植村和秀のレビュー一覧

  • ナショナリズム入門

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    288p

    植村 和秀
    京都市生まれ。京都大学法学部卒業。京都大学法学部助手を経て、現在、京都産業大学法学部教授。国際日本文化研究センター共同研究員、奈良県立大学ユーラシア研究センター客員研究員を兼任。研究分野は、日本政治思想史、比較ナショナリズム論。

    ナショナリズム入門 (講談社現代新書)
    by 植村和秀
    ナショナリズムを理解するために、まずはネイションの作り方を考えてみます。ネイションがなければ、ナショナリズムもないからです。そこで最初に、さまざまな事例に共通する一般的な作り方を検討してみましょう。

    竹島問題や尖閣諸島問題であれば、その争いがさらに、対馬や沖縄へのこだわりに広

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    2024年05月11日
  • ナショナリズム入門

    購入済み

    「ナショナリズム」は西洋由来の概念で日本語では「民族主義」と訳されることが一般的だが、「民族」は英語で言えばどちらかと言えば「エスニシティ」の方が近い。例えばアメリカ人がオリンピックなどで”USA! USA!”などと連呼するがアメリカのような多民族国家のナショナリズムを「民族主義」という言葉で訳するのは違和感を持たれることかと思う。「ネーション」にしっくり当てはまる日本語は実は無いのだが(個人的には「民族」よりは「国民」のほうが近いと思うが)、日本人はその辺りが無自覚だ。
    本書は「ネーションは透明な空っぽの袋」という表現している箇所があります。まさにその通りで「ナショナリズム」の中身は多種多様

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    2024年08月17日
  • 昭和の思想

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    ネタバレ

    4人の思想家から、日本の思想を読み解く軸を説明するユニークな本。平泉澄と西田幾多郎との軍部の関わり、A級戦犯の合祀の思想的背景、丸山真男と一般大衆との乖離が生じた理由等、興味深い話題があって読み応えがあった。

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    2012年01月09日
  • ナショナリズム入門

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    「入門」の通り、ナショナリズムの理解に不可欠な「ネイション」という概念を軸にして解説している。非常に理解が容易。

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    2024年08月01日
  • ナショナリズム入門

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    ハズレの少ない講談社新書。あまり馴染みのなかったナショナリズムについても本書でとりあえず基礎はわかった。
    まず「形の見えるネイション」として、島国である日本が世界でも特異なネイションである点を説明してくれるあたりが良い。
    また淡々と「東欧はアメリカのような合衆国にはなりませんでした」と説明してしまうのも読んでいて気持ちがいい。そのほか、ネイション内部での主導権争い、なぜネイションは増え続けるのか、についても理解できたのでよかった。
    でも地政学の本って言われたら、地政学の本な気もするのだけど、ナショナリズムの起源というか本質は地域であるのだから、地政的な事実を語らずにナショナリズムだけ取り出すと

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    2017年09月25日
  • ナショナリズム入門

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    本書ではナショナリズムをネイションへのこだわりと捉え、ネイションを中心に紐解いていく。特にネイションの形成が人間集団単位の形成と地域単位の形成とふたつに区分し、それぞれのこだわりと、両者のせめぎ合いによる紛争やネイション形成について、さまざまな事例をもって解説する。

    ナショナリズムや民主主義は人間集団を動かそうとするアクセル役であり、自由主義は個人の自由を守ろうとするブレーキ役となるという視点は自分にとって新しいものだった。

    改めて思うのは、日本人にとってネイションという概念を理解するのは簡単ではない。ネイション=民族=国家=地域という類稀な条件に置かれるからだ。同時に日本ネイションへのこ

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    2016年02月11日
  • ナショナリズム入門

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    ネタバレ

    ・ナショナリズム・・・ネイションに対するこだわり
    →ネイションには、人間集団単位のネイション形成と地域単位のネイション形成がある

    第一章
    ・ネイション・・・何らかのまとまりであり、ある人間集団にとって特別な土地
    →日本は、形がわかりやすく、歴史の堆積が分厚いので、ネイションとしての自明性がとても高い。

    第十章
    ・ネイションによって、国家と住民のつながりができる。住民の心が入り込み、国民国家の国民が名実ともに成立して、国家は支配の根拠と発展への推進力を獲得する
    →警察や、国家で秩序をつくったとしても服従しないのはこれが理由

    ・民主主義は、公的な事柄について「自分たちの国を自分たちでつくる」

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    2014年10月06日
  • ナショナリズム入門

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    ナショナリズムを、「土地を持ち、その土地の上に文化的なものや国家的なもので歴史的に形成され、ネイションへの命式と意欲が目覚めて、ネイションとして広く認知されたもの」という定義(フリードリッヒ・マイネッケによる 本書P.36より)を、いろいろな実例で検証し紹介している。

    日本の形、ドイツの変形、ドイツと東欧、ユーゴスラヴィアの滅亡、アメリカ大陸の状況、ヨーロッパの西と南、重複と複雑化(ロシアやトルコやアラブ)、東アジアの未来、政治的な仕組みの各章に分けて解説している。

    個人的には章末の参考資料が最近の著作が多く、筆者が持論を展開するのではなく、啓蒙書の新書としてまとめているように感じられた。

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    2014年08月03日
  • 折口信夫 日本の保守主義者

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    関東大震災や二・二六事件、太平洋戦争と戦後の日本社会の変容といったできごとに対して、折口信夫がどのようなしかたでかかわってきたのかということを論じた本です。

    本書では折口を「保守主義者」と規定していますが、折口にとって守るべきものは、日本の政治や国家などではなく、人びとの社会生活だったと著者は論じています。そして、彼の生きた時代のなかで、人びとの社会生活の危機がしだいに大きくなり、そのような事態に対処するために、折口は日本の古代へとさかのぼろうとしたと著者は考えています。

    ただし折口は、その当時の政治的状況のなかで彼の提案がどのような意味をもつのかといったことについて検討をおこなうことなく

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    2022年12月20日
  • ナショナリズム入門

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    「ナショナリズム」を、民族と領土と国家という三つのファクターが複雑にせめぎあう現象としてとらえ、日本のほか、ドイツやユーゴスラビア、カナダ、アメリカ、イタリア、ロシア、中国など、さまざまな国家を例に、そうしたせめぎあいの諸相を解説している本です。

    「ネイションとは何かを多くの人がさまざまに問うことが、ネイションの内容を豊かにし、その魅力を高めてきた」と著者はいいます。「そのような言論の自由と創造的な姿勢こそは、ネイションを支えるものであり、それらを失えば、ネイションはその勢いを失っていきます」という著者の警告も、個人的には賛同できるように感じられました。

    ただし本書は、著者自身の考えるナシ

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    2019年04月25日
  • ナショナリズム入門

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    非常勤で「エスニシティ・地域・境界」というテーマを持った社会学の講義を担当しているが、最後の事例でヨーロッパの話をする予定である。国民国家という政治システムは近代期にヨーロッパで誕生した、みたいないい加減な話をしているが、じゃあ、実際にヨーロッパ内部で国境の変動がどのようなものであったのかという知識を私はあまりもっていない。
    それこそ、最近は授業の補足資料として高校の世界史の教科書を使っているが、そこにそれぞれの時代のヨーロッパの地図が載っている。しかし、地図を見せただけではなんの説明にもならないので、これから勉強していくつもり。そんなつもりで手を出した、講談社現代新書の1冊が本書。別の大学で

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    2015年11月28日