【感想・ネタバレ】逆境リーダーの挑戦 最年少市長から最年少知事へのレビュー

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Posted by ブクログ

東京都職員から財政再建のために夕張市へ出向となり、
30歳で夕張市長になったときに鈴木さんの存在を知りました。本屋で鈴木さんの本をみつけ購入し、一気に読みました。
この人は将来、間違いなく総理大臣になる人だと思いました。

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2023年04月14日

Posted by ブクログ

最初に著者を認識したのは東京都が夕張に職員を派遣する、という新聞記事を読んだとき。そのときお名前は知りませんでしたが「これからのためにがんばって」と思いました。その後夕張市長→北海道知事に、コロナの時はよくニュースでお顔を見ました。困難に立ち向かっていくリーダー。若ければいいとは思いませんが、政治家ではなく政治屋になってしまった老害国会議員にうんざりする昨今、この若い知事に期待したい。

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

自ら返(かえり)みて縮(なお)くんば千万人と雖(いえ)ども吾(われ)往(ゆ)かん
(引用)逆境リーダーの挑戦 最年少市長から最年少知事へ、著者:鈴木直道、発行所:株式会社PHP研究所、2023年、127

著者の鈴木直道氏は、1981年生まれで埼玉県三郷市出身。その彼の経歴は、東京都庁、353億円の赤字を抱えて財政破綻した夕張市長に30歳で就任、そして38歳からは北海道知事に就任している。当時としては、本書のタイトルになっている「最年少市長、最年少知事」であった。現在は、芦屋市の高島崚輔氏が全国歴代最年少26歳で市長就任している。

鈴木氏は、夕張市におけるコンパクトシティなどの手法を用いた再生、そして北海道知事に就任してからは新型コロナウイルス対策で注目を浴びた。
この若きリーダーの施策はもちろんのこと、なぜ、彼はここまでの信念を持ち、北海道のトップとして、道政を担う人物になり得たのか。私は、大変興味をそそられ、鈴木直道氏による「逆境リーダーの挑戦(PHP新書、2023年)」を拝読させていただくことにした。

まず、本書では、新型コロナウイルスを題材として、彼の考える危機管理論に話が及ぶ。鈴木氏が本書で淡々と語られる言葉には、危機管理の要諦が詰まっている。例えば、「前例なき対策を打ち出すときは、誰かが腹をくくらなければならない」、「手さぐりの状態でもやれることはすべてやる」といったリーダー論から、「組織のトップはまさに広報マンとして伝える力が求められている」といったリーダーの役割に至るまで、参考になる言葉が並ぶ。
北米大停電の際、当時のニューヨーク市長は、復旧の見通し、安心感をもたらす情報、二次災害への呼びかけなど、戦略的に市民への広報を実施し、高い評価を得た。危機管理時は、このようなトップによる戦略的な広報が重要なアウトプットになる。まさに、北海道から全国にまん延した新型コロナウイルスの対策に迫られた鈴木知事は、マスコミの前においてもわかりやすく道民に状況を伝え、感染拡大防止のお願いをした。まさに、危機管理時における戦略的広報が功を奏した新たな事例になったと思う。

現在、鈴木氏も直面しているのが行政の縦割りではないだろうか。鈴木氏は、夕張市長時代、国・北海道、そして夕張町の三者が年に1~2回、夕張に集い、その実情をその目で見た上で課題を出し合い、方向性を決めていった。鈴木氏は、「異なる環境で起きている問題を、異なる環境にいる人間の感覚で理解するのは難しい(本書、109)」と言われる。まさに、実際に現場を見て、「当事者」として必要な具体策を考え、方向性を共有する仕組みが必要だと鈴木氏は説く。まさに、いま、行政は、多様化する行政ニーズに対応するため、横串の対策に迫られる。その際、大にして、それぞれのセクションがそれぞれの立場で主張して、纏まらないケースが多々ある。それは、夕張であれば市民を見るべきなのに、自分のセクションを守ろうとする意識が強いことも要因の一つとしてある。まさに、鈴木氏が指摘する一つの課題解決のため、複数の関係機関が関係してくる場合、現場を知らないそれぞれの立場からモノを言われても、現場から一番近い立場の意見が伝わりにくい。すべての関係者が「当事者意識を持つ」ということ。その意識がないと、一つの課題でも多様化する現代においては、行政サービスが機能しないのだと感じた。

では、鈴木氏は、どうしてこのようにして一介の都庁職員から北海道知事まで登りつめることができたのだろうか。私は、本書を拝読して、2人の師匠の存在が大きいと感じた。その二人とは、鈴木氏が都庁時代に知事であった石原慎太郎氏と北海道で彼を財政面でも支えたニトリの会長、似鳥昭雄氏の二人の存在であろう。
まず、似鳥氏がよく口にする言葉は、「ロマンとビジョン」だと言われる。「ロマン」とは、世のため、人のために人生を懸けて「志」を持つことが「ロマン」。「ビジョン」とは、ロマンを持って仕事に向き合い、それを実現するために必要な目標や計画を持つことが「ビジョン」だと言われる。私は、「なるほど」と思った。「ロマン」とは、私たちが抱いている甘いムード漂う「ロマン」のイメージとは違う。似鳥氏の言われる「ロマン」とは、まさに男性的な意味合いであり、ビジネスで成功するための秘訣であった。
また、鈴木氏の父親的な存在が石原慎太郎氏であろう。都庁職員であった鈴木氏が「夕張市長に立候補する」と報告した際、石原氏は「裸ひとつで挑戦する若者を、俺は、殺しはしない」と言われたという。地方公務員が市長選に立候補とすることは、地方公務員を離職することを意味する。安定した都庁職員という立場を捨て、背水の陣で夕張市挑戦に挑んだ鈴木氏は、石原氏の応援が何より響いたことだろう。

また、冒頭、石原氏の座右の銘を紹介した。これは、孟子の言葉を引用したとのことだが、「自分自身を省みて、自らの行いが間違っていないと信念が持てるなら、たとえ相手が千万人いようとも敢然と突き進んでいく」という意味だ。ここで「信念」とある。鈴木氏も言われているが、リーダーは、孤独でありながら、決断を迫られることがある。その際、情報を収集し、自分自身の能力を最大限に生かし、その決断が間違いないという「信念」を持つ。そこまで確信をした信念であれば、あとは突き進んでいくだけだ。私は、孟子から石原氏、そして鈴木氏に引き継がれた言葉の重みを知った。

鈴木氏は、「良きリーダーは、人を勇気づけ、行動に駆り立て、周囲をも巻き込んでいく言葉を知っています(本書、127)」と言われます。
まさに、私もそのとおりだと思う。リーダーとは、決して、個人で何かを成し遂げようとしない。先ほどの「ロマン」を語り、周りの部下たちを”資源”と思いながら鼓舞し、「ビジョン」に沿って周囲を巻き込んでいく。そのようなリーダーこそが、これからの時代に必要だと感じた。まさに、財政破綻した夕張を変え、北海道を変えようと奮闘している鈴木直道氏、そのものだ。

裸一つで、誰一人知る者がいない北海道に乗り込んだ若者は、広大な大地に住む道民を巻き込み、リーダーとして率いるまでになった。
その鈴木氏の偉大なる足跡は、リーダーシップが何かを教えてくれる。鈴木直道氏の書籍は、とても学ぶべきことの多い一冊であった。
ニューリーダーの今後ますますの御活躍を御祈念申し上げたい。

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2023年06月03日

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