鎌田茂雄のレビュー一覧
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五輪書は、不敗の書である。
二十八まで、六十余回勝負したが、一度も負けなかった。
武蔵はそれを、たまたま理にかなっていたか、相手が弱かったに過ぎないと言い切っている。
そして、後半生をかけて、武道と向き合い、その奥義を、「五輪書」としてまとめ上げて、肥後細川家に奉じた。
五輪とは、仏教で、地、水、火、風、空。仏教が万物を構成する要素(元素)を表しています。仏塔になどにも五輪の塔といい、仏教の世界観を表しています。
つまり、武蔵は、武道のあまねく世界の神髄として、五輪書を世に残しています。
ちなみに、儒教の言う、五行とは、木・火・土・金・水です。
その本質は、次のとおりです。
①徹底 -
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人を斬る事をひたすら追求した指南書というべきか。朝鍛夕練、幾度となく命のやりとりをした武蔵の武士道の精華。
現代の我々には想像もつかない人生を歩んだ武蔵の兵法書であるが、それでも時を超えて我々にいろいろな示唆を与えてくれる。
「兵法の道において、心の持ちやうは、常の心に替る事なかれ。」
「鼠頭午首といふは、敵と戦のうちに、互いにこまかなる所を思ひ合はせて、もつるる心になる時、兵法の道をつねに鼠頭午首そとうごしゆとおもひて、いかにもこまかなるうちに、俄に大きなる心にして、大小にはかる事、兵法一つの心だて也。平生人の心も、そとうごしゆと思ふべき所、武士の肝心也。」
「道理を得ては道理をはなれ、兵法 -
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年末年始の休みで少しボケ気味の自分に喝を入れようと思って、手にした一冊。
宮本武蔵が、自身が剣(=敵を斬る剣)の道を極めたと感じたのは50歳のとき。そして、その奥義を60歳の時からしたため始め、二年の歳月を経て出来上がったのがこの『五輪書』。
「朝鍛夕錬(ちょうたんせきれん)」という言葉が何度も出てくる通り、奥義を極めるには近道などなく、朝に夕に鍛錬を重ねることがまず中心。そして、それを効果的に行うために何をすべきかを、五つの巻(地、水、火、風、空)に分けて説く。
徹底した合理主義で、とてもここまでの真似は凡人にはできないなと思いつつも、現代でもそのまま通じる指摘があちこちに出てくるから、読む -
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ネタバレ宮本武蔵の勝負に対するひたむきな姿が伝わってきた。別れや恋慕にも心を動かされてはならないというまさに勝負のために生きている。勝負は美学ではなく勝つことが目的であり、そのために剣術だけでなく、考えられるあらゆる方向から検討を加えるようにしている。他の書物を読まずともこの書物だけで理解できるよう、後継への心遣いもしているところが素晴らしい。
以下メモ
・心を一か所にとめず自由にすることで柔軟性や力量が発揮できる。
・物事には拍子があり、流れに乗るためには良い拍子を心がけ、相手に勝つためには相手の拍子を外すことが肝心
・広く多芸に触れ、実直を見分ける力をつけ、わずかにも気を配り、無駄なことはしない -
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ネタバレ目の付けやうは、
大きに広く付くる眼也。
観見(かんけん)二つの事、観の眼つよく、見の眼よはく、
遠き所を近く見、ちかき所を遠く見る事、兵法の専也。
敵の太刀をしり、聊かも敵の太刀を見ずといふ事、兵法の大事也。
心眼という言葉があるように、
視ることとは、その対峙するもの、対象に対して、
眼をとおして身体全体で、<心-身>を総動員してあることが前提とされていよう。
いわば、<身―構え>と云うべきものが。
通常、視るとは、自分の居場所、その固定点からのパースペクティブ―遠近法
的な座標なのだが、
大きく広く、<観>と<見>、強く・弱く働かせよ、遠き所を近く、近き所を遠く
ひとつの舞台を創ってい