蒔くのは著者である鈴木直道夕張市長だ。
彼の筆致は常に前向き。まるで絶望を絶望とも思っていないかのようだ。彼の言葉には勇気をもらう。
意志とビジョンをはっきり提示する。
これは有能な人間なら出来ること。鈴木市長もしかり。しかし難しいのはそのビジョンの実現へのプロセスである。
彼はそれを真正面と搦め手からと両面から攻めているようだ。国を動かすためには王道だけでは不可能。彼の繰り出す“作戦”は決してテキストには書いていない。彼の持つ発想と環境を最大限活かすこと。
これは社会をサバイブすることに必須のスキルだ。這い上がりたい人間は限りある環境の中でこそ自由を追求しなければならない。
そんな人物が前向きに見据える夕張は希望の街である。 -
Posted by ブクログ
自ら返(かえり)みて縮(なお)くんば千万人と雖(いえ)ども吾(われ)往(ゆ)かん
(引用)逆境リーダーの挑戦 最年少市長から最年少知事へ、著者:鈴木直道、発行所:株式会社PHP研究所、2023年、127
著者の鈴木直道氏は、1981年生まれで埼玉県三郷市出身。その彼の経歴は、東京都庁、353億円の赤字を抱えて財政破綻した夕張市長に30歳で就任、そして38歳からは北海道知事に就任している。当時としては、本書のタイトルになっている「最年少市長、最年少知事」であった。現在は、芦屋市の高島崚輔氏が全国歴代最年少26歳で市長就任している。
鈴木氏は、夕張市におけるコンパクトシティなどの手法を用いた再生、そして北海道知事に就任してからは新型コロナウイルス対策で注目を浴びた。
この若きリーダーの施策はもちろんのこと、なぜ、彼はここまでの信念を持ち、北海道のトップとして、道政を担う人物になり得たのか。私は、大変興味をそそられ、鈴木直道氏による「逆境リーダーの挑戦(PHP新書、2023年)」を拝読させていただくことにした。
まず、本書では、新型コロナウイルスを題材として、彼の考える危機管理論に話が及ぶ。鈴木氏が本書で淡々と語られる言葉には、危機管理の要諦が詰まっている。例えば、「前例なき対策を打ち出すときは、誰かが腹をくくらなければならない」、「手さぐりの状態でもやれることはすべてやる」といったリーダー論から、「組織のトップはまさに広報マンとして伝える力が求められている」といったリーダーの役割に至るまで、参考になる言葉が並ぶ。
北米大停電の際、当時のニューヨーク市長は、復旧の見通し、安心感をもたらす情報、二次災害への呼びかけなど、戦略的に市民への広報を実施し、高い評価を得た。危機管理時は、このようなトップによる戦略的な広報が重要なアウトプットになる。まさに、北海道から全国にまん延した新型コロナウイルスの対策に迫られた鈴木知事は、マスコミの前においてもわかりやすく道民に状況を伝え、感染拡大防止のお願いをした。まさに、危機管理時における戦略的広報が功を奏した新たな事例になったと思う。
現在、鈴木氏も直面しているのが行政の縦割りではないだろうか。鈴木氏は、夕張市長時代、国・北海道、そして夕張町の三者が年に1~2回、夕張に集い、その実情をその目で見た上で課題を出し合い、方向性を決めていった。鈴木氏は、「異なる環境で起きている問題を、異なる環境にいる人間の感覚で理解するのは難しい(本書、109)」と言われる。まさに、実際に現場を見て、「当事者」として必要な具体策を考え、方向性を共有する仕組みが必要だと鈴木氏は説く。まさに、いま、行政は、多様化する行政ニーズに対応するため、横串の対策に迫られる。その際、大にして、それぞれのセクションがそれぞれの立場で主張して、纏まらないケースが多々ある。それは、夕張であれば市民を見るべきなのに、自分のセクションを守ろうとする意識が強いことも要因の一つとしてある。まさに、鈴木氏が指摘する一つの課題解決のため、複数の関係機関が関係してくる場合、現場を知らないそれぞれの立場からモノを言われても、現場から一番近い立場の意見が伝わりにくい。すべての関係者が「当事者意識を持つ」ということ。その意識がないと、一つの課題でも多様化する現代においては、行政サービスが機能しないのだと感じた。
では、鈴木氏は、どうしてこのようにして一介の都庁職員から北海道知事まで登りつめることができたのだろうか。私は、本書を拝読して、2人の師匠の存在が大きいと感じた。その二人とは、鈴木氏が都庁時代に知事であった石原慎太郎氏と北海道で彼を財政面でも支えたニトリの会長、似鳥昭雄氏の二人の存在であろう。
まず、似鳥氏がよく口にする言葉は、「ロマンとビジョン」だと言われる。「ロマン」とは、世のため、人のために人生を懸けて「志」を持つことが「ロマン」。「ビジョン」とは、ロマンを持って仕事に向き合い、それを実現するために必要な目標や計画を持つことが「ビジョン」だと言われる。私は、「なるほど」と思った。「ロマン」とは、私たちが抱いている甘いムード漂う「ロマン」のイメージとは違う。似鳥氏の言われる「ロマン」とは、まさに男性的な意味合いであり、ビジネスで成功するための秘訣であった。
また、鈴木氏の父親的な存在が石原慎太郎氏であろう。都庁職員であった鈴木氏が「夕張市長に立候補する」と報告した際、石原氏は「裸ひとつで挑戦する若者を、俺は、殺しはしない」と言われたという。地方公務員が市長選に立候補とすることは、地方公務員を離職することを意味する。安定した都庁職員という立場を捨て、背水の陣で夕張市挑戦に挑んだ鈴木氏は、石原氏の応援が何より響いたことだろう。
