「当初、近代的ナショナリズムの始まりから一九世紀の終わりに至るまで、優勢の傾向にあったのは、政治的な自己決定の追求であった。そこではナショナリズムは、多様な政治的、社会的、宗教的な態度を包含する柔軟性を保持していたのである。しかし、多くの人々が、ネイションを一個の市民宗教として認知し、世界をどう見るか、その中の自分たちの位置をどう見るかを定めるものとするようになるにつれて、一九世紀の終わり近くには、ネイションのいわゆる優越性と文化的自律性とがこの柔軟性に挑戦することとなった。こうして、例えばフランスの『統合的ナショナリズム』やドイツのフェルキッシュ・ナショナリズムは重要な足場を獲得し、それを踏み台にして、第一次世界大戦後に、それらは自己の権力の追求を加速化させえたのである」(Mosse, Confronting the Nation, p.1.)。