また、冒頭、石原氏の座右の銘を紹介した。これは、孟子の言葉を引用したとのことだが、「自分自身を省みて、自らの行いが間違っていないと信念が持てるなら、たとえ相手が千万人いようとも敢然と突き進んでいく」という意味だ。ここで「信念」とある。鈴木氏も言われているが、リーダーは、孤独でありながら、決断を迫られることがある。その際、情報を収集し、自分自身の能力を最大限に生かし、その決断が間違いないという「信念」を持つ。そこまで確信をした信念であれば、あとは突き進んでいくだけだ。私は、孟子から石原氏、そして鈴木氏に引き継がれた言葉の重みを知った。
鈴木氏は、「良きリーダーは、人を勇気づけ、行動に駆り立て、周囲をも巻き込んでいく言葉を知っています(本書、127)」と言われます。
まさに、私もそのとおりだと思う。リーダーとは、決して、個人で何かを成し遂げようとしない。先ほどの「ロマン」を語り、周りの部下たちを”資源”と思いながら鼓舞し、「ビジョン」に沿って周囲を巻き込んでいく。そのようなリーダーこそが、これからの時代に必要だと感じた。まさに、財政破綻した夕張を変え、北海道を変えようと奮闘している鈴木直道氏、そのものだ。
裸一つで、誰一人知る者がいない北海道に乗り込んだ若者は、広大な大地に住む道民を巻き込み、リーダーとして率いるまでになった。
その鈴木氏の偉大なる足跡は、リーダーシップが何かを教えてくれる。鈴木直道氏の書籍は、とても学ぶべきことの多い一冊であった。
ニューリーダーの今後ますますの御活躍を御祈念申し上げたい。 -
Posted by ブクログ
道民として、財政再生団体である夕張市での取り組みを知るために購読。
人口減社会である我が国以上の課題を先進的に抱える夕張は北海道・日本の将来を考える上でのヒントとなるだろうと思った。
当時に、道民としてまた国民として、夕張の事例を対岸の火事ではなく、私も当事者として考えていかなくてはならないだろう。
その中で、夕張において関心を持った点は以下である。
⒈財政再建と同時に地域再生に取り組んでいる点
⒉国・道・市の三者会談や市民参加など、関係者皆を当事者として巻き込んでいる点
⒊その中心で人々を惹き続ける鈴木市長のリーダーシップ
この本をきっかけにこれから自分に何が出来るか、夕張の事例をどう活かすかを考えていきたい。 -
Posted by ブクログ
サブタイトルは「財政破綻した夕張を元気にする全国最年少市長の挑戦」です。
最年少市長の座には岐阜県のどこかの市長さんが新しくついたはずですが、
その岐阜県の市長さんはわいろで逮捕されたような…。
1981年生まれの夕張市の若い市長さんはそのようなことはなく、
日々、前を向いてガツガツと頑張っておられる様子。
東京都の職員だった鈴木さんがなぜ夕張の市長選にでることになったのか、
そのなれそめや選挙の様子、当選後の市政についてなどを
ご自分の言葉で(きっとライターさんが直しているのでしょうが)
語ってらっしゃいます。
読んでいると、その頑張ってきた彼の人生の様子、
人となりが伝わってきくるし、なかなか平静な語り口なのにアツい内容なので、
そうかそうか、と面白く読めてしまいます。
そのあたりは、政治家としての資質を満たしている、と見ていいのでしょう。
後半になると、市政の様子が書かれていますが、
これがなかなかすごい。クリエイティブなんです。
本文には書かれていませんでしたが、コンパクトシティというコンセプトもしっかりあって、
高齢化率44%でさらに人口がどんどん減少していく夕張市の状況に合わせて、
少ない出費で効率良く幸せに暮せる街を作ろうとしています。
告白すると、僕の住む街がこの夕張市なんですが、
これまでどうにも地に足がついた市政というものが見えてこなかった中で、
この本の著者の鈴木市長については、なんだか骨のある政治をしてくれているように
思えるんですよ。というのも、こういう本を読んだから市政等の中身がわかったからだ、
とも言えるのですけど。
まぁ、体感的にはまだ、良くなっただとかそんなに感じられはしませんが、
閉塞感が増した感じはしないです。
なにより若い人ですからね、それだけで何か希望を感じさせるものがあったりします。
政治家はなるだけ信用しないようにしていますが、
都職員時から200万円も年収が下がるのにわざわざ夕張の市長になろうと
してくれた熱い人なので、出来れば応援したいですよねぇ。
以前、発展途上国への支援を例にして、夕張を発展途上国のように考えてこうしたらどうだろう、
というようなアイデアをメールで市長さんに送ったことがあるのですが、
そのときには、ありがとうございます、というような返事をいただきました。
石原慎太郎さんや猪瀬直樹さんと密な連携のできる鈴木市長さんだったので、
その系譜からはずれた舛添新都知事さんはどうなんだろう、夕張との連携・支援は、
気になっていますが、本当にどうなんだろうと思いますよね。
鈴木市長にはぜひアグレッシブにいろいろやってもらいたいです。
市が借金を返済するまであと15年くらいですかね、それまで街が無くならないよう、
それどころかしっかり将来が担保されるような街づくりができていると素晴らしいです